親が経営していた老朽化の激しいアパートを相続した、もしくは相続することになり、経営を維持するのが難しいから手放したいと考える相続人の方は多くいます。築年数の古いアパートは様々な問題を抱えているケースが多く、「このまま売却できず手放せないならいっそ相続放棄したい」という方に向けた内容です。この記事では以下を解説します。
・相続放棄した方がいいケース・しない方がいいケース
・売却が難しい相続アパートでも買取してもらえる方法
アパートを相続した場合の他の選択肢については、以下のガイドもあわせてご覧ください。
親が経営していたアパートを相続放棄する手順

親が経営していたアパートを相続放棄するには、家庭裁判所で手続きをする必要があります。裁判所での手続きといっても必ずしも弁護士など専門家に依頼する必要はなく、ご自身で行うことも可能です。
相続放棄に必要なものを用意する
相続放棄には申請書類と申請費用が必要です。
| 必要書類 | 内容 |
| 相続放棄申述書 | 放棄の意思・申請者と被相続人の氏名住所・相続の開始を知った日付・放棄の理由・相続財産の概略を記載。裁判所HPからダウンロード可能 |
| 被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 被相続人の住所を証明する書面。複数回の引っ越しがある場合は戸籍附票が必要 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 法定相続人を確認するための書類。除籍謄本・改製原戸籍謄本が必要な場合もある |
| 申請する本人の戸籍謄本 | 被相続人と同じ戸籍に記載があれば不要な場合もある |
申請書類には相続財産の内容(アパート以外の財産、アパートローンや借金の有無)を洗い出して記載する必要があります。相続放棄では財産の一部だけを放棄することはできず、負債とプラスの財産すべてを放棄することになります。手続き後に多額の資産が見つかっても取り消せないため、事前にしっかり調査しましょう。
自分で申し立てをする場合は2,000円〜3,000円程度(収入印紙800円・郵便切手代300〜500円・戸籍書類代1枚300〜750円程度)が必要です。弁護士や司法書士に依頼する場合は、報酬を含めて3万円〜6万円程度が目安になります。
裁判所への申し立てから受理まで
原則として申請者本人が、被相続人の住民票が最後にあった場所の家庭裁判所に書類を申し立てます。申し立てから10日ほどで家庭裁判所から照会書が送付されるため、必要事項を記入し期限内に返送します。問題がなければ数日〜数週間後に「相続放棄申述受理通知書」が届き、手続きが認められたことになります。
相続放棄が認められないケース
以下のケースでは放棄が認められなくなる可能性があるため注意が必要です。
・申し立て期限(相続開始を知った日から3か月以内)を過ぎてしまった(延長の申請も可能)
・相続財産の全部や一部を処分してしまった(賃料の請求・家賃受取口座の変更・相続財産からの債務支払いなど)
・相続財産の全部や一部を隠した
アパートを相続放棄したら全ての管理責任がなくなるの?

管理責任がなくなるケース
相続放棄した人は、初めから相続人ではなかったものとみなされます。法定相続人が複数いて自分以外の相続人が財産を相続すれば、放棄した人の管理責任はなくなります。
管理責任がなくならないケース
法定相続人が全員相続放棄した場合や、自分1人しか法定相続人がいない場合は、相続放棄後も管理義務が残ります。特に築年数が経った不動産では、倒壊などで近隣に被害を与えると損害賠償請求を受ける可能性もあります。このようなケースでは、家庭裁判所に相続財産管理人の選定を申し立てることができ、選任後は管理義務から解放されます。
アパートを相続放棄した方がいいケース・しないほうがいいケース

相続放棄した方がいいケース
相続財産に借金などマイナスの財産のほうが多いケースでは、相続放棄を検討したほうがよいでしょう。
・借金が多い:アパートローンの残債と売却査定額を比較し、負債が多すぎる場合
・被相続人が連帯保証人になっていた:連帯保証人の地位も相続人へ引き継がれ、返済を迫られる可能性がある
相続放棄しない方がいいケース
・負債が少ない:ローンが返済済み、または団体信用生命保険でローンが完済できる場合
・自身が被相続人の連帯保証人になっている:相続放棄が認められても連帯保証人としての返済義務は残るため、放棄のメリットが薄い
立地が良く経営状態が悪くないアパートであれば、しばらく運用したあとに高値で売却できる可能性もあります。負債がほとんどないアパートであれば、放棄よりも相続後の売却を検討したほうがよいでしょう。
相続放棄したいアパートは買取業者なら売却できる

築年数が古く老朽化が激しいアパートで、入居者も少ない状態でこのまま手放せるのか不安を抱える相続人の方は多くいます。「売却できなさそうだから、高い費用をかけて解体したり、固定資産税を支払い続けるくらいなら相続放棄したい」と考えている方は、その前に買取業者へ相談することをおすすめします。
相続不動産専門の買取業者であれば、以下のような問題を抱えたアパートでもそのままの状態で買い取ってもらえるケースが多くあります。
・入居者が残した大量の私物(残置物)がある
・再建築できない土地に建っているアパート
・現在の建築基準法に適合していないアパート
・雨漏りなど壊れている箇所が複数ある
・アパートに関する不動産書類を紛失している
・入居者がまばら、もしくはいない
弊社スマートアンドカンパニーでも、1都3県の相続アパートを上記のような状態のまま買取しております。
1都3県以外にお住まいの方は
相続放棄の前に、まず現況のまま買い取ってもらえるか査定額を確認してみることをおすすめします。借金が多い・連帯保証人になっているケースでも、査定額次第では相続してから売却するほうが手元に残る金額が大きくなることがあります。
【正しい買取】現況のまま無料査定を依頼する(残置物・老朽化ありでも査定可能)
仲介の売却が狙える相続アパートは?
買取業者に依頼すれば確実に買い取ってもらえますが、仲介の売却よりも多少売却価格は下がります。アパートの立地が良い、満室に近い、収支が黒字であるなど優良物件であれば、仲介による売却で買い手が見つかる可能性も高いです。高値での売却を狙うためには、複数の会社から査定を取って比較しましょう。
まとめ
相続アパートを相続放棄するときのポイントをまとめました。
・3か月の期限を過ぎると相続放棄が認められない
・借金が多い、経営状態が悪い、被相続人が連帯保証人で、なおかつ買取業者でも買い取ってもらえないアパートは相続放棄を検討する
実家(戸建て)の相続放棄を検討している場合は、管理義務の詳しい手順を解説した以下の記事もあわせてご覧ください。
※本記事は監修者「森(株式会社スマートアンドカンパニー専任 宅地建物取引士)」のレビューを経て公開しています。記載の税制・法改正情報は2026年時点のものであり、個別の判断は最新の国税庁タックスアンサーおよび専門家への相談を推奨します。




