レインズに登録すると中古マンション売却が有利になる理由
中古マンションを売却する際、不動産会社から「レインズに登録します」と聞いたことがあるでしょうか。レインズとは Real Estate Information Network System (不動産流通標準情報システム) の略称で、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する、不動産業者専用の物件情報ネットワークです。売主・買主は直接アクセスできませんが、媒介契約を結んだ不動産会社を通じて「登録証明書」を受け取ることで、自分の物件が適切に登録されているかを確認できます。
本記事では、レインズの仕組みから登録証明書の入手方法、囲い込み業者の見抜き方、そして相続マンションや共同名義不動産でレインズを活用するときの注意点まで、専任宅地建物取引士の監修のもとで解説します。
【結論】レインズは不動産業者だけが物件登録・検索できるサイト
レインズの最大の特徴は、登録された物件情報を全国の不動産業者がリアルタイムで参照できる点です。これにより、A 社で売却を依頼した中古マンションが、B 社・C 社の顧客にも紹介される仕組みが成立します。売主が知らないうちに広い販路にリーチできるため、レインズへの登録は適正価格での売却を加速させる装置として機能します。
売主・買主の双方にメリットがあるレインズ登録
売主側のメリット: 専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶと、不動産会社にはレインズへの登録義務があります (専属専任は契約後 5 営業日以内、専任は 7 営業日以内)。これは宅地建物取引業法第34条の2第5項に基づく義務です。広い販路に物件情報が行き渡るため、相場に近い価格で買主が見つかりやすくなります。
買主側のメリット: 自分が依頼した不動産会社が、他社経由の物件情報まで横断的に紹介できるため、希望条件に合う物件に出会える確率が上がります。
レインズの登録証明書の入手と取引状況の閲覧
媒介契約締結後に必ず受け取るべきなのが「登録証明書」です。レインズに自分のマンションが登録された証として発行され、書類には登録番号と専用 ID/パスワードが記載されています。
登録証明書の使い方と「取引状況」の見極め
登録証明書に記載された ID とパスワードを使って、公益財団法人東日本不動産流通機構などのレインズ売主専用 WEB サイトにアクセスすると、自分のマンションの「取引状況」を確認できます。表示される取引状況は以下の 3 種類です。
- 公開中: レインズで全国の不動産業者に公開されている状態 (正常)
- 書面による購入申込みあり: 買い付け証明書が届いた状態
- 売主都合で一時紹介停止中: 売主が業者に「一時的に紹介を止めてほしい」と依頼した状態
もし媒介契約締結後にもかかわらず「公開中」になっていない、あるいは売主の意思に反して「一時紹介停止中」になっている場合は、後述する「囲い込み」のサインです。
レインズ閲覧時間の制約と利用ルール
売主のレインズ専用 WEB サイトは原則 24 時間利用可能ですが、一部の機能 (取引状況更新の反映タイミング等) は不動産業者の営業時間帯にのみ更新されます。日次ベースで取引状況をチェックする運用が現実的です。
レインズで「囲い込み」を見抜く方法と相続マンション活用
「囲い込み」とは、媒介契約を結んだ不動産会社が、他社経由の買い付けを意図的にブロックして自社の両手取引 (売主側と買主側の両方から仲介手数料を取る取引) を狙う不正行為です。レインズへの登録は法的義務ですが、登録後に「商談中」「紹介停止中」と虚偽の状態にして他社の問い合わせを退ける手口が存在します。
囲い込みのサインと売主が取るべき対応
以下のいずれかに当てはまる場合、囲い込みの疑いがあります。
- 媒介契約締結後、登録証明書がなかなか発行されない
- 取引状況が常に「商談中」または「一時紹介停止中」になっている
- 他社から「内覧したい」と問い合わせが入っているのに、売主にその情報が伝わらない
- 媒介契約期間中に売却が長引いており、価格を下げても進展がない
対応策: 売主自身がレインズの取引状況を週次でチェックし、不審な状態を見つけたら不動産会社に説明を求めるのが最大の予防策です。また、相続したマンションや共同名義の不動産は、共有名義の解消や相続登記の手続きに時間がかかる間に囲い込みされやすいため、特に注意が必要です。共同名義の場合、相続人全員の同意が揃うまで売却が進まないため、業者が「商談中」表示で他社をブロックする時間軸を稼ぎやすい構造です。
イーライフ相続登記 なら、相続登記から共同名義の解消まで一気通貫で進められ、囲い込み回避の前提となる「正常な売却体制」を作れます。
レインズに登録しない選択肢と一般媒介での売却
専任媒介・専属専任媒介契約ではレインズへの登録義務がありますが、一般媒介契約ではレインズ登録は任意です。一般媒介で複数の不動産会社に売却を依頼する場合、各社が独立で販売活動を行うため、レインズに頼らず自社顧客への紹介で売却することも可能です。
レインズに登録しない場合のメリット・デメリット
メリット: 売却情報を限られた範囲にとどめられるため、近隣に売却を知られたくないケース (離婚・相続トラブル等) で有用です。仲介手数料を無料・割引にする業者の中には、レインズ登録を行わない代わりに自社顧客への素早い売却で手数料を圧縮するモデルもあります。
デメリット: 販路が限定されるため、適正価格で買主に出会えるまでに時間がかかる可能性があります。相続マンションのように税務期限 (被相続人居住用財産の3,000万円特別控除の適用期限) があるケースでは、不利になる場面が多いです。
空き家化したマンションでのレインズ活用
相続したマンションを長期間放置していると、空き家として「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定される (2023年12月法改正・空家等対策の推進に関する特別措置法) リスクが生じます。指定されると住宅用地特例が外れ、固定資産税が最大6倍になります。早期売却を狙うなら、レインズ登録で広い販路を確保するのが定石です。逆に賃貸活用や補助金活用を検討するなら、地域密着で活用ノウハウを持つ業者に相談する手もあります。
タウンライフ空き家解決 なら、空き家の売却・賃貸転用・補助金活用までまとめて相談できます。
レインズの誕生経緯と運用体制 — そして高く売却するためのまとめ
レインズは 1990 年の宅建業法改正で「指定流通機構」として法定化されました。当時、不動産流通市場の不透明性 (情報の囲い込み・架空案件・二重契約) が社会問題化しており、業者間で物件情報を共有する仕組みが必要とされていました。現在は東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構の 4 機構が地域ごとに運営しており、全国でほぼ全ての不動産業者がいずれかに加盟しています。
中古マンション売却で「レインズ」を理解しているかどうかは、適正価格で売却できるかを大きく左右します。媒介契約締結後は必ず登録証明書を受け取り、自分の物件が公開中ステータスで運用されているかを定期的にチェックすること。これが囲い込みを回避する最大の防御策です。
相続したマンションや共同名義の不動産では、相続登記の完了とレインズ登録の確認を並行で進めることで、税務期限内の売却を実現しやすくなります。住み慣れた家を離れたくない場合は、レインズに頼らずリースバック (売却後も賃貸借契約で住み続ける手法) で現金化する選択肢もあります。買戻し特約付きが多いため、いざという時に買い戻す権利を確保できます。
リアルエステート では、リースバックの相談を無料で受け付けています。
※本記事は監修者「森(株式会社スマートアンドカンパニー専任 宅地建物取引士)」のレビューを経て公開しています。記載の税制・法改正情報は2026年5月時点のものであり、個別の判断は最新の国税庁タックスアンサーおよび専門家への相談、宅地建物取引業法および公益財団法人東日本不動産流通機構等の公開資料に基づき推奨します。




