不動産売買における媒介契約の種類は?

不動産査定会社を選ぶ選択肢としての前情報

 

こんにちは。この記事を紹介しているムギタです。今日の「一括査定サイトで売却査定してみた」7回目は、前回6回目におさらいの形でお話しした査定価格と査定価格の考え方、瑕疵担保責任とは?に続き、媒介契約の種類についてお話ししたいと思います。本当は、そろそろ2社に絞り込んだ不動産査定会社のどちらを売却依頼先に選ぶのか?また、どういうポイントで選ぶのか?に移りたいところですが、あと少し、知識として押さえておかなくてはならない要素のお話をした上で、自宅中古マンションの売却先を選ぶポイント、という流れでご紹介することにします。

さて、最初にご説明するのは、「媒介契約」についてです。一度でも自宅中古マンションを査定や売却をしたご経験のある方には、「今さら・・・知っているよ。」と言われてしまいそうですが、媒介契約とは何か?という話に関しては、一般的には意外と知られていない要素だと思います。私もこのイエウールを通じていくつかの不動産査定会社に売却査定の依頼をしたことで、初めて知ったことでした。「いざ、売却しよう!」という段になれば、「媒介契約」は、必ず結ばなくてはならないため、知っておいて損はないと思いますので、予備知識として入れて頂ければ幸いです。

専任と一般、「媒介契約」は大きく2種類ある!

 

まず、契約の種類は大きく、専任媒介契約と一般媒介契約の2種類があります。さらに、専任媒介契約は、専属専任媒介契約と専任媒介契約に分かれています。これらの契約は「自宅中古マンションを売却する!」と決断した際、売却依頼するため不動産会社と売り主間で締結する「媒介契約」になり、必ずいずれかの契約を結ぶ必要があります。基本的には、どの媒介契約で売買契約に至っても仲介手数料(媒介報酬額)は同じになります。

専属専任媒介契約とは?


特定の不動産業者に仲介を依頼し、他の不動産業者に重ねて依頼することができない契約のことを指します。この契約には条件が課せられています。その条件とは、契約した不動産業者は売却する側に対して、1週間に1回以上の頻度で、売却活動の状況がどうなっているのか?どんな進捗なのか?を報告する義務があります。このあたりは依頼する側として都度、進捗管理が出来るのでところが安心です。ただ、売却する側が、仮に自分自身で自宅中古マンションの購入希望者を見つけたとしても、この仲介が生きる形になり、契約した不動産業者を通じて売買契約を締結しなくてはなりません。

専任媒介契約


専属専任媒介契約と同じで、特定の不動産業者のみに仲介を依頼する契約で、他の不動産業者も含めて複数の業者に依頼することは出来ません。この点はですが、不動産業者は売却する側に2週間に1回以上の頻度で売却活動の状況を報告するという形になります。進捗管理の条件が緩いのが特徴です。また、売却する側は、自分自身で自宅中古マンションの購入希望者を見つけた場合、当事者間で直接売買契約を締結することもできるところが大きく違っています。

一般媒介契約


もう一つの“専任”ではない「一般媒介契約」は、複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼することができる契約になります。
複数の不動産業者に同時に仲介を依頼できるので、当初、自分自身ではこの一般媒介契約を選ぶ方が、チャンスが広がりそうだと思ったのですが、どの契約の形にもそれぞれメリットとデメリットがあるのが分かりました。例えば、一般媒介契約は、不動産業者から売却する側に対して販売活動の進捗の報告義務がないため、進捗状況は都度、それぞれの不動産業者に聞かないと分かりません。ですが、売却する側は、自分自身で購入希望者を見つけた場合、当事者間だけで直接売買契約を締結することも出来るという自由はあります。それでは、次にそれぞれのメリットとデメリットをお話しいたします。

専任


○メリット
1.不動産会社が発見の経緯や経路を問わないで活動する、つまり、さまざまな形で新しい買い手を見つけられる点に、まず、選択肢が多いというところが挙げられると思います。

その可能性の高さに比例して手数料を受け取る可能性も高まるので、自宅マンションの売却をなるべく早く、且つ、効率的に、と考えられている方にとっては、販売活動にかかる費用を投入する理由も分かり易くなると思います。

2.窓口となる不動産業者1社が全ての手続きの案内や、日程の調整を行ってくれます。加えて、新しい買主がどういった反応をしているのか?に関しても取りまとめて報告してくれます。つまり、売却する側にとって、手間やわずらわしさが少なくなり、情報を整理しやすく、通常の仕事や生活を邪魔することも少なくなると思います。

3.基本、不動産業者1社が見つけてくる、もしくはマンション購入希望者リストからの選定で選ばれる購入希望者になるので、購入を働きかける交渉を行う際、競合する不動産業者を意識して、売買契約の商談を急ぐ必要がありません。大抵の場合、売却する側は、購入希望者が現れると、先に押さえておかないと他の物件に流れてしまうのでは?と思ってしまいがちですが、その可能性が低いのが専任のメリットの一つです。なので、じっくり商談を進められる確率が高くなることは確かです。

以上、考えられる中でも3つのメリットがありますが、メリットだけということはありません。次にデメリットも挙げていきます。

○デメリット:
1.売却する窓口(販売の間口)が物理的に少なくなるため、購入希望者が集めにくくなる可能性が否めないことです。ただ、これは※レインズ(財 東日本不動産流通機構)に登録してもらえますので、大きなマイナスとはならないと思います。
※レインズに関しては、5回目の記事で詳しくご紹介していますが、レインズとは、「東日本不動産流通機構を通じオンラインで結ばれた不動産の売却・購入に関する情報システム」のことです。全国の不動産業者を通じて、売却主と購入希望者は会員化されており、レインズ上でスムーズに商談を進めることが可能です。市場動向に基づいた情報がリアルタイムで蓄積されているのもこのレインズの特徴になります。
次に一般媒介契約を行う場合のメリットとデメリットもご紹介いたします。

一般


○メリット
1.多くの不動産業者に声がけすることが可能なため、その分、必然的に売却する間口(窓口)も広がり、購入希望者を集めやすくなることが大きなメリットです。可能性を高めることを考えれば、この一般媒介契約を選択しがちではありますが、一方でデメリットも多いのが特徴です。

○デメリット
1.購入希望者を見つけるために行う、不動産業者各社が掲示する広告活動が重複しやすくなります。各社それぞれに物件広告掲載を依頼することになりますので、例えば、誤植などが出た場合は、各社に修正依頼をしなくてはなりません。販売のための宣伝・広報活動に関しても、売却する側にチェックしたり、校正したりといったことは、仲介依頼した不動産業者の数だけ手間が掛かってしまう可能性が高くなります。また、不動産業者によっては、広告手数料がまちまちになり、販売活動が不安定になりがちです。

2.売却する側が自分自身で複数の不動産業者と購入希望者の情報や日程等の調整をする必要があります。また、複数の不動産業者に対して売却する側が、販売状況の進捗がどうなっているのか?は、その都度、ヒアリングしなくてはなりません。

3.案内した購入希望者に対して、購入を働きかける場合、購入希望者を連れてきた不動産業者からすれば、競合他社とのスピード勝負になります。そのため、他社に先んじなければならない焦りから、決断を急がせてしまう状況に陥ることも多々あります。こうしたことのせいで購入希望者の購買意欲が削がれてしまい、まとまる契約もまとまらなくなってしまうことは想像に難くありません。一般的に、専任媒介契約に比べて成約確率が低くなりがちと言われている一因のようです。

4.複数の不動産業者が物件広告をランダムに投入してしまう可能性もあります。これは、購入希望者からすれば、見ようによっては、「売れない物件だからたくさんの不動産業者に広告依頼を出している」と思われてしまい、敬遠される可能性もあるようです。多くの広告活動をすれば、その分売り易くなると売却する側は考えがちですが、そうでもないようです。このあたりはシロウト考えではなく、不動産業者の経験則や大手不動産業者の営業マンの情報も前もってヒアリング出来ると良いと思います。

ここまで専任媒介契約と一般媒介契約がどういったものか?と、それぞれのメリット、デメリットについてご紹介してきました。大抵の場合、不動産業者や不動産査定会社は専任媒介契約をオススメしてきますが、その選択肢は決して悪い選択肢ではありません。営業マンが言葉巧みに誤魔化して、話に乗せようと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、専任媒介契約を選んだ方が、メリットが多いことは確かです。ただ、すでに購入希望者の目途が立っているとか、家族や友人・知人に売ろうと思っている、といった方には、広報宣伝活動も特に必要ないので、仲介依頼するなら一般媒介契約を選んだ方がよいなど、ケースバイケースで選択して頂ければと思います。

「物件情報等報告書」も大事


前回6回目の記事の後半で、瑕疵担保責任についてご紹介しています。自宅中古マンション売却の際には、この瑕疵担保責任が必ず出てくるので知識として知っておく必要があります。瑕疵担保責任とは、「売却する側が買い受ける側に対して負う欠陥や不具合の責任のこと」です。つまり、不具合が生じている箇所があった場合は、その箇所を購入者に対して最初から明らかにしておかないと損害賠償義務が発生してしまい、あとあとトラブルのもとになりかねないので、気をつけましょう、という話でした。この瑕疵担保責任でトラブルにならないようにするために用いるのが「物件状況等報告書・設備表」です。この書類を基に、購入希望者にきちんとした説明をした上で、契約を交わすことになります。安心材料として必要な資料になります。

「物件状況等報告書」は、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方について」で示されている「売主等による告知書」の記載事項等を参考にして、不動産流通経営協会(FRK)が作成した標準書式になりますので、形式が決まっています。売却する側が売買物件の状況等を購入希望者に説明し、両者とも署名、押印をします。前提としてトラブルを避けるために設けられているので、両者の承認と共有が目的になります。

仮に、物件に瑕疵(欠陥や不具合のことをいいます)があった場合、この書類で購入希望者にあらかじめ説明する形になるので、ここで了承をもらえることが重要になります。
瑕疵には物件に関する物理的瑕疵だけではなく、心理的瑕疵(事件・事故・自殺)や、物件に何等かの影響を及ぼすおそれがある建築計画や騒音・振動・臭気等の発生、暴力団事務所等が物件の近隣周辺にあるか否かも購入する際の重要な判断基準となるので、知っている事実をできる限り詳細に説明するようにすることが大切です。また、住戸内設備に関しても、FRKが作成した標準書式の設備表があるので、こちらも併せて記載・説明する形になります。売却する側は、「主要設備」のうち、「故障・不具合」欄に「有」とした「主要設備」および(その他の設備)」については、故障・不具合があったとしても修復義務を負いませんので、将来のトラブルを防止するため、故障・不具合がある場合は、その状況を備考欄に記入する必要があります。また、使用不能な設備については、撤去もしなくてはなりません。使用期間が経過している設備が故障した場合、メーカーによっては故障個所の部品がなく、修復ができない事態が発生する場合がありますので、特に注意が必要になるからです。

この査定7回目の記事では、媒介契約と物件情報等報告書に関して前情報知識としてご紹介して来ました。厳密な不動産査定業者を選ぶポイントではないかもしれませんが、このあたりの情報の説明をしてくれる不動産査定会社かどうか?も選択基準になってきますので、知識として踏まえて頂ければと思います。