親や親族が所有していたアパートを相続すると、多くの方が「このまま経営を続けるべきか、売却すべきか、それとも解体して土地として活用すべきか」という悩みに直面します。特に築40年・築50年を超える老朽化したアパートは、建物としての資産価値がほぼゼロに近く、判断を誤ると赤字経営や売れ残りのリスクを抱えることになります。
収益物件の買取・再販を専門に手掛ける株式会社スマートアンドカンパニーが、築古の相続アパートに残された4つの選択肢(新築建て替え・売却・現状維持・相続放棄)を、それぞれの判断基準とともに解説します。あわせて、複数の相続人で共有名義になってしまった場合の注意点、相続税・解体費用といったお金の疑問についても整理しました。
アパート経営の知識がなく、築古アパートの相続が負担となっている方は、ぜひ最後までご一読ください。
「経営していく自信がなく、売却も難しそうなアパートを手放したい」という方は、まずこちらの章からお読みください。アパートを手放して現金化するための具体的な方法をご説明しています。
築40年・50年アパートを相続したら、まず何で選ぶべきかを判断する
4つの選択肢のうちどれが適しているかは、以下の5つのポイントを確認することである程度絞り込めます。一つずつ厳密に当てはまる必要はありませんが、判断材料として活用してください。
| 確認するポイント | 目安 | この状態なら… |
| 入居率 | 90%以上 | 現状維持・建て替えが有利 |
| 築年数・耐用年数の残り | 耐用年数超過 | 融資が組みにくく建て替えのハードルが上がる |
| ローン残債 | 少ない・完済済み | 売却・建て替えとも選びやすい |
| 毎月の収支 | マイナスが続いている | 売却を優先的に検討 |
| 相続人の数・合意形成 | 2人以上で意見が割れている | 共有名義のまま放置せず早めに整理 |
買取・再販の現場でご相談をお受けしていると、「とりあえず名義変更だけして、活用方法は先延ばしにしている」という相続人の方が非常に多い印象があります。しかし老朽化したアパートは先延ばしにするほど修繕費がかさみ、選べる選択肢自体が狭まっていきます。まずは上記の表で現状を整理したうえで、次の4つの選択肢を検討してみてください。
相続登記の義務化にも注意
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました(法務省)。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
「活用方法が決まっていないから」と名義変更を後回しにしていると、この義務化の対象となってしまいます。売却・建て替え・現状維持のどれを選ぶにせよ、相続登記自体は早めに済ませておくことをおすすめします。
また、入居者がいなくなり空室のまま放置してしまうと、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき「特定空家等」に指定されるリスクもあります。指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大で6倍程度になる可能性があります。「決めるまでとりあえず空けておく」という先延ばしが、かえって税負担を増やしてしまうケースもある点は覚えておいてください。
築40年築50年の古い相続アパートを新築アパートにして経営する(方法1)

新築アパートに建て替える方法とかかる費用
新築アパートに建て替えるには、まず一度アパートを解体して新たにアパートを建設します。
アパートの解体から新築までにかかる費用は、2階建8戸くらいのアパートで6,000万円〜1億円程度が目安です。
不動産会社のプランによって建設費用は大きく異なるため、複数社から建築プランを取り寄せてから新築するかどうかを判断する必要があります。土地を活かした活用プランの比較には、以下のような無料相談サービスが利用できます。
建て替えるべきか迷ったら、まず複数プランを比較する
建て替えの是非は一社だけの提案では判断できません。土地活用のプラン比較サービスを使えば、複数社の収支シミュレーションを無料で取り寄せられます。
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解体費用については以下の記事で詳しく解説しています。
相続アパートを取り壊すと節税の特例が適用されない?取り壊しの費用は?
新築アパートに建て替えたときのメリット
メリット1:空室対策に期待できる
築40年・築50年のアパートを壊し、現代のニーズにあった新しいアパートを建てれば、空室対策に大きな期待ができます。
例えば女性に入居してほしい場合には、セキュリティを強化し、バスルームや洗面所の使い勝手を良くすることでターゲットに明確にアピールできます。近隣の築浅アパートの家賃相場を見て、適切な家賃を設定しましょう。
メリット2:支払う税金を減らすことができる
築40年・築50年の相続アパートは、建物の耐用年数(減価償却期間)を過ぎているため、経費として計上できる費用が少なく税金を多く支払っている状態です。
アパートを新築すれば、新築にかかった費用を家賃収入から経費として差し引くことができ、確定申告で支払う税金を大きく減らせます。しかも耐用年数と同等の期間、経費として計上することが可能です。例えば木造アパートを建てた場合、その後22年間は経費として計上し節税することができます。
具体的にいくら計上できるか、3,000万円の木造アパートを新築したケースで計算してみます。
経費として計上できる費用(減価償却費)を出す計算式は以下の通りです。
償却率 × 新築にかかった費用 = 減価償却費
償却率は【1÷耐用年数】で算出します。木造アパートの耐用年数は22年と決まっているので【1÷22】で計算し、端数を切り上げると償却率は【0.046】です。
138万円を22年間、経費として計上できることになります。
耐用年数は建物の構造によって以下のように異なります。
| 建物の構造 | 耐用年数 |
| 木造 | 22年 |
| 骨格材が厚さ3mm以下の軽量鉄骨 | 19年 |
| 骨格材が厚さ3mm〜4mmの軽量鉄骨 | 27年 |
| 重量鉄骨 | 34年 |
| 鉄筋コンクリート | 47年 |
新築アパートに建て替える注意点:ローンを組めない場合もある
アパートを新築する際のローンを組めない場合があります。銀行の融資審査は、耐用年数がどのくらい残っているかで判断されるためです。
築40年・築50年のアパートは耐用年数を超えているため、建物の銀行評価額はゼロとなり、融資を受けることが難しくなります。土地自体の評価額に対して融資を受けられないか、銀行に相談してみる必要があります。
築40年築50年の古い相続アパートを売却する(方法2)

アパートを売却する方法
築年数の古いアパートを売却する方法には、「仲介での売却」「更地にしてからの売却」「買取業者に買い取ってもらう」の3つがあります。それぞれのケースでの売却のコツは、以下の記事で詳しく解説しています。
築年数の古いアパートを売却する3つの方法 それぞれのケースで売却を成功させるコツ
空室が多く老朽化の進んだアパートは、仲介での売却は難しく、費用をかけて更地にしてからでないと売却できない場合が多いのが実情です。一番早く売れる可能性が高いのは、残置物がそのままでも壊れた箇所があっても、その状態のまま買い取ってくれる買取業者に依頼する方法です。
アパートを売却するメリット
相続した古いアパートを売却するメリットは、「現金化できること」「アパート経営の大変さから解放されること」です。
古すぎて収益が見込めない場合、不動産投資家でない限り、アパートに次々と入居者が決まるような空室対策を独力で考えるのは正直難しいものです。老朽化が進んでいれば修繕費もかかり、維持し続けるだけでもお金がかかりますから、売却して現金化することも十分に合理的な判断です。
本当にいくらで売れるか分からない、というときは
老朽化したアパートでも、買取業者によって査定額は大きく変わります。一社だけに相談すると足元を見られるリスクもあるため、複数社の査定額を比較してから判断することをおすすめします。
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アパートを売却するときの注意点
アパートは相続してからすぐに売却すると、「相続税を意図的に逃れようとしているのではないか」という租税回避行為とみなされてしまう可能性があります。
相続したら一旦保有しておき、一定期間経過後に売却することが慣例となっています。具体的には、相続税の申告期限である10か月間に加え、税務調査が入りうる期間として3年を経過した頃合いが目安とされ、あわせて概ね4年間は相続したアパートを保有しておくのが無難とされています。
築40年築50年の古い相続アパートを現状のまま経営していく(方法3)

古いアパートを経営していく方法
築40年・築50年のアパートを、この先何十年も同じ状態で経営し続けるのは現実的ではありません。「何年後に売却する」という出口をあらかじめ決めておき、その間で回収できる範囲の費用をかけて修繕やリフォームを行い、空室対策をしていくのが現実的なイメージです。
出口を決めずに場当たり的な修繕を重ねてしまうと、投じた費用を回収しきれないまま売却時期を迎えることになりかねません。「あと何年で売却・解体するか」を先に決め、そこから逆算して必要な修繕だけに絞り込むのが、古いアパート経営を破綻させないコツです。空室対策としてのリノベーション費用と効果については以下の記事で解説しています。
古いアパートのリノベーション費用はいくらかかる?本当に空室対策につながるのか?
古いアパートの経営方法・売却判断については以下の記事で詳しく解説しています。
相続したアパート経営を成功させる方法 売却した方がいいかの判断基準は?
築40年築50年の古い相続アパートを相続放棄する(方法4)

相続放棄する方法と相続放棄した方がいいケース
最終手段として、「相続を放棄する」ことも選択肢の一つです。相続放棄を選んだ方がよいのは、亡くなった方に負債があった場合です。土地には価値があるかもしれませんが、多額の借金があった場合には返済義務も併せて相続することになるためです。相続放棄をすれば、借金を肩代わりせずに済みます。
相続放棄の具体的な手順と、放棄後にアパートがどう扱われるかについては以下の記事にまとめています(アパートは前者、実家・戸建ては後者を参照してください)。
【古いアパートを相続放棄】相続放棄の手順を解説!放棄しない方がいいケース! / 実家を相続放棄したい 相続放棄のメリットと注意点
相続放棄する時の注意点
相続放棄を行うと、受け取れるはずだったすべての財産を放棄することになります。アパートだけを選んで相続放棄することはできません。
一度相続放棄をしたら、撤回することもできません。次の相続順位の人に負債を押し付けることにもなりますから、周囲の相続順位も踏まえて検討しましょう。
迷ったときは誰に相談すればいいか
4つの選択肢のどれを選ぶにせよ、相談先を使い分けることでスムーズに進みます。
| 専門家 | 相談内容 |
| 司法書士 | 相続登記の手続き、共有名義の整理 |
| 税理士 | 相続税の申告、譲渡所得税のシミュレーション |
| 不動産会社(買取・仲介) | 売却査定、老朽化物件の現況買取 |
特に相続登記は司法書士に依頼すれば、共有名義の整理も含めて一度に相談できます。「まず何をすればいいか分からない」という段階でも、無料相談を受け付けている窓口は多いので、抱え込まずに早めに相談することをおすすめします。
兄弟姉妹の共有名義のまま相続してしまった場合の注意点
相続人が複数いる場合、遺産分割協議がまとまらないまま「とりあえず法定相続分で共有名義にしておく」ケースが少なくありません。しかし共有名義のアパートは、単独の判断で売却・建て替え・大規模修繕ができないという大きな制約を抱えます。
共有者全員の同意がなければ物件全体を売却できず、共有者の1人でも反対すれば話が進みません。自分の持分だけを売却することも制度上は可能ですが、買主から見ると他の共有者と共同で所有するリスクがあるため、買い手が見つかりにくいのが実情です。
相続人の年齢が上がるほど、また相続が重なるほど(数次相続)、共有者の数は増え、権利関係はより複雑になっていきます。共有名義のまま放置する期間が長くなるほど、あとから解消する手間も大きくなる点には注意が必要です。
共有名義を解消する方法は、大きく分けて次の3パターンがあります。
| 方法 | 特徴 |
| ①物件全体を売却 | 共有者全員の同意が必要。市場価格に近い金額で売却できる |
| ②自分の持分だけを売却 | 他の共有者の同意は不要だが、買主が見つかりにくく市場価格の1/2〜1/3程度になりやすい |
| ③他の共有者の持分を買い取って単独名義にする | 単独名義になれば以後の判断が自由になるが、買い取る側にまとまった資金が必要 |
相続人同士の関係が良好なうちに話し合いを済ませておくほうが、後々のトラブルを避けやすくなります。特に「①物件全体を売却」を選ぶ場合は、老朽化したアパートをそのままの状態で買い取ってくれる買取業者を探すと、共有者全員の合意形成から売却までをスムーズに進めやすくなります。共有名義不動産の具体的な売却方法・整理の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
共有名義(共同名義)不動産の判断基準|持ち続ける・売却・活用 / 不動産投資を共同名義で行うメリット・デメリット|相続トラブルを防ぐ注意点
相続税・解体費用など、お金の疑問を整理する
「選択肢はわかったが、結局いくらお金がかかるのか・かからないのか」という点も、判断を先延ばしにしてしまう大きな要因です。
相続税の基礎控除
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があり、遺産総額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。老朽化したアパートは固定資産税評価額・路線価をベースに評価されるため、想定より評価額が低くなるケースも多くあります。具体的な税額の計算方法は以下の記事で解説しています。
アパート相続にかかる税金はいくら?初心者でもわかる相続税の計算方法
解体費用の目安
「経営も売却も難しく、解体して更地にする」という選択を取る場合、解体費用の相場は構造によって以下のように変わります。
| 構造 | 坪単価の目安 |
| 木造 | 3万円〜5万円 |
| 軽量鉄骨造 | 3万円〜7万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 4万円〜10万円 |
自治体によっては老朽化した空き家・アパートの解体費用に補助金が出る制度もあります。取り壊しの費用・税制上の注意点は以下の記事で詳しく解説しています。
相続アパートを取り壊すと節税の特例が適用されない?取り壊しの費用は?
また、実家(戸建て)を相続した場合は、賃貸に出す・セカンドハウスとして活用するという選択肢もあります。アパートとあわせて実家も相続した方は、以下もあわせてご覧ください。
相続実家はリフォームして賃貸すれば儲かる?上手な賃貸経営方法 / 相続した空き家実家をセカンドハウスにするメリット
築40年築50年の相続アパートを手放したいという方へ

築古の相続アパートは、老朽化や入居者対応など様々な問題を抱えているケースが多く、問題を解決してからでないと売却できないことがほとんどです。問題を解決したあとでも、築年数が古いアパートは買い手が見つかりにくく、売れるまでにかなり時間を要するケースが多くあります。
築年数が古いアパートを、現状のままですぐに手放して現金化したいという場合は、1都3県の物件であれば弊社スマートアンドカンパニーにご相談ください。(1都3県以外でも解決方法がありますので、最後までご一読ください。)
以下のようなお悩みを抱えている場合でも、ご安心ください。弊社はそのままの状態ですぐに買取しており、最短1週間で現金化が可能です。
・残置物がある(私物やゴミがアパートに大量に残っている)
・老朽化が激しく、雨漏りなど破損している箇所が多い
・空室が多い、まばらに入居者がいる
・再建築することができない土地に建っている
・借地権付きの木造アパート
・アパートに関する不動産の書類がどこにあるのかわからない
その他どのようなお悩みを抱えていましても弊社にお任せください。
弊社の執行役員原田がご相談の対応をしております。大手不動産会社よりも丁寧で親切な対応を心がけておりますので、ちょっと相談したい時や買取価格が知りたいだけでもお気軽に以下の連絡先までご連絡ください。
☎︎080-3218-0911
✉️harada@smartand.co.jp
担当:原田(執行役員)24時間以内にご対応いたします!
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手続きが面倒で何から始めればいいか分からない、というときは
まずは無料査定を依頼して、相場感をつかむところから始めるのがおすすめです。備考欄に「買取専門の業者から査定を取りたい」と記載しておくと、老朽化物件の扱いに慣れた業者から回答が届きやすくなります。
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よくある質問
Q. 共有名義のまま何年も放置するとどうなりますか?
A. 相続人自身がさらに亡くなって次の相続が発生すると(数次相続)、共有者の人数がその都度増えていきます。共有者が増えるほど全員の同意を取り付けるハードルが上がるため、売却・活用の判断は早いほど選択肢が多く残ります。
Q. 相続してすぐに売却すると、本当に損をしますか?
A. 相続税の申告期限(10か月)から間もない売却は、税務署から租税回避行為を疑われる可能性があるとされています。ただし、老朽化が激しく維持コストが収益を上回っているようなケースでは、保有し続けることによる修繕費・管理コストの累積のほうが負担になることもあります。個別の状況については税理士に相談のうえで判断することをおすすめします。
Q. 相続放棄をしても、アパートの管理義務は残りますか?
A. 民法上、相続放棄をしても、次の相続人が管理を始められる状態になるまでは一定の管理責任が残るとされています。「放棄すればすべての関わりがゼロになる」わけではない点に注意が必要です。詳しい注意点は相続放棄の解説記事をご覧ください。
Q. アパートにローンが残っている状態で亡くなった場合はどうなりますか?
A. 亡くなった方がアパートローンに団体信用生命保険(団信)を付けていた場合、死亡によってローンが完済扱いとなり、相続人に返済義務が引き継がれないケースが一般的です。団信に加入していなかった場合や、連帯保証人になっている場合は残債の扱いが変わるため、金融機関に確認したうえで、売却・経営継続・相続放棄のどれが現実的かを判断する必要があります。
まとめ
築40年・築50年の古い相続アパートには、大きく4つの選択肢があります。
・新築アパートに建てかえる
・売却する
・現状のまま経営を維持する
・相続放棄する
費用と余力があれば、アパートを新築して経営していくことは有効な空室対策となります。「知識も少ないし費用もかけたくない」という場合には、租税回避行為とみなされないよう、相続してから概ね4年間は経営を続けてから売却するという流れが無難な選択肢です。故人に多額の負債があった場合には、相続放棄も視野に入れてみてください。
また、相続人が複数いる場合は共有名義のまま放置せず、早めに方針を決めることが将来のトラブルを避ける近道です。まずは現状を整理し、ご自身に合った選択肢から検討してみてください。
※本記事は監修者「森(株式会社スマートアンドカンパニー専任 宅地建物取引士)」のレビューを経て公開しています。記載の税制・法改正情報は2026年時点のものであり、個別の判断は最新の国税庁タックスアンサーおよび専門家への相談を推奨します。




