不動産売却のポイント|価格・会社選び・媒介契約の判断基準を宅建士監修で整理

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

不動産売却で結果を左右するポイントは、「物件そのもので決まること」と「売主が動かせること」に分けて考えると整理できます。立地や築年数は変えられませんが、売り出し価格の付け方、依頼する会社の選び方、媒介契約の種類、内覧の対応、売却期間の設定は売主が決められます。同じ物件でも、この5つの判断で結果は変わります。この記事では、価格を左右する要素、相場を自分で調べる方法、会社選びと媒介契約、やってはいけないこと、費用と税金までを、公的データと法令の出典つきで順に整理します。あわせて、査定申込にポイント還元がつくケースの注意点も後半で扱います。

この記事でわかること

・売却の結果を左右する要素のうち、どれが自分で動かせるのか
・査定を受ける前に相場を自分で確かめる手順(国の公開データを使う)
媒介契約3種の違いと選び方(レインズ登録・報告頻度・期間は法令で決まっている)
やってはいけない7つのことと、その理由
費用と税金の目安(仲介手数料の上限は国土交通省告示に基づく)
査定申込にポイント還元がつくケースの見方と、申し込み前に確認する3点(記事後半)
※ポイントサイト経由の還元を狙っている方へ:本記事内の査定リンクは当サイトの広告リンクで、ポイントサイトの還元対象にはなりません。還元を優先する場合は各ポイントサイト側からお申し込みください。

監修:森(宅地建物取引士/埼玉県知事 第046541号)/株式会社スマートアンドカンパニー 専任/執筆:株式会社スマートアンドカンパニー 編集部(収益物件の買取・再販)

  1. 不動産売却のポイントは「物件で決まること」と「売主が動かせること」に分けて考える
  2. 売却価格を左右する5つのポイント
    1. 市況は「価格」だけでなく「動き」で見る
  3. 売り出し前に押さえるポイント:相場を自分で調べ、査定を正しく取る
    1. 机上査定(簡易査定)と訪問査定の違い
    2. 査定を依頼する前に揃えておく書類
  4. 不動産会社選びのポイント:媒介契約3種と「高い査定額」の読み方
    1. 査定額の高さだけで選ばない
    2. 媒介契約は3種類。レインズ登録と報告の頻度が法令で決まっている
  5. やってはいけない不動産売却7選
    1. ① 手当たり次第に一括査定へ申し込む
    2. ② 相場を調べずに、価格を会社任せにする
    3. ③ 物件の不具合や履歴を伝えない
    4. ④ 複数社に依頼しながら連絡を放置する
    5. ⑤ 売り出す前に、自己判断で大規模リフォームや解体をする
    6. ⑥ 売却の期限を決めずに始める
    7. ⑦ 値下げ交渉に一律で応じない/逆にその場で下げる
  6. 不動産売却の進め方7ステップ
    1. 売却にかかる期間の目安
  7. 売却にかかる費用と税金のポイント
    1. 税金で押さえる3点
  8. 条件が不利に見える物件でも打てる手はある
    1. 築年数が古い・建物の状態が悪い
    2. 再建築不可・接道や権利関係に不安がある
    3. 住宅ローンの残債が売却見込額を上回りそう
    4. 相続直後で名義や書類が整理できていない
    5. 遠方に住んでいて動きにくい
  9. 査定申込にポイント還元がつくケースの見方と注意点
  10. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 不動産を高く売るために、最も効果が大きいポイントはどれですか?
    2. Q. 査定は何社に依頼するのが目安ですか?
    3. Q. 媒介契約はどれを選べばよいですか?
    4. Q. 売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
    5. Q. ポイントサイト経由の査定は、通常の査定と何か違いがありますか?
    6. Q. 査定後に電話がたくさんかかってくるのが心配です。どうすればいいですか?
    7. Q. ポイントが付与されなかった場合、理由は何が考えられますか?
  11. まとめ
    1. この記事の要点
  12. この記事の監修者

不動産売却のポイントは「物件で決まること」と「売主が動かせること」に分けて考える

不動産売却の情報を集めていると、「立地が大事」「時期が大事」「会社選びが大事」と、あらゆることが重要に見えてきます。しかし実際に手を動かす段階では、自分では変えられないことに悩んでも前に進みません。まず全体を、価格への影響度と「売主が動かせるか」で仕分けしておくと、力を入れるべき場所がはっきりします。

要素価格への影響売主が動かせるか打ち手
立地・駅からの距離大きい動かせない相場を把握して価格設定に反映する
築年数大きい動かせない買主層と売り方(仲介/買取)を選ぶ
面積・間取り中程度動かせない同条件の事例で比較する
管理状態・室内の状態中程度一部動かせる掃除・修繕履歴の整理・内覧時の見せ方
市況(在庫と成約の動き)中程度動かせない公表統計で局面を確認して時期を判断する
売り出し価格の付け方大きい動かせる相場の幅の中で根拠をもって決める
不動産会社の選び方大きい動かせる査定額ではなく根拠と販売戦略で選ぶ
媒介契約の種類中程度動かせる3種の違いを理解して選ぶ・期間満了で見直す
内覧の対応中程度動かせる準備と当日の対応を整える
売却期間の設定中程度動かせる期限を決め、価格見直しの時期を先に決めておく

※影響度は一般的な傾向を整理した目安であり、公的統計に基づく数値ではありません。

この表の太字の5つが、売主が自分の判断で結果を変えられる部分です。以降はこの順に、何をどう決めればよいかを見ていきます。

売却価格を左右する5つのポイント

査定額がどう組み立てられているかを知っておくと、各社の提示額を比べるときの物差しになります。

要素査定でどう見られるか売主が事前にできること
立地・駅距離同じ沿線・同じ駅圏の成約事例と比較される公開データで周辺の成約価格帯を確認しておく
築年数建物部分の評価に反映される。法定耐用年数を超えると買主の融資年数が短くなりやすい買主層が変わる前提で仲介と買取の両方を検討する
面積・間取り単価×面積が基準。使いにくい間取りは補正で下がることがある類似間取りの事例を自分でも探しておく
管理状態・室内マンションは管理組合の運営や修繕積立金の状況も見られる管理規約・長期修繕計画・修繕履歴を揃える
市況とタイミング在庫と成約の動きで「売れるまでの時間」の見立てが変わる公表統計で局面を確認する(下記)

市況は「価格」だけでなく「動き」で見る

市況を見るとき、価格だけを追うと判断を誤ります。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の不動産市場動向によると、2026年6月の首都圏中古マンションは成約件数が前年同月比1.3%減(3か月連続の減少)在庫件数が3.5%増(4か月連続の増加)でした。一方で新規登録の㎡単価は前年同月比22.0%増と上昇が続いています。

つまり中古マンションでは、売主の希望価格は上がっているのに、成約は減り在庫は積み上がっているという局面です。これは「売り出し価格と実際に決まる価格の差が開きやすい」ことを意味します。だからこそ、根拠のある価格設定と複数社の比較が要ります。

ただし、物件種別によって局面は逆になります。同じレポートで首都圏の中古戸建住宅は、成約件数が前年同月比3.9%増(3か月連続の増加)、在庫件数が1.9%減(5か月連続の減少)と、マンションとは反対に需給が締まっています。自分の物件の種別の数字で見てください。

※数値は東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年6月度」より。対象は首都圏(1都3県)の中古マンションおよび中古戸建住宅です。近畿圏・中部圏・西日本はそれぞれの指定流通機構が同種の統計を公表しています。

売り出し前に押さえるポイント:相場を自分で調べ、査定を正しく取る

査定を受ける前に、自分でおおよその相場を掴んでおくことをおすすめします。目安を持っていれば、各社の提示額が高いのか低いのかを自分で判断でき、根拠を尋ねる会話もしやすくなります。国土交通省と指定流通機構が公開しているデータで、主要なものは無料で調べられます。

使うものわかること向く場面
国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産価格情報)実際に成約した取引価格。売出価格ではない自宅周辺の価格帯を掴む
東日本不動産流通機構 不動産市場動向月ごとの成約件数・在庫件数・平均価格売れるまでの時間の見立て
同ライブラリ(地価公示・地価調査)土地の公的な価格指標土地・戸建の目安づくり
不動産流通推進センター 価格査定マニュアル査定の考え方の体系査定書の読み方を知る(本体は宅建業者向けの有料サービス)

机上査定(簡易査定)と訪問査定の違い

査定には2種類あります。机上査定(簡易査定)は、現地を見ずに立地・面積・築年数と取引事例から概算を出すもので、依頼から数日で結果が出ます。訪問査定は担当者が実際に室内と現地を確認したうえで算出するもので、現地確認に1時間前後、報告までさらに数日かかります。どちらも宅地建物取引業者が行うもので費用はかかりません

使い分けは、まず机上査定で会社を絞り、絞った先にだけ訪問査定を頼むのが負担の少ない進め方です。詳しい違いは「見積もり」と「査定」の違い相見積もりの記事で整理しています。

査定を依頼する前に揃えておく書類

書類が揃っているほど、机上査定と訪問査定の金額差は小さくなります。すべて揃っていなくても依頼はできますので、あるものから確認してください。

書類何に使うか
登記事項証明書(登記簿謄本)または権利証面積・所有者・抵当権の確認
購入時の売買契約書・重要事項説明書取得費の確認(譲渡所得の計算に直結)
間取図・測量図・建物図面面積と形状の確認
固定資産税の納税通知書(課税明細書)評価額と税負担の確認
マンション:管理規約・長期修繕計画・管理費/修繕積立金がわかる書類管理状態の評価
リフォーム・修繕の履歴と見積書建物評価の加点材料
境界確認書などの土地資料戸建・土地で境界の争いがないことの確認

複数社に依頼するときは、渡す情報を全社で揃えてください。A社にだけ管理規約を渡してB社には渡さない状態では、金額差が物件の評価によるものか情報量の差によるものか判別できず、比較の意味が薄れます。査定の種類の違いは不動産売却の「見積もり」と「査定」の違いで整理しています。

不動産会社選びのポイント:媒介契約3種と「高い査定額」の読み方

売主が動かせる要素の中で、結果への影響がとくに大きいのが会社選びです。ここでの判断を誤ると、価格設定も販売活動もその会社の進め方に引きずられます。

査定額の高さだけで選ばない

査定額は「その価格で売れる保証」ではなく、「この価格で売り出せると考えます」という提案です。媒介契約を取るために高めの数字を出す会社もあります。比べるべきは金額そのものではなく、次の3点です。

根拠事例の提示:成約事例か売出事例かが区別され、件数と自宅との類似点が示されているか
販売戦略:想定する買主層、使う媒体、掲載を始める時期が具体的か
価格改定の見通し:反響が出なかった場合の見直し時期と下げ幅の考え方を、契約前に説明できるか

なお、査定額の根拠を尋ねるのは遠慮すべきことではありません。宅地建物取引業法第34条の2は、不動産会社が媒介契約に際して価額について意見を述べるときはその根拠を明らかにしなければならないと定めています。複数社の比べ方は不動産売却の相見積もりは失礼?何社が目安か・査定書の見方・断り方で詳しく整理しています。

媒介契約は3種類。レインズ登録と報告の頻度が法令で決まっている

種類自分で買主を
見つけたとき
レインズ登録報告の頻度有効期間
一般媒介
他社と併用できる
直接契約できる法律上の登録義務はない法律上の定期報告の義務はない(申込みがあったときの報告義務は3種すべてにある)法律上の期間の定めはない
専任媒介
1社のみ
直接契約できる契約日から7日以内(休業日は数えない)2週間に1回以上3か月以内
専属専任媒介
1社のみ
できない(会社を通す)契約日から5日以内(休業日は数えない)1週間に1回以上3か月以内

根拠は宅地建物取引業法第34条の2および同法施行規則第15条の10です。専任系の有効期間が3か月を超えられないこと、定期報告の頻度、レインズ登録までの期間はいずれも法令が定めた最低限のルールで、これに反する特約は無効とされています。

ここは誤解が多いところですが、「一般媒介だと報告してもらえない」わけではありません。買主から購入の申込みが入ったときに遅滞なく売主へ報告する義務は、一般媒介を含むすべての媒介契約に課されています(同条第8項)。表の「定期報告」は、申込みの有無にかかわらず活動状況を定期的に知らせる義務のことで、これが専任系にだけ課されているという違いです。

知っておきたいのは「契約後も見直せる」ことです。専任系の有効期間は3か月が上限で、更新には依頼者の申し出が必要です。つまり合わなければ期間満了で会社を変えられます。どれを選ぶかは、広く買主を探したいか、1社に責任を持たせたいかで決まります。

実際に何社へ声をかけ、査定書のどこを比べ、選ばなかった会社にどう断るか——相見積もりの進め方そのもの不動産売却の相見積もりは失礼?何社が目安か・査定書の見方・断り方にまとめています。この記事は売却全体の要点、そちらは会社を比べて1社に絞るまでの実務、という役割分担です。

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やってはいけない不動産売却7選

ここまでは「何をするか」の話でした。結果を落とすのは、むしろ「やってしまったこと」の側です。よくある7つを挙げます。

① 手当たり次第に一括査定へ申し込む

ポイント還元や「とにかく多くの会社から」という発想で、短期間に複数のサイトから連続して申し込むケースがあります。これには実務上のリスクが伴います。

不動産査定の申し込みを行うと、その情報は各不動産会社へと伝わります。もし、複数の異なるサイトや、条件の異なる多数の案件に対して短期間に連続して申し込みを行った場合、多くの不動産会社から一斉に電話やメールでの連絡が集中することになります。これは「ポイ活」としての効率は良いかもしれませんが、売却活動としては非常に煩雑で、管理が困難になることを意味します。

・大量の連絡による対応コストの増大
・情報の錯綜による判断ミスを招く恐れ

大切なのは会社の数ではなく、信頼できるパートナーを見つけることです。まずは3社前後に絞り、丁寧かつ正確な情報を提供しながら査定を依頼するほうが、結果的に比較の質は上がります。

② 相場を調べずに、価格を会社任せにする

自分に目安がないと、提示された金額が高いのか安いのか判断できません。高すぎる価格で売り出せば反響が出ずに時間だけが過ぎ、安すぎれば損をします。前章の公的データで、先に自分の物差しを持ってください。

③ 物件の不具合や履歴を伝えない

雨漏りやシロアリ、過去の修繕履歴などを伝えずに進めると、後で契約不適合責任の問題になりえます。現状引渡し(現況有姿)にすれば免責されるわけではありません。免責とするには契約書に特約を明記する必要があり、売主が知りながら告げなかった不具合については、免責特約があっても責任を負います(民法第572条)。最初から伝えたほうが、結果的に取引は安全に進みます。

④ 複数社に依頼しながら連絡を放置する

依頼先を決めたら、選ばなかった会社にも早めに断りの連絡を入れてください。放置すると相手は見込み客として追い続けるため、お互いの負担が増えます。断り方に迷う場合は相見積もりの記事に文例を載せています。

⑤ 売り出す前に、自己判断で大規模リフォームや解体をする

「きれいにしたほうが高く売れるはず」と考えて先に費用をかけるのは危険です。かけた費用を価格に上乗せして回収できるかは、物件と買主層によります。解体して更地にすると、古家付きの土地として安く探している買主層が対象から外れます。固定資産税の住宅用地特例も、1月1日時点で住宅が建っているかで扱いが変わります。売り出す前に不動産会社に相談し、必要な範囲を見極めてください。

⑥ 売却の期限を決めずに始める

「高く売れるなら売りたい」だけで始めると、反響が無いときの判断ができません。いつまでに売りたいのか、そのために何か月で価格を見直すのかを、売り出す前に決めておいてください。期限があるかどうかで、仲介と買取のどちらを選ぶかも変わります。

⑦ 値下げ交渉に一律で応じない/逆にその場で下げる

交渉が入ったとき、根拠なく一律に断ると反響そのものを潰します。逆にその場で即答して下げると、後から「もっと下がるのでは」と見られます。売り出す前に「手取りでいくら残れば納得か」を決めておき、そこから逆算した下限を持っておいてください。口頭で合意した条件はその場で確定させず、書面に落としてから進めます。

不動産売却の進め方7ステップ

ここまでのポイントを、実際に動く順番に並べ直します。

STEP1:目的と条件の整理

まずは「なぜ査定を行うのか」を明確にします。「今の価値を知りたいだけなのか」「近いうちに売却したいのか」「投資用として活用したいのか」によって、選ぶべき不動産会社も、仲介と買取のどちらが向くかも変わってきます。また、自身の希望する売却時期や最低限確保したい金額についても、あらかじめ自分の中で整理しておきましょう。

STEP2:相場を自分で調べる

不動産情報ライブラリで周辺の成約価格帯を確認し、レインズの市場動向で在庫と成約の動きを見ます。ここで持った目安が、以降すべての判断の基準になります。

STEP3:複数社へ査定を依頼する

まず机上査定で3社前後に絞り、訪問査定は2社程度に留めると負担を抑えられます。渡す情報は全社で揃えてください。電話が苦手な場合は、電話なしで使える匿名のAI査定登録不要のマンション査定シミュレーションから始める手もあります。

STEP4:媒介契約を結ぶ

前章の3種の違いを踏まえて選びます。契約前に、価格改定の考え方と報告の方法を確認しておいてください。

STEP5:売り出しと広告の確認

掲載されたポータルサイトの写真・文言・間取図を自分で見て確認します。専任系ならレインズへの登録証明も受け取れます。査定額に階数や方角がどう反映されるかはマンション査定は階数でいくら変わる?で具体的に整理しています。

STEP6:内覧に対応する

反響が出たら内覧です。準備と当日の対応はマンション売却の内覧ガイドに、2回目以降の見方は内覧2回目の記事にまとめています。

STEP7:交渉・契約・引渡し

買付が入ったら価格や引渡し時期の交渉に入ります。物件の状態は正確に伝え、契約書の免責条項は必ず確認してください。

売却にかかる期間の目安

7つのステップにどれくらいかかるかは、物件と市況で幅があります。区間ごとに分けて考えると計画を立てやすくなります(いずれも目安で、公的統計に基づく数値ではありません)。

査定〜媒介契約:数日〜2週間程度(書類が揃っていれば短くなる)
売り出し〜買付:ここが最も読みにくい。反響の有無で大きく変わる
契約〜引渡し:1〜2か月程度(買主の住宅ローン審査の期間を含む)

とくに2区間目は、中古マンションのように在庫が増え成約が減っている局面では長引きやすくなります(戸建は逆に需給が締まっています)。マンション売却にかかる平均期間もあわせてご確認ください。

売却にかかる費用と税金のポイント

手元に残る金額は「売却価格 −(費用+税金)」です。先に把握しておくと、価格交渉のときに引ける線が見えます。

費目目安根拠・注記
仲介手数料売却価格400万円超の部分は3.3%(消費税込み)。速算では「価格×3%+6万円」に消費税国土交通省告示。200万円以下は5.5%、200万円超400万円以下は4.4%(いずれも消費税込み)
仲介手数料(低廉な空家等)800万円以下の宅地建物は、上限が33万円(30万円の1.1倍・消費税込み)まで引き上げられる=通常の計算より高くなりうる同告示 第七「低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例」(令和6年6月21日改正)
印紙税契約金額により数千円〜数万円売買契約書に貼付
抵当権抹消費用登録免許税+司法書士報酬住宅ローンが残っている場合
譲渡所得税・住民税所有期間5年超は長期、5年以下は短期で税率が変わる(計算方法の詳細国税庁タックスアンサー(下記)
引越し・処分費用物件と量による居住中の売却で発生

仲介手数料の上限は「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(国土交通省告示)で定められています。表の料率は同告示の第二によるもので、消費税相当額を含んだ数字です。

800万円以下の物件では、通常の計算より手数料が高くなる場合があります。告示第七は、低廉な空家等について「第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができる」と定めているためです(上限は33万円)。たとえば500万円の物件なら通常の上限は23.1万円ですが、この特例では33万円まで認められます。安い物件ほど手取りへの影響が大きいので、媒介契約を結ぶ前に報酬額を書面で確認してください。

税金で押さえる3点

① 取得費から減価償却費相当額を差し引く。建物部分の取得費は、購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を引いた金額になります(国税庁 No.3252)。購入代金をそのまま取得費として計算すると、譲渡所得を大きく見誤ります。

② 税率は所有期間で変わる。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です(長期=国税庁 No.3208/短期=No.3211)。

③ マイホームには3,000万円の特別控除がある。居住用財産を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります(国税庁 No.3302)。

※適用要件は物件や個々の事情により異なるため、実際の適用可否は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

条件が不利に見える物件でも打てる手はある

「うちは築年数が古いから」「訳ありだから」と、売り出す前に諦めてしまう方がいます。条件が不利に見えても、売り方を変えれば手はあります。

築年数が古い・建物の状態が悪い

建物評価がほぼ出ない帯でも、土地の値段と解体費のバランス次第で更地・現況・買取のどれが有利かは変わります。古い家・ボロ屋の売却(現況と更地の比較)をご覧ください。

再建築不可・接道や権利関係に不安がある

一般の買主には融資が付きにくい物件でも、こうした物件を扱う買主層は存在します。訳あり物件の売却ガイドで選択肢を整理しています。

住宅ローンの残債が売却見込額を上回りそう

売却代金で残債を返しきれない場合、原則として抵当権を外せないため通常の売却は成立しません。差額を自己資金で埋められるか、金融機関と調整できるかが先に来る論点になります。まずは残債額と売却見込額の両方を正確に把握してください。

買い替えで、売る前に新居の資金が必要になる場合はつなぎローンと住み替えの記事が参考になります。

相続直後で名義や書類が整理できていない

相続登記が済んでいないと売却手続きに進めません。税務の扱いも通常の売却と異なります。相続不動産の売却と確定申告をご確認ください。

遠方に住んでいて動きにくい

現地に何度も足を運べない場合は、机上査定と写真・書類でのやり取りを前提に会社を選ぶこと、内覧の立ち会いをどうするかを最初に相談しておくことが要点です。

査定申込にポイント還元がつくケースの見方と注意点

最後に、この記事にたどり着く方の一部が探している「ポイ活」の話にも触れておきます。ポイントサイトを経由して不動産査定を申し込むと、ポイントが還元される案件があります。これは成果報酬型広告の仕組みで、不動産会社が支払う広告費の一部がポイントとして戻るためです。査定の内容そのものは通常の査定と変わりません。

ただし、ポイント獲得を主目的にすると本来の目的を見失いやすい点には注意が必要です。使う場合は次の3点を申し込み前に確認してください。

承認条件:申込だけで付与か、面談成立が必要か。年収や職業などの属性条件が付く案件もある
対象エリア:全国対応とは限らず、特定の都府県のみという案件がある
還元率とランク:利用実績によるランク制度で、同じ案件でも倍率が変わることがある

いずれにせよ、優先すべきは納得のいく条件で売却できるかどうかです。ポイントは副次的なものと位置づけ、会社選びと価格設定にこそ手間をかけてください。

※ポイント還元の条件・還元率は、各ポイントサイトおよび案件ごとに変動します。申し込み前に、利用するサイトの案件詳細でご確認ください。なお本記事内で紹介しているリンクは当サイトの広告リンクで、ポイントサイトの還元対象ではありません。ポイント還元を狙う場合は各ポイントサイト側から申し込んでください。

よくある質問(FAQ)

Q. 不動産を高く売るために、最も効果が大きいポイントはどれですか?

A. 売主が動かせる要素のうち、影響が大きいのは「売り出し価格の付け方」と「不動産会社の選び方」です。立地や築年数は変えられませんが、この2つは自分の判断で決められます。相場を自分で調べたうえで、査定額の根拠と販売戦略を比べて会社を選ぶことが、一般的には効きやすいとされています(影響度は目安で、公的統計に基づく数値ではありません)。

Q. 査定は何社に依頼するのが目安ですか?

A. 3社前後から始めるのが扱いやすい目安です。比較材料が得られる一方で、連絡対応の負担が過大にならない範囲だからです。ただしこの社数に公的な統計や法令上の根拠があるわけではありません。机上査定で絞り、訪問査定は2社程度に留めると負担を抑えられます。

Q. 媒介契約はどれを選べばよいですか?

A. 売れやすい物件なら一般媒介、時間や手間がかかりそうな物件なら専任系、というのが一般的な目安です。専任系は1社に絞るぶん責任の所在がはっきりし、レインズ登録と定期報告が法令で義務づけられます。専任系の有効期間は3か月が上限なので、合わなければ期間満了時に見直せます。

Q. 売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 物件と市況によって幅がありますが、査定から引渡しまで数か月かかることが一般的です。東日本不動産流通機構の公表統計では、2026年6月の首都圏中古マンションは在庫が4か月連続で増加し成約は3か月連続で減少しており、売れるまでに時間がかかりやすい局面です。売り出す前に期限と価格見直しの時期を決めておいてください。

Q. ポイントサイト経由の査定は、通常の査定と何か違いがありますか?

A. 査定の内容自体に違いはありません。不動産会社が行う査定作業は通常通りですが、申し込みの経路がポイントサイトを経由しているという点が異なります。ただし、案件によっては特定の条件(属性やエリア)を満たす必要があるため、その点だけ注意が必要です。

Q. 査定後に電話がたくさんかかってくるのが心配です。どうすればいいですか?

A. 一括査定サービスを利用すると、複数の会社から連絡が来るのが一般的です。もし電話を避けたい場合は、申し込み時に「メールでの連絡を希望」といった選択肢があるか確認するか、あらかじめ「現在は情報収集段階なので、連絡はメールでお願いします」と伝えておくのが有効です。

Q. ポイントが付与されなかった場合、理由は何が考えられますか?

A. 主な理由としては、「案件の承認条件を満たしていない」「対象エリア外の物件だった」「申し込み情報の入力漏れや誤りがある」などが挙げられます。また、不動産会社側が「単なるポイント目的の問い合わせ」と判断した場合も、承認されないことがあります。

まとめ

不動産売却のポイントは数多くありますが、売主が実際に動かせるのは「価格の付け方」「会社選び」「媒介契約」「内覧対応」「期間設定」の5つです。立地や築年数に悩むより、この5つに手間をかけたほうが結果は変わります。

この記事の要点

・要素を「物件で決まること」と「売主が動かせること」に分けて考える
・査定を受ける前に、不動産情報ライブラリとレインズで相場と市況を自分で確かめる
・査定額の高さではなく、根拠事例・販売戦略・価格改定の見通しで会社を選ぶ
・媒介契約3種はレインズ登録と報告頻度が法令で決まっている。専任系は3か月で見直せる
・不具合は隠さない。現状引渡しでも免責されるとは限らない(民法572条)
・仲介手数料の上限は国土交通省告示、税金は国税庁タックスアンサーで確認する
・条件が不利に見えても、売り方を変えれば手はある

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この記事の監修者

(宅地建物取引士/埼玉県知事 第046541号)/株式会社スマートアンドカンパニー 専任

同社は収益物件の買取・再販を手がけています。

本記事は上記監修者のレビューを経て公開しています(監修日:2026年8月8日)。媒介契約3種の法令表、仲介手数料と低廉な空家等の特例、税金に関する記述を含む本文全体が対象です。

本記事の法令・告示・税務に関する記述は、e-Gov法令検索、国土交通省告示、国税庁タックスアンサーの各一次情報を確認したうえで記載しています。市況の数値は東日本不動産流通機構の公表統計(2026年6月度)によります。記載の目安はいずれも一般的な傾向であり、実際の条件は物件・立地・市況によって異なります。個別の税務の取り扱いは所轄の税務署または税理士に、契約条件は宅地建物取引業者にご確認ください。

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