不動産投資のアービトラージとは?アービトラージを使った投資法を徹底解説

不動産投資の知識

リーマンショックの傷跡もだいぶ癒え、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定していた矢先、新型コロナウイルスによる自粛の影響でオリンピックが延期になるなど経済へのダメージが広がり今までにない事態になっています。
今回は景気の波に比較的影響を受けにくいと言われている不動産投資手法「アービトラージ」ついて不動産会社スマートアンドカンパニーが詳しく解説していきます。

記事で取り上げるのは以下の内容です。

  • 「アービトラージ」の考え方と不動産投資で活用できる具体例
  • 「アービトラージ」手法を利用したマンション投資とは

今後の生活や老後などの将来に対するお金の心配は常につきまといます。国を頼りにせず自分でどうにかしたいと考えている方にも参考になる不動産投資手法「アービトラージ」について見ていきましょう。

アービトラージを活用した不動産投資とは?アービトラージの考え方


今回は投資法の一つである、アービトラージについてお伝えしたいと思いますが、そもそもアービトラージという言葉を聞いた事がない人の方が多いのではないでしょうか。

では一体アービトラージとはどんな投資法なのか見ていきましょう。

アービトラージ(Arbitrage)とは、日本語で「裁定取引」や「スプレッド取引」と言い、投資業界では略されてアビトラとも呼ばれています。最近ではビットコインのような仮想通貨や、FXなどの取引で聞いたことが多いのではないかと思います。

概括的に言うと価格差を利用して利ザヤを稼ぐ取引のことです。同じものでも利用方法によって理論的に差が生じる物の価格差を利用して売却益を得る手法なのですが、少し難しいですよね。
裁定取引の説明でよく使われる例を日本史の教科書で習った幕末の金銀比率の話を使ってご説明します。
当時日本の金銀交換レートは1対5、対して国際標準は1対15と大きく乖離していたため、日本に来た外国人は自分たちの銀貨を小判に変え、労せずして収益をあげることができたという事例がありました。裁定取引とは、市場間の価格差を利用することで、少ないリスクで利益を得られるサヤとり行為のことを指すのです。

アービトラージを活用している不動産投資の例

アービトラージ投資法の4つの具体例

不動産アービトラージの投資法を利用した4つの具体的な例を挙げてみます。

【具体例1】
購入した大きな土地1区画を細かく分割して、それぞれの土地を売却
→ 土地の単価が上がる
【具体例2】
月極の駐車場を時間貸し駐車場に変更
→ 毎月の収入増が見込める
【具体例3】
1世帯に貸していた一戸建てをシェアハウスとして多くの人に貸す
→ 毎月得られる賃料がアップ
【具体例4】
借地権のついている土地を購入後、借地が解消された
→ 土地の値段が上がる

同じ不動産でも、どう使うかといった利用方法によって得られる賃料や査定価格に差が出ます。利用方法によって生じる価格差は、世の中の景気に依存する価格の差ではなく、理論によって生じる価格差なのです。
「理論的な価格差」を活用したアービトラージの投資法であれば、世間の景気動向などに一喜一憂することもあまりなく自分にも出来そうな気がするのではないでしょうか。

アービトラージ投資法の投資対象まとめ

不動産アービトラージの投資法を使用した投資対象はどのようなものでしょうか?
前述した投資法例から以下のようにまとめることができます。

  • 借地権の付いた土地の借地が解消された例⇒複雑な権利の解消

  • 大きな土地1区画を分割して売却する例やシェアハウスの例⇒不動産の分割利用

  • 月ぎめ駐車場を時間貸しにする例⇒利用時間の短縮化

以上3つの点に着目して不動産投資物件を探すことがポイントです。

 

アービトラージで成功しやすい不動産投資はファミリータイプのマンション投資

今の時代、不動産投資という言葉から頭に浮かぶのは、中古マンションのワンルームを購入し家賃収入を得る「ワンルーム投資」ではないでしょうか。しかし、このワンルーム投資、なかなか利益を出せていないのが現状です。原因として、購入時に発生する税金や諸費用が思った以上にかかるので、かなり利回りの高い物件を手に入れないと利益が得られないといったことや、不動産屋にだまされて相場よりも高い中古マンションを購入してしまったことなどが挙げられます。また、長期間の空室により想定していた家賃収入が得られず自分の貯金からローンを支払う事になってしまったり、想定外の出費(修繕費や積立金)が発生したりするなど、中古マンション投資はなかなかうまくいかないのが現状なのです。

ただし、中古マンション投資でもアービトラージの手法を利用してうまくリスク回避できるケースがあります。「複雑な権利の解消」を利用した中古マンション投資についてみていきます。

アービトラージ手法が適用出来るのはファミリータイプ物件

アービトラージ手法が適用できる都合良いマンション物件はあるのでしょうか?
答えは「あり」ます。それは、「ファミリータイプ」の賃貸マンションです。
賃貸中古マンションと言うと、多くの人はワンルームタイプの中古マンションが頭に浮かぶでしょう。一方アービトラージの投資法を使用した場合は、「ファミリータイプ」の中古マンションが対象になります。特に、分譲マンションの2~3LDKが狙い目です。

それでは、なぜ「ファミリータイプ」のマンションがアービトラージの投資法として使用できるのか見ていきましょう。
ワンルームに比べ、ファミリータイプは、投資対象として実は投資家の間ではあまり人気がありません。人気があまり無いからこそファミリータイプの中古マンションは比較的安い価格で購入できるお得な投資物件と言えます。

購入後は借り手を見つけてしばらく賃料収入などを得ながらその物件を運用していきます。数年すると、ファミリータイプの中古マンションに入居している家族は、子供の進学や就職を理由に退去していきます。すると、その物件は借家という余計な権利がなくなり、あなたの完全な所有物に変わります。これを「複雑な権利の解消」と言います。
そして次にやるべきことは、物件の売却です。ここで、「誰に売却するのか」が重要ポイントです。売却すべき相手は、収益物件を探している投資家ではなく、自分たちが住もうと考えている一般の家族です。
住みたいと考えている人達の頭の中に、投資という二文字はありません。一方、投資家は自分たちが住むわけではないので、物件の済みやすさなどに重点を置くのではなく、物件価格に重きを置く場合が多いのですが、自分たちの住まいを探しているファミリー層は、生活環境や住みやすさに重きを置くので、多少価格が高くても気に入れば購入するケースがほとんどです。

【アービトラージ手法を利用した中古マンション投資】

賃貸中のファミリータイプ物件に投資(投資家に人気がなく比較的安値で購入できる)

居住中は賃料収入で運用

退去後は居住用として売却(投資向けよりも一般向けの方が高値が期待出来る)

ファミリータイプがアービトラージ投資法に向いている理由

比較的安く購入できる

アービトラージの手法以外の不動産投資では、ワンルーム投資の割合が多いのではないでしょうか。何故なら最近は単身も増えていますし、特に都心などの物件だと稼働率が高く空室になる事があまりないからです。
しかしながら、あまり需要のない物件を買ってしまい、借り手が見つからず空室の期間が長くなると月々の支払いを自分でする事になり赤字になってしまいます。
ワンルームマンションはもともと購入時の価格が高めなので、売れても儲けはそれほどでなくアービトラージの不動産投資法ではお勧めできないというのが現状です。

ワンルームと比較して投資家に人気のないファミリータイプは、比較的安く購入できるためアービトラージ手法向けの物件と言えます。

売却時期が判断しやすい

ファミリーと単身では引っ越しのサイクルにも違いがあります。
ファミリーは比較的長く、単身者は短期が多いのが特徴です。
その違いを踏まえて、ファミリーは転勤や子供が独立するなどの家族構成の変化などで入居者が退去してくれるまで数年待つだけで毎月の家賃収入も見込めます。
また、入居者が退去したら、売却すれば良いので、その他の物件(土地や一軒家)よりも売却時期が明確でわかりやすいのがファミリータイプの良い理由なのです。

不動産価格の変動によるリスクが少ない

もちろん、アービトラージ手法以外のマンション投資で成功している人たちもいます。例えば「空中族」と呼ばれ、タワーマンションの高階層を購入し売却する行為を繰り返して売却益を得ている人たちです。昨年の台風の影響でタワーマンションの人気は少し衰えた局面もありますが、ここ数年一部のタワーマンションや中古マンションなどの査定価格上昇が持続しているためです。

しかしながら、タワーマンション投資やキャピタルゲインを狙った投資は、景気が悪くなれば、あっという間に不動産査定価格が下落し大きな損失をこうむるのでハイリスクとも言えます。果たしてハイリスクを伴う投資を将来の安泰を願う会社勤めのサラリーマンができるでしょうか?答えは「ノー」ですよね。リターンが望めもう少しリスクの少ない不動産投資法が、アービトラージを使った不動産投資の方法なのです。

ファミリー物件投資のデメリット

アービトラージ手法を利用したファミリー物件投資には、良い事ばかりでなくもちろんデメリットもあります。
まず、ファミリータイプのマンションは部屋数が多い分広いので購入時の価格が高く元手の資金が必要になるという事です。
そして、平米数が広い分、税金や壁紙を張り替えるなどの修繕箇所が多くなりその分費用が多くかかるので実際の利益が少なくなるなどです。
その代わり、便利なエリアで部屋の中に良い設備が整っているなどの利点があれば借り手がつきやすくなるので、デメリットも頭の片隅に置きつつ、不動産投資物件として向きか不向きかなどよく考えて購入しましょう。

【ファミリー物件投資のメリット・デメリットまとめ】

メリット投資向けとしては人気がなく比較的安く購入できる
物価の変動リスクが少ない
土地や戸建てと比較すると売却時期が判断しやすい
デメリット広い分修繕費用がかかるため利益が少なくなる

借り手の付きやすいファミリー物件とは

空室リスクが少なく借り手のつきやすいファミリー向けマンションの特徴を見ていきましょう。
不動産投資で何よりも怖いのが空室になる事です。借りてくれる人がいなければ成り立たないからです。
「空室のリスク」を最小限に抑えるための3つのポイントは「立地」「物件」「賃貸管理会社」と言われています。

【空室リスクを最小限に抑えるポイント】
  • 立地: ファミリーの場合、学校や公園、買い物する場所が近いなどの環境
  • 物件: 家族4人の場合2LDK~3LDKの広さが人気
  • 賃貸管理会社: 管理が行き届いている、対応が良いなど

以上3つが揃ったら上手く行く確率も数段アップするかも知れません。

単身向けとファミリー向けの違い

もともとファミリー向けと単身向けでは住む人の生活サイクルが違うだけに、人気のある物件の立地や環境、間取りも設備も少し異なっています。

 環境 立地設備間取り
単身通勤に便利
駅近
オートロック
セキュリティ
1R~1LDK
ファミリー学校、病院、買い物に便利追い炊き、浴室乾燥など
システムキッチン
収納の多さ
2LDK~4LDK

不動産投資は個人の間に浸透してきた

ここ数十年の間に「不動産投資」という言葉をよく耳にするようになりました。昭和の時代から不動産投資は行われてきたものの、近年ほど多くの人が行ってはいませんでした。

バブル期である1980年代は、「土地ころがし」という言葉があったように、購入した土地を数年後に売却すれば、簡単に売却益(キャピタルゲイン)が手に入った時代でした。値上がりしそうな土地を見極める技術など必要なく、購入した土地は、ほとんど値上がり、素人でも簡単に莫大なお金を手にすることができました。今では信じられない時代です。

最近では、「サラリーマン投資家」などと呼ばれる会社勤めのサラリーマンや、更には、社会進出と共に女性も不動産投資を行う時代になりました。これは、将来のお金に対する不安だけでなく、値動きが乏しく大きく儲けることが難しくなった株式投資離れなども理由と考えられます。また、低い金利でお金を借りることができるようになったので、多くの人に不動産投資の門戸が広がったと言えます。

アービトラージ手法のように景気や不動産価値などにあまり左右されない不動産投資法であれば、検討してみる価値はあるでしょう。

まとめ

今回は、不動産におけるアービトラージの投資法をご紹介しました。
投資を成功させるための基本中の基本である「安く買って高く売却する」ために、良い物件を入手する情報収集力が必要です。
不動産投資が初めての方は、失敗してしまうことを恐れて不安になると思いますが、無料セミナーや無料面談を行い、ある程度の知識を入れてから行いましょう。
良い事ばかり言うようなところは信用できないので出来れば避けた方がよさそうです。
マンション投資を検討されている方は、まずは下のバナーから不動産投資会社によるライフプランの診断を受けてみてはいかがでしょうか。

投資にはリスクが付きものです。成功ばかりでない事を頭に入れてから自己責任で始めましょう。失敗をしないためにもアービトラージなどの不動産投資を学び知識を付ける事は成功につながります。