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「武蔵小杉のマンションは水害で売れない」と言われることがありますが、結論から言うと、2019年の台風被害を理由に売却自体が難しくなるわけではありません。ただし、浸水歴のある物件を売るときは、通常の売却にはない告知義務を押さえておく必要があります。この記事では、なぜ「売れない」と言われるようになったのかという経緯と、売却時に法律上必要になる説明事項を整理します。現在の価格相場については、当サイトの武蔵小杉マンション相場記事で詳しく解説しています。
武蔵小杉が「売れない」と言われるようになった経緯
2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)では、多摩川の増水にともなう内水氾濫で武蔵小杉駅周辺が浸水しました。特に大きく報道されたのが、47階建てタワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」です。地下4階相当の貯水槽に雨水が流入して地下3階の床面からあふれ出し、地下に設置されていた受電設備をはじめとする電気設備が浸水。この結果、建物全体で停電・断水が発生し、電力の復旧に約1週間、給排水設備の復旧に約2週間を要しました。
この出来事が全国ニュースとなったことで、「武蔵小杉=タワーマンションが水害に弱い」というイメージが広く定着しました。ただし、報道で被害が明確に確認できているのは武蔵小杉エリアの一部の建物・一部の設備であり、エリア内のすべてのマンションが同じ被害を受けたわけではありません。被害の有無・程度は棟や階数によって異なるため、「武蔵小杉だから」と一括りにせず、対象物件が実際にどのような被害を受けたか(受けていないか)を個別に確認することが、正しい判断の出発点になります。
浸水歴のある物件を売るときに必要な「告知義務」
武蔵小杉に限らず、浸水歴のある物件を売却する際は、次の2点を押さえておく必要があります。
① 水害ハザードマップの説明義務(2020年8月28日施行)
宅地建物取引業法施行規則の改正により、2020年8月28日から、不動産の売買契約前に行う重要事項説明で、水防法にもとづく水害ハザードマップ上の対象物件の位置を提示・説明することが仲介業者に義務づけられています(宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第3号の2)。これは物件が過去に浸水したかどうかにかかわらず、水害ハザードマップに掲載されているすべての売買取引が対象です(賃貸借契約でも同様の説明義務があります)。国土交通省は、この説明にあたって「ハザードマップの浸水想定区域の外にあることをもって水害リスクがないと誤認させないよう配慮すること」も求めています。
つまり、浸水歴の有無を売主が判断して省略できるものではなく、仲介業者を通じて必ず説明を受ける(説明する)事項と理解しておくとよいでしょう。
② 実際の浸水・被害の事実を告知する
対象物件(または建物)が過去に浸水や設備被害を受けた事実を売主が把握している場合、それは買主の購入判断に影響する重要な事実です。2020年4月施行の改正民法により、こうした事実を告知せずに売却し、後から発覚すると契約不適合責任を問われる可能性があります。管理組合が公表している被害報告書や、実施済みの対策(電気設備の高所移設、止水板の設置など)の記録があれば、仲介業者と共有しておくと、告知の精度が上がり、買主側の不安の軽減にもつながります。
対象物件の被害の有無がわからないときは
まずは管理組合や管理会社に、当該建物の被災・対策の記録が残っているか確認することをおすすめします。そのうえで、複数の不動産会社に査定を依頼すると、告知すべき内容の整理も含めてアドバイスを受けやすくなります。
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告知すべき情報を整理する
浸水被害との関係で、売却前に整理しておきたい情報を一覧にしました。
| 確認する項目 | 確認先の目安 |
|---|---|
| 対象住戸・建物が過去に浸水被害を受けたか | 管理組合・管理会社の被災記録、当時の議事録 |
| 被害後にどのような対策工事が行われたか | 管理組合の総会資料・修繕履歴 |
| 対象物件の水害ハザードマップ上の位置 | 市区町村が公表するハザードマップ、仲介業者による重要事項説明 |
| 低層階・地下設備に近い住戸かどうか | 物件の階数・図面 |
これらを事前に整理しておくと、仲介業者との相談がスムーズになり、告知内容に漏れがあることによる後々のトラブルを避けやすくなります。
今の武蔵小杉の相場はどうなっているか
告知義務を押さえたうえで気になるのが「今売るといくらになるか」という点です。結論だけ先に言うと、武蔵小杉が含まれる横浜・川崎市の中古マンション市場は、2019年の台風後に一時見られた値下がりからは回復し、直近は上昇基調が続いています。対象月・上昇率などの一次統計、間取り別の相場、築年数の考え方、売り時の判断材料は、価格データを専門に扱う下記の記事にまとめていますのでそちらをご覧ください。
売却を検討するときに押さえておきたいこと
複数社に査定を依頼して相場観をつかむ
一社だけの査定では、被害イメージを理由に相場より低い金額を提示されても気づきにくいものです。複数の不動産会社に査定を依頼し、告知すべき事項も含めて相談しながら進めることをおすすめします。
売り出し前に告知内容を仲介業者とすり合わせておく
「告知すべき情報を整理する」で挙げた項目は、査定を依頼する段階で仲介業者に共有しておくと、重要事項説明の準備がスムーズになります。売り出しを始めてから告知内容を後出しにすると、買主との交渉で不利に働くことがあるため、査定と同時並行で整理を進めるとよいでしょう。
よくある質問
Q. 台風の被害を受けていない部屋でも告知義務はありますか?
A. 水害ハザードマップの説明義務は、被害の有無にかかわらず対象エリアの不動産取引全般に適用されます。一方、実際の浸水・設備被害の告知は、売主が把握している事実がある場合に必要になります。対象住戸・建物が被害を受けていないのであれば、その旨も含めて仲介業者に伝えておくとよいでしょう。
Q. ハザードマップの説明は自分でする必要がありますか?
A. 重要事項説明は宅地建物取引士が行うものです。売主自身が説明するわけではありませんが、対象物件がハザードマップ上でどう位置づけられているかを事前に把握しておくと、仲介業者とのやり取りがスムーズになります。
Q. 被害の事実を告知せずに売ってしまったらどうなりますか?
A. 把握していた事実を告知せずに売却し、後から発覚した場合は契約不適合責任を問われる可能性があります。管理組合の記録や対策状況を仲介業者と共有し、必要な事項を整理したうえで売却を進めることをおすすめします。
Q. 今の武蔵小杉のマンション価格はいくらくらいですか?
A. 台風後の一時的な値下がりからは回復し、上昇基調にあります。間取り別の目安や最新の統計、今後の見通しは、武蔵小杉の中古マンション相場で詳しく解説しています。
まとめ
・武蔵小杉の「売れない」イメージは2019年台風19号によるタワーマンション1棟の浸水被害報道が広まったもの。エリア全体・全建物が同じ被害を受けたわけではない
・浸水歴の有無にかかわらず、2020年8月28日以降は水害ハザードマップ上の位置を重要事項説明で説明することが義務化されている(宅建業法施行規則第16条の4の3第3号の2)
・実際に浸水・設備被害を把握している場合は、その事実を告知することが契約不適合責任のリスク回避につながる
・現在の武蔵小杉の相場は2019年の値下がりから回復し、上昇基調にある(詳しい統計は関連記事を参照)
告知すべき内容を整理したうえで、まずは複数社の査定額を比較してみることをおすすめします。
記載内容は一般的な目安であり、個別の物件・取引状況により異なります。本記事は株式会社スマートアンドカンパニー編集部が、国土交通省・e-Gov法令検索の公表情報および買取・再販の実務知見をもとに作成しています。個別の告知義務の有無については、取引を担当する宅地建物取引業者にご確認ください。