一括査定サイトで売却査定してみた 不動産査定報告書の見方

不動産査定会社の口コミ評判

不動産査定報告書から何を読み取るか?《1》

 

こんにちは。この記事を紹介しているムギタです。今回の「一括査定サイトで売却査定してみた」は、その4回目として「不動産価格査定報告書」にフォーカスする形でご紹介したいと思います。前回3回目の終わりに、検討する不動産査定会社を大成有楽不動産販売と大京穴吹不動産の2社に絞り込んだところまでお話ししました。これからこの2社を中心に自宅中古マンションの査定額や実売価格がどうなっていくのか?を見ていくわけですが、決断するためには、どんなことがポイントになりそうか?を挙げつつご紹介出来ればと思います。また、一括査定サイトで不動産会社をセレクトして、今の2社に決まったわけですが、その後の流れの中でも、最初のセレクトが影響するか否か?も大事になりますので、そのあたりもご参考にして頂ければと思います。

自宅中古マンション売却査定の流れ(おさらい)

 

さて、4回目の今日最初にご紹介するのは、最初の大成有楽不動産販売から届いた「不動産査定報告書」に関して、実際の報告書の内容をご紹介しながらお話を進めて行こうと思いますが、その前にカンタンに査定の流れをおさらいいたします。まず、自宅中古マンションがいくらくらいなのか?を知りたい場合、一括査定サイト(私はイエウールを選び、とても満足しています。)を通じて、売却査定をお願いできる不動産会社をセレクトするところから始まります。

前回3回の記事で、そのステップとポイントに関してすでにご紹介していますので、気になる方、まだ読んでいない方はそちらもご参考にして頂ければ幸いです。最初は「机上査定」という形で、自宅中古マンションの大体の不動産売却価格を提示していただけますが、これは実際に売却した場合の実売価格との間に差が出ることが多く、あくまで目安の価格になります。自宅中古マンションの価格をざっとでも知りたい!というニーズが強い方であれば、一括査定サイトを通じ売却査定依頼するだけで、ある程度の価格を知ることが可能ですので、やってみてはいかがかと思います。特に不動産査定会社の営業マンからしつこい営業アプローチが来る訳でもなく、基本、メールのやり取りだけでも対処できるので、トライしてみて下さい。

「机上査定」の後に、もう少し具体的な売却金額、査定額を知りたい場合、または、営業マンから「ご自宅はとても魅力的な物件なので、是非、ご自宅(中古マンション)の実売に近い価格を査定させて下さい。」といったアプローチが来る場合があります。実際、私に来たアプローチもこのパターンでした。自宅を褒められて嫌な気持ちになる人はいないと思いますので、私の場合は、「机上査定」後の次のステップに進む形になりました。これが「訪問査定」のステップです。

この段になると、実際の営業マンがアポイントを取って自宅に来訪してくる形になります。その際に、居住年数や傷み具合、リフォーム部分の有無など、机上だけでは算出できない要素を含めて査定していくことになります。これが「訪問査定」です。ただ、この「訪問査定」のステップでも、実際の売却価格とは違ってきますので、ここで注意が必要になります。営業マンの営業トークにほだされて、カンタンに売却作業をお願いしてしまうと、「出来るだけ高く売りたい!」と思ってもその後は先方の流れに乗ってしまうからです。今回の記事では、この「訪問査定」時に提出される「不動産査定報告書」の中身をご紹介しながら、その中身を注視していく形でご紹介いたします。

「不動産査定報告書」とは?

 

「訪問査定」後に不動産査定会社から査定結果として提出されるのが、この書類になります。この書類がキチンと提示されるかどうか?は不動産会社の力がどのくらいあるのか?と比例しているように思います。何故なら、私の場合、セレクトした不動産会社のうちの1社は、机上査定時と変わらない一般的な統計資料を基に、実際の売却価格を予想算出した報告書を提出してきたからです。もちろん、この会社に自宅中古マンションの売却をお願いするのは論外です。何よりも大事なのは、実売価格とのギャップをどれだけ埋められる資料を提出してくる企業かどうか?がポイントだと思います。そういった意味でも、それなりに全国展開をしている大手の不動産会社は違いました。最初にご紹介するのは、大成有楽不動産販売の「不動産査定報告書」ですが、以下で構成されています。

1)ご所有不動産の概要
2)ご所有不動産の位置図
3)周辺の成約・売出物件の価格情報
4)周辺マンションとの比較
5)対象マンションの標準価格
6)お客様のお部屋の評点
7)査定価格とご提案
8)付属資料

1)~4)までは、自宅中古マンションの概要をくだいて紹介しているものになりますので、比較的一般的な資料になります。住所、建築年月、階数、総戸数、構造等が明記されており、その上で自宅の所在階と専有面積が明記されています。位置図は、951m四方で区切ったゼンリン社抽出の位置図が掲載され、過去に売出された同じマンションの住居の価格を※1:標準化補正した単価で3タイプ提示された形で明記してありました。また、※2:マンション格差が出ないように評点付けもされていました。

(※1:標準化補正とは、業界で標準的と言われている4階・南向き・中住戸という条件に、階数や向き等の条件の異なる事例を比較し易いように、一度、同じ条件にあてはめ直して算出することを言います。※2:標準化補正と同様の4階・南向き・中住戸の3点の条件で、比較する事例マンションの評点付けが行われます。これは、第三者機関の専門スタッフによる調査・カタログ情報・市場動向などから総合的に勘案し、1棟ごとに評点付けが行われるものになります。エレベータなしの住戸の場合は、標準化補正もマンション格差の基準も、2階・南向き・中住戸という条件に変わります。)

そして、5)の対象マンションの標準価格(標準住戸の価格)が次に算出されてくるわけですが、これも※3:時点修正とマンション格差によって標準化されて試算価格が提示されます。(※3:取引事例、売出事例時の過去価格ではなく、現在の査定価格という形に修正・標準化されることを指します。)様々な標準化を経て、まず、自宅中古マンションの標準価格が以下の形で提示されました。

事例1:
事例価格681,000円/㎡(225万円/坪)
× 時点修正101.6/100
× マンション価格100/100
× 売補正率 94/100
≒ 標準住戸の試算単価650,000円/㎡(214.9万円/坪)

事例2:
事例価格526,000円/㎡(174万円/坪)
× 時点修正108.6/100
× マンション価格100/100
× 売補正率 94/100
≒ 標準住戸の試算単価537,000円/㎡(177.5万円/坪)

事例3:
事例価格520,000円/㎡(172万円/坪)
× 時点修正105.4/100
× マンション価格100/100
× 売補正率 94/100
≒ 標準住戸の試算単価515,000円/㎡(170.2万円/坪)

・対象マンションの標準価格(標準住戸の価格)(採用事例の中庸値) 
567,000円/㎡(187.4万円/坪)

ざっとみて頂ければお分かりだと思いますが、中庸値で算出された価格だということが分かります。つまり、実際の売却価格との誤差を考えるためのベンチマークとしてこの価格体がまず算出されるわけです。次の6)お客様のお部屋の評点では、この標準住戸と比べて、私が住んでいる住戸との格差がどのくらいあるのか?が明記されています。

・階層の格差率(所在階、エレベータの有無):101.3
・向きの格差率(開口部):106.0 107.3/100
という結果でした。向きの部分で僅かですが格差が出ているように見受けられます。上記2点以外にも、外的要因(眺望・景観、日照・通風、騒音・振動の影響)、室内要因(室内仕様・仕上、室内メンテナンス、天井高・柱・梁の状況、収納、LDの広さ)、付帯要因(バルコニーの広さ、専用庭の有無)等で査定された上で、個別格差率が算出されていました。

・個別格差率
住戸位置による比較 107.3/100 × 個別的要因による比較 100.0/100
格差率 107.3/100

大成有楽不動産販売の査定価格と提案

 

ここまで査定額を算出するため、さまざまな点で標準化の作業が行われたことをご説明し
てきました。この標準化作業を踏まえて、7)査定価格とご提案という一番肝(キモ)になる部分を以下にご紹介します。
査定価格(ご所有不動産に関しまして、下記計算により査定価格を求めます。)
標準価格567,000円/㎡(187.4万円/坪)
× 個別格差率107.3/100
× 占有面積58.27㎡(17.62坪)
= 35,450,000円(201.1万円/坪)
査定価格35,450,000円(201.1万円/坪)+リフォーム加算(ブランク)×流通性比率100%
= 35,450,000円(201.1万円/坪)

売出ご提案価格 4000万円+-@

つまり、標準的な売却価格を提示しつつ、いくつかの不測の要素が加わる可能性があるので、4000万くらいで売出を始めるが良いのではないか?というものでした。また、大成有楽不動産販売の提案内容も以下に明記します。

―<ご提案>-
この度、ムギタ様ご所有の「●●●●日本橋」の担当をさせていただきます、大成有楽不動産販売(株)の山本 学(やまもと まなぶ)と申します。

本マンションは、2駅3沿線を利用できることに加え、コンビニ・スーパーも近く、出張に便利な【T-CAT】にも近いため、利便性を重要視される幅広いファミリー層の需要が多く見込めます。

ムギタ様邸は、希少価値の高い2面採光の角部屋で、陽当たり・通風・開放感も良く、とても間取りの使いやすい印象の良い部屋でございます。

室内状況は、直近リフォームをされていらっしゃらないことを前提に同マンション、周辺マンション事例より査定とさせていただいております。

査定価格は【35,450,000円】となります。

実際の売出価格は、住宅ローンの金利上昇に加え、2019年10月の消費税増税を見据えた駆け込み需要に乗じて、上記設定額より活動されることをお勧め致します。

※実際の売出価格はムギタ様にご決定いただきます。

といった提案内容でした。だいぶ積み上げて様々な条件を加味して算出されたこと、また私の自宅中古マンションは条件が良いので、少し高めの金額から売却作業を進めてはどうか?という内容になっています。今回の記事での紹介は省きますが、実は、大成有楽不動産販売の担当営業マンは、かなりのやり手らしく、営業成績で日本全国No.1の実績の持ち主でした。このバックグラウンドだけでもこちらにお願いしたくなるというのが正直なところなのですが、一番大事なのは実際の売却価格であり、もっとも高く売りたい!そのためには、何を検討材料として、何を判断基準とするか、です。そこで、8)付属資料に添付掲載されていた売却価格算出のしくみに関しても触れたいと思います。

売却価格の算出から分かる実売価格との差異

 

査定額として算出された「売却価格」ですが、付属の資料の内容によれば、3つの価格を指標としているようです。理由は、仮に同じ不動産の売却だとしても、売却時期などの季節要因、金利や株価などの外的要因、競合物件の増減などにより「売却価格」が変動してくるからなのだそうです。具体的には以下のように表現されています。

①査定価格
対象不動産と取引事例との比較、物件調査による個別要因、市場動向等を鑑みて概ね3か月以内に売却するであろう価格となります。
(つまり、査定価格は3か月で変動するので、期限付きの今だけの価格だということが分かります。)

②下限価格
市況変化やお客様の早期売却希望などの諸事情を勘案した比較的早期売却が見込める数字を算出しております。
(とにかく売りたい!というニーズの場合は、この価格が目安になる価格のようです。)

③上限価格
お客様のご希望や高需要への期待を反映させた価格のご提案となります。
(期待価格となるので、この上限価格に関してはあまり参考にしてもしょうがない価格だと思います。何か良い要因があって、もしかして、高く売れるとしたら?というラッキー価格だと思いました。)
つまり、査定価格を中心に上限下限の価格帯があって、売出価格を設定して展開するが、その後の事情や条件で価格帯が下限に近く変動してくるということだと理解しました。
このあたりを早めに読み取れるかどうか?が自宅中古マンションの売却査定で一番大事なポイントになってきそうです。

ここまで大成有楽不動産販売の「不動産査定報告書」の中身をご紹介しつつ、いくつかポイントになる点に関して触れて来ました。この4回目だけでは、ざっと触れたという形にしかなっていませんので、次の5回目で、もう1社の大京穴吹不動産の「不動産査定報告書」を同様の点にフォーカスしながら、ポイントをまとめてご紹介したいと思っています。