基礎編 中古マンション売却査定マニュアル(2)

売却の流れと基礎知識

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

ポイント(1)では、中古マンションを売却する前に知っておきたいポイントを解説してきました。ここでは、中古でマンションを売却する際の売却活動と売買契約を結ぶまでを解説していきます。

中古マンション売却活動の開始は訪問査定から

 

<中古マンションの訪問査定を受ける>

売却計画でだいたいの売却出来そうな相場の価格がわかったところで、本格的に不動産業者へ査定を依頼します。この段階では、実際に不動産業者の営業マンがマンションを訪問して詳しい状況を加味して査定を行う訪問査定を依頼します。
複数の業者と媒介契約が結べる一般媒介で売却活動を進めたいと考えた場合、複数の業者に査定を依頼する事になります。しかし、どのようにして、複数の業者を探したらいいのか分からない、といった方もいらっしゃるでしょう。その場合、一回の入力で複数社へ同時に査定を依頼出来る一括査定サイトを利用するのが便利でしょう。一括査定サイトでは、物件の情報を入力するとその物件の売却に適した不動産会社を複数表示してくれます。ですから、手間をかけずに複数の不動産業者に査定を依頼出来るのです。

<不動産業者の選び方>
一般媒介ではなく、専任媒介契約を結んで売却活動を進めたいと考えた場合、1社に絞らなければならないので、一般媒介の場合よりも不動産業者選びはより重要になってきます。
中古マンションを売却するのが初めてだという場合は特にどのような業者が信頼出来るか分からないでしょう。その場合にも、一括査定サイトで複数の業者から査定を取り、業者の対応などを比較して選ぶことをおすすめします。
ただし、この際に、査定額が一番高かったからという理由だけで売却を任せる業者を決めてしまうのはおすすめ出来ません。媒介の契約を取りたいという理由でわざと高い査定価格で惹きつけようとする業者も中にはいるからです。売却出来そうな相場よりもかけ離れた査定額をつけてくる業者には注意が必要でしょう。

一括査定サイトといっても、非常に多くのサイトが存在しています。どの一括査定サイトを利用すればいいのか分からないといった方に、参考サイトをご紹介しておきます。
一括査定サイトのおすすめはこちらをご覧下さい。 https://www.100sai-movie.jp

中古マンションの売却価格はどのように決めるのか

 

訪問査定では、より詳しい価格を査定して算出してくれますが、この価格でマンションが売却出来る、というわけではありません。中古の場合マンションの売却価格は不動産業者と相談の上で売主が決めます。買主は出来れば安く購入したい、と考えますから値引きを交渉してくる場合もあります。買主と売主の間で値段の交渉がまとまれば売買契約を結ぶ事が出来ます。その際の価格を成約価格といいますが、その成約価格が売り出し価格よりも値下がりするのか、ほぼ売り出し価格のままで売却出来るのかは、売ってみるまで分からない難しいところです。
買い換えやローンの返済が絡んでくる場合には特に、この価格より下げては売れないという価格があると思います。ですから、ここまでなら値下げしてもいいという価格はいくらなのか、売却活動を始める前までにはあらかじめ決めておいた方がいいでしょう。
また、相場と比べてあまりに高過ぎる売却価格を設定して売り出してしまうと、購入希望者が全く現れないという状況にもなりかねません。そうなるとなかなか売却が難しくなります。逆にあまりに安く売り出してしまった場合、買手はすぐに付くと思いますが、もっと高値で売却出来たかもしれないのに損をしてしまうことになります。ですから、売り出し価格の設定は相場を確認しながら慎重にするべきでしょう。

売却活動に入った場合のポイントとは

 

<不動産業者の販売活動を確認しよう>
媒介契約を結んだ後は、不動産業者の販売活動の状況がどうなっているかを確認しましょう。中古マンションの広告の制作や宣伝などといった販売活動に関しては、売主が特に要望したものでない限りは、基本的に仲介する業者が全て費用をかけて行います。
一般媒介契約を選択した場合、仲介手数料を受け取れるのは成約出来た業者1社のみなので、販売活動を熱心に行ってくれない場合があるというのが欠点だと言われています。
しかし、インターネット上のポータルサイトに掲載してもらえば、十分な宣伝となるでしょう。ただし、一般媒介契約の場合には、売主側への活動報告の義務はありませんので、業者への確認は売主側から行うことが大切でしょう。
専任媒介契約の場合には、業者が売主へ販売活動を報告することが義務づけられています。また、レインズへの登録も必ず行われます。売主側は、レインズへ登録した内容を確認することが出来ますので、まずは登録内容をみずからチェックすべきでしょう。その際に、マンションの画像が少ない、図面が登録されていない、などといった場合には、すぐに業者へ登録を依頼しましょう。中古マンションの購入を検討する際には、物件の画像や図面は非常に重要な判断材料となるからです。

<内覧の対応>
中古でマンションを売却する場合に、実際に購入希望者は物件を見て購入するかしないかを検討します。購入希望者が物件を実際に見に来ることを内覧といいます。
売却する中古マンションが居住中だという場合は特に、内覧の対応をする必要性が出てきます。実際に内覧に訪れる購入希望者は、他の物件を何軒か見て比較検討している場合も多々あります。居住中なので難しいところですが、部屋は出来るだけ整理して全ての部屋をゆっくり見てもらえるように対応しましょう。

<購入申込書について>
内覧後に不動産業者を通じて「不動産購入申込書」または「買付証明書」という書面が渡される場合があります。これは、購入希望者が物件を気に入って購入を希望してくれたということです。このように書面にするのは、取引金額が大きいマンションなどの購入意思は書面で提示することが基本となっているからです。
この申込書には、購入希望者からの条件、例えば、購入希望価格や、物件の引渡し希望日などが書かれています。
希望者から提示された購入希望価格に納得出来れば、マンションの売却を承諾します。お互いの意思の確認ができた後は、いよいよ売買契約書の作成です。

売買契約での重要ポイント

 

中古マンションを売却する際に売主と買主で交わす売買契約書には、多くの専門用語が出てきます。契約書の作成は不動産業者が全て行ってくれますが、売主側もしっかりと内容を理解しておくことが重要でしょう。普段聞き慣れない用語も多く難しいと思いますが、ここでは契約する上で知っておきたい重要な用語をいくつかに絞って解説していきたいと思います。

<手付金と手付金解除とは>
中古マンションの売買契約を結ぶ際に、一般的に買主から売主に対して手付金が支払われます。この手付金は後で売買代金に充てられます。この手付金ですが、売買代金の一部という以外にも重要な意味があるのでしっかり覚えておきましょう。
手付金の金額は、マンションの売買金額の10%程度が一般的な額でしょう。売買契約を結んでからマンションを引渡すまでは1カ月以上の期間があります。その間に売主、買主どちらかの都合で契約を解除したい、となった場合にこの手付金が機能することになります。
まず、買主の都合で契約を解除する場合は、手付金を放棄します。
売主側の都合で契約を解除する場合には、買主から受け取った手付金の倍の金額を支払うことで解除することができます。手付金による契約の解除を「手付解除」と言い、売買契約書には「手付解除」の条文が記載されるのが一般的です。ただし、売買契約から引渡し日までの間ならいつでも手付解除で契約を解除できるというわけではありません。民法はその期間を「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と定めています。実際には契約の履行に着手したのがいつなのかを証明するのが難しいため、トラブルを避けるために解除期日を設けてあることが多いと思いますので、しっかり確認しておきましょう。

<ローン特約とは>
次に注意しておきたいポイントは、住宅ローン特約です。
マンションを購入してくれる買主は住宅ローンを利用する場合が多いと思います。しかし、もしかすると銀行のローン審査に通らない、という場合もあるかもしれません。ローンを組めなければ購入できませんので、ローン審査に通らなかった場合には契約を解除することが出来るという条項を売買契約書に入れるのが一般的となっています。違約金無しで解除することが規定されています。その場合には買主から受取った手付金は全額戻す必要があります。うっかり使ってしまって返せない、などとならないように注意しましょう。
この場合は、契約が白紙に戻りますので仲介手数料を支払う必要はありません。売買契約時に半額支払っている場合には、支払った額が戻ってきます。

<危険負担とは>
マンションの売買契約を結んだ後、引渡しまでの間に、売主買主双方に責任が無い理由でマンションが滅失したり破損したりした場合に、その損失は売主、買主のどちらが負うのかという取り決めを危険負担といいます。具体的には、放火による火事や自然災害によってマンションが破損した場合などを思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。そのようなどちらにも過失や責任のない損失に関しては、原則売主側が負担を負う事になります。
売買契約から引渡しまでの間に、自然災害などでマンションが破損するというのは滅多にない事かもしれません。しかし売買契約時には必ず条項が入れられますので、危険負担についてあらかじめ知っておくようにしましょう。

<瑕疵担保責任とは>
前回も瑕疵担保責任について説明をしましたが、もう一度おさらいしておきたいと思います。中古でマンションを売却した後に物件の欠陥が見つかった場合は、売主側に責任があると定めたものが瑕疵担保責任です。しかし個人が中古マンションを売却する場合に、長期間の責任を負うというのは負担が重いでしょう。ですから、個人間の取引の場合には、売主の瑕疵担保責任を負う期間を売買契約書に明記しておきます。一般的に2~3ヵ月の期間で定めます。

<重要事項の説明とは>
宅建業法の規定で、不動産業者は契約成立までの間に買主に対して不動産の重要な事項を説明することが義務づけられています。重要事項の説明は、マンションの買主が取引の内容をよく理解して納得の上で売買契約を結ぶ事を目的に行われます。この重要事項説明のために、売主は物件に関連した書類を渡したり、情報などを不動産業者へ正確に伝えたりする必要があります。この中で、マンションの付帯設備や状況について説明した書面が「告知書(付帯設備及び物件状況確認書)」です。売主しか分からない欠陥や不具合などがあれば、告知書として提出する必要があります。

<仲介手数料の支払いについて>
仲介手数料とは、売買の取引が成立したときに仲介をした不動産業者に支払う手数料です。売買契約を結んだ時点では、仲介手数料を半額支払うことが商習慣として一般的となっています。残りの半分は、マンションの引渡しの時です。
先ほども述べたとおり、ローン特約で契約解除となった場合、仲介手数料は返金されます。
しかし、手付解除で契約が解除された場合には、既に支払った仲介手数料は返金されないと考えておいた方がいいでしょう。媒介契約などで買主都合による解除の場合は手数料を支払わない旨の取り決めがなければ、買主都合による解約でも売主に仲介手数料の支払い義務が生じてしまいます。ただし、報酬の全額支払いを求められるかどうかは業者の対応によるところが大きいでしょう。

中古マンション引渡しまでにやっておくべき事

 

売買契約締結後はいよいよ引渡しに向けての準備に入ります。ここでは、引渡しまでにやっておくべき事を説明していきたいと思います。

<抵当権を抹消する準備>
売却する中古マンションに住宅ローンの残債がある場合には、マンションには金融機関が設定した抵当権が付いています。それを引渡し当日に抹消する手続きをします。抵当権を抹消するには金融機関の了解があらかじめ必要です。引渡日が確定したらすぐに金融機関へ連絡しておきます。というのは、金融機関が書類を揃えるのにある程度の期間が必要だからです。

<告知書の内容を実際に確認する>
引渡し日当日は、買主からの残代金の支払いを確認した後、マンションの規約などの書類や鍵を引き渡す手続きなどが主になります。ですから、売買契約時に売主側に渡した告知書通りかどうかは事前に確認作業を行っておきましょう。

<引越しの準備>
引渡しの当日までには、マンションを空にして引っ越しが完了している必要があります。ですから、売買契約を結んだ後、引渡しまでの間で引越しをしなければならないのです。引っ越し業者と引っ越し日の打ち合わせが済んだら早めにガスや水道、電気、電話等へ連絡をしておく必要があります。またマンションの管理組合へも連絡が必要です。

引渡し当日の流れ

 

引渡しの場所は、買主が住宅ローンを組む金融機関の店舗で行われる事が多いでしょう。また、大きな金額が動く関係で、何かあっても対応出来る平日の午前中に設定される事が一般的となっています。
引渡しではまず買主側がマンションの購入代金の残りを買主側の口座へ入金します。売主側が入金を確認した後で、次に諸費用の精算を行います。諸費用とは、固定資産税、管理費・修繕積立金等です。固定資産税は売却した年度は売主に請求が届きます。これらを精算するかどうかは売主と買主の話し合いで決まります。
マンションを引渡す場合に売主側が準備する書類を見てみましょう。
・「登記済権利証」または「登記識別情報」
・実印と3ヶ月以内に取得した印鑑証明書
・固定資産税・都市計画税納税通知書
・住民票
・免許証などの本人確認書類
・固定資産税評価証明書
・鍵(スペアキーなども全て)
・抵当権等抹消書類
・マンションの管理費・修繕積立金の額が確認出来る書類
・購入時のパンフレットなど
・マンションの管理規約・使用細則
マンションの鍵を買主に引渡し、これでマンションを無事に引き渡したことになります。
次に登記の申請です。一般的に登記申請は買主側の司法書士にお願いする形がほとんどでしょう。司法書士は、残代金の精算と引渡しが終了してから、そのまま法務局に行って登記申請を行います。
最後に、仲介手数料の残額を支払います。契約時に半額支払い、引渡し時に残りの半分を支払います。
以上、ここまで引渡し時の流れについて説明しました。

中古マンション売却後の確定申告

 

マンションが無事に売却出来てほっとしてしまいますが、まだ確定申告があります。既に説明をした通り、中古でマンションを売却した人全てが確定申告の対象となるわけではありません。課税譲渡所得がプラスとなる場合に、確定申告を行う必要があります。
課税譲渡所得がマイナスの人は、原則的に確定申告をする必要はありません。全ての人にではありませんが、マンションを売却した後、税務署からお尋ねと書かれた書類が届く場合があります。急に税務署から質問が来てびっくりするかもしれませんが、税務署は不動産売却の細かい情報を把握したいという目的で送付してくるので、しっかり事実を答えましょう。また、マイホームを売却した場合、課税譲渡所得がマイナスになっても税金が戻ってくる特例があります。この特例を利用したい場合には確定申告が必要になります。
中古でマンションを売却した場合に、譲渡利益が出る方が希で、ほとんどの方は譲渡損失が発生しているでしょう。個人がマイホームを売却した場合はこの特例を利用すれば税金が戻りますので、ほとんどの場合で確定申告をした方が良いという事になるでしょう。

<確定申告に必要な書類>
確定申告する際に必要な書類を見ていきましょう。まず所定の申告書は、最寄りの税務署で手に入れる事が可能です。また、パソコンが使用出来れば、国税庁のホームページの「確定申告書作成コーナー」で作成することできます。ここで、必要項目を入力し、作成した申告書をプリントアウトすれば、申告書として税務署に提出が可能です。申告書以外に添付する書類について主なものをあげておきます。

・「譲渡所得の内訳書」
売却した不動産の概要、売却金額、費用などを記載した書類です。マンションを売却した後に税務署から送付されますので、記入して確定申告書に添付します。

・「売却した際の書類」
売買契約書、売買代金受領書、固定資産税精算書、仲介手数料などの領収書など。これらの書類のコピーを添付します。

・「取得時の書類」
売却した中古マンションを購入した時の売買契約書、固定資産税精算書、仲介手数料の領収書などのコピー。リフォームなどを行った場合は業者の請負契約書や領収書のコピーなどを添付します。

売却が終わってから確定申告まで期間が空いてしまう場合も多いでしょう。必要な書類などは紛失しないように保管しておきましょう。

ここまで、中古マンションを売却する前に知っておきたいポイントや、中古マンションを売却するための売却活動と売買契約を結び引渡し完了までを解説して来ました。
これらの重要なポイントや流れをしっかりと押えておくことで、実際に売却活動に入ってからもスムーズに売却を進めることが出来るでしょう。

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