マンション投資の失敗とは?失敗する原因と対策

アパートマンション経営

マンション投資を始めたいが失敗したくない、失敗談から学びたいと考えている方向けに、マンション投資に失敗してしまう原因や対策について不動産会社スマートアンドカンパニーが解説します。

記事では以下の内容がわかります。

  • マンション投資失敗談
  • 投資に失敗してしまう原因
  • 失敗を避けるためにはどうしたらいいのか

マンション投資の失敗とは?


マンション投資における失敗とは、大きな損失を出したり、想定以下の収入しか得られなかったりする事で資金がなくなりマンション投資が継続出来なくなってしまう状況です。

マンションの投資は、よっぽどの何かが無い限りなかなか失敗をすることはないと言われています。投資用マンションの融資を積極的に行う銀行が報告したデータによると、平成30年の1年間でマンション投資に失敗した人は0.2%だと言われています。
しかし投資というものは、必ず利益が見込めるという保証はなくもちろん失敗をしてしまう場合もあります。

マンション投資で失敗した実例と失敗の原因


マンション投資でどのような失敗をしてしまう場合があるのか、実際に起きた2つの実例と失敗の原因について見ていきましょう。

新築マンション投資での失敗談

1つ目の失敗談は、新築マンションの投資に失敗し破綻したケースです。

Tさん:50代男性
 30年間区役所で勤務 住まいは社宅 貯蓄も多く堅実で真面目な性格

きっかけはマンション経営の営業電話でした。

Tさんが偶然早く帰宅することができたその日に、ワンルームマンション経営の営業電話がかかってきました。
電話口では担当者からマンション経営は、年金や生命保険の代わりにもなると聞き、将来のお金について漠然とした不安を抱えていたTさんにとって魅力も感じたようです。

不動産会社の担当者と会うことに。

電話がかかってきた数日後に、都内のカフェでマンション経営についての話しを聞くことになりました。山手線沿いの駅にこれから建設される予定の新築マンションでのマンション投資をすすめられました。投資した額に対し、1年あたり平均4%の収益を得ることができると説明されました。
投資した額に対して1年に得られる平均の収益を利回りといいますが、当時のTさんはその概念もまだよくわからなく、マンション経営がなぜ年金の代わりになるのかも初めて知りました。
物件価格は、3,500万円でした。その値段が高いのや安いのか妥当な価格なのかもわからず、即決はむずかしいことを伝え話しを持ち帰ることにしました。

その後投資用マンションを購入することに。

少し迷っていたTさんでしたが、不動産会社の担当からマンションがもうすぐ売り切れそうという営業の電話が何度か入ります。電話を聞いて少し焦りを感じたこともあり、Tさんは、不動産会社の人を信じて投資用マンションを購入することにしました。
契約や決済はスムーズに進みました。頭金はわずか20万円で済みました。マンションの完成は半年後で、入居者もすぐに決まりました。
ローンを引いても家賃収入は月5,000円あり、順調に進んでいるように感じました。Tさんは、毎月5,000円の定期収入が入ることに安心し、決断は間違っていなかったと思うことができました。

他の投資用マンションも購入することに。

その後、Tさんのところには、投資用マンションの営業電話がなぜか増えました。最初に投資用マンションを購入した不動産会社とは別の不動産会社の話しも何度か聞いてみました。
他の不動産会社の話しを聞き新たに得た知識はリスクを分散した方がいいということでした。1つのマンションだけで投資をするのではなく、複数のマンションをいろいろなエリアに持っていた方がリスクを分散することができるという話には説得力もありました。
不動産会社の人の話しに納得したTさんは、他の会社からも山手線沿いの駅のマンションを購入することにしました。

経営があやしくなりだす…そのとき起きたことは?

山手線沿いのマンションはなかなか入居者が決まらず、結局家賃を値下げすることになります。ローンの返済と同額程度の家賃収入だったため、このマンションでは毎月利益を得ることができませんでした。
マンションの投資をはじめてから3年が過ぎたとき、保有していた2つの部屋が同時に空室になってしまったのです。空室になった部屋には次の入居者を決めるためには50万円ほどのリフォームが必要でした。3ヶ月後に入居者は決まりましたが、家賃は以前よりも5,000円下がってしまいます。
リフォーム代や、空室の間のローン返済費用は手持ちの資金から支払います。もちろん大幅な赤字です。

更なる問題が生じる。

2つの部屋が空室になってしまった頃、Tさんは、2つめのマンションを購入した不動産会社からまた別の投資マンションの話しを聞いていました。2つめのマンションを購入したときにいた担当はすでに退職してしまったとのことで、別の担当者がつくことになりました。
Tさんはすでに2つのマンションを持っているため、通常ならもう融資は受けられません。しかし担当者を通せば、ローンが受けられるという話でした。Tさんは少し不審に感じましたが、特別な話であまり知られていないことという説明を聞き、信用してマンションの購入を決めました。
家賃収入からローンの返済を引くと、収益は2万円程度だと聞いていました。しかし、実際にはローンだけでは物件価格の60%しか賄えず、のこりの40%はカードローンを併用する仕組みになっていることを知りました。カードローンの返済も合わせると家賃収入だけでは足りず、月4万円も赤字になってしまいます。
詳しい内容が分かったのは契約日当日のことでした。Tさんは担当者に押し切られて契約してしまいます。

不動産会社の対応とは…

失敗したということに気づいた後日、不動産会社の担当に対し抗議する連絡を入れましたが、返答がありません。代わりに連絡をしてきたのは、不動産会社の事務の人でした。その電話での対応は、「ローンについてもすべて説明済のため、会社は関与していない」という冷たいものでした。

投資用マンションを売却したものの自己破産に。

毎月の多額のローン返済に追われることになったTさんは、投資用マンションの売却を決意し、大手不動産会社に問い合わせすることにしました。3部屋のマンションの購入額は合計8,000万円でした。そのため、8,000万円付近の価格で売却できるのではないかと思っていました。
しかし、不動産会社から出た査定は5,000万円という金額でした。マンションを売却したとしてもなんと3,000万円もの借金が残されることになります。
Tさんは、他の不動産会社にも査定の依頼をしてみましたが、どこの不動産も査定額は同じようなものでした。
査定をとった不動産会社の人いわく投資用マンションを購入したとき、かなり高く買わされていたようなのです。しかも、中古マンションとなるので、なおさら同じような割高の価格で購入する人はいないということでした。
とりあえずローンの返済をしていくことにしましたが、もちろん支払いは厳しくなってきました。その後どうにか1年支払いを行いましたが、どうにもできなくなり自己破産の手続きをすることに決めました。

区分マンション投資に失敗した原因

今回、Tさんがマンションの投資に失敗してしまったのには2つの原因があります。
まず1つ目は、悪い不動産会社にひっかかってしまったということ、2つ目はTさん自身に不動産やマンション投資に関する知識がゼロだったということです。
不動産会社の中には、大きな金額の取引にも関わらず、お客さんのことは考えず、自分の会社の利益だけを重視して、お客さんが損をするような取引をしてくる会社が中にはあります。
営業電話をかけてきてマンション投資話をもちかけてくる不動産会社には注意をした方がいいでしょう。営業電話をしている不動産会社の営業マンは、かなり過酷な契約ノルマを課せられています。朝から夜まで電話をかけ続け、とにかくマンションを売却することばかりを考えています。ノルマを達成しないと、上司から厳しく叱られたり、会社での立場がなくなったりするため、契約を取ろうと必死なのです。そのため、今回のように中には嘘をついたり、契約日当日まで明確な話をしなかったりなどする営業マンが中にはいます。顧客の利益よりも、とにかく契約させることを重視しているため、そのような会社に依頼をしてもマンション投資は失敗する確率の方が高いでしょう。
Tさんのように投資マンションに失敗してしまったとき、マンションをなるべく高値で売却し損失を少しでも少なくすることは非常に大切です。売却の際も中には安い価格で売却させようとする悪い不動産会社は存在します。
そのため、まずは複数の会社から査定をとってみて、数社とやりとりをしてその中で信頼できる会社を見つけることが大切です。簡易査定の段階では、査定額が相場から外れているような会社はあまり信用できないため、見極めてみてください。
また、マンション投資をはじめる際は、営業電話の話に乗るのではなく、知識を充分に入れて良さそうな会社を調べた上で依頼をするようにするといいでしょう。

投資用にマンション1棟を購入した失敗談

続いての失敗談は、一棟マンションに投資したケースです。

Sさん:男性 大手企業に勤務 株の運用経験あり 不動産投資は未経験

投資のきっかけは妻の知人からの紹介。

投資マンションを取り扱う不動産会社に行ったきっかけは、妻の知人経由でその不動産会社の社長を紹介するという話があったためでした。
投資用のマンションを専門に取り扱っている設立4年目の不動産会社で、自社で仕入れた物件を販売しています。そのため仲介手数料が無料であり、サブリース会社が部屋を一括借り上げして入居者に貸し出すので、入居者がいなくても家賃保証がつくのがこの不動産会社でマンションを購入する魅力だと説明を受けました。
社長を紹介した妻の知人も札幌にある1億円超えの投資用マンション1棟をこの会社から購入しているようでした。
この日初めてマンション投資に関する話を聞いたSさんは、すぐに契約をする気にはなりませんでした。あらかじめ知人から話しを聞いていた妻の方は、契約に前向きの様子でした。
その後は、Sさんが仕事の間に妻が電話を受けて不動産会社からの説明を聞いていたようです。

土地勘のないマンションに投資することに。

数週間後、不動産会社からマンションの資料が届きます。
立地は三重県で駅から近いということはわかったものの、関東出身で全く土地勘がなく、どんな場所なのかはSさんにはわかりませんでした。
鉄筋で作られていて築20年というマンションで築年数は古いですが、写真を見る限りは綺麗な印象のマンションだと感じたようです。マンションはリフォームされていて、外壁はツートンで塗り替えられておしゃれな雰囲気でもありました。
価格も1億円ちょうどで、年利回りは10%でした。お風呂とトイレが一緒になったタイプの1Kの部屋が30戸あるマンションで、現在の空室は1部屋だと言います。最近まで満室状態だったという説明もあり、空室になることは少ないように感じました。
不動産会社の社長を紹介してくれた妻の知人にもこの話を一応してみたところ、ぜひ購入した方がいいと後押しされました。
Sさんは、少し迷ったものの妻の勧めもあって30年ローンを組み投資用マンションを購入することを決めました。
決済日の直前に、Sさんは実際にマンションを見に行きました。空室の1部屋は現在リフォーム中で部屋の中まで見ることはできず、外観だけを確認して帰ってきました。事前にもらった収支計算では毎月10万円ほどの利益が見込めることがわかったため、そこまでリスクはないだろうと考えていたようです。

購入後、問題に直面する。

実際に購入してみると、マンションに空室が頻繁に発生しました。空室が出るたびに15万円ほどかけて部屋の中をリフォームしなくてはなりませんでした。さらに、入居者を募集するために8万円程度の広告費がかかりました。空室が2ヶ月に1回のペースで出ていたため、毎月赤字の計算でした。
Sさんのローンの金利は4.5%と高く、30年と長いローンを組んでしまったことも気がかりでした。さらに、すでに築25年の建物のため、30年後にもこのままの状態で貸し続けられるとは思えません。見えない部分で不具合が発生したり、外壁を塗り替えたりなどメンテナンスにもお金がかかることがわかりました。修繕費用は調べたところ1,000万円程度かかるようです。
なかなか入居者が現れず、現地の不動産に実際に聞き取りにも行きましたが、お風呂とトイレが一緒になっているマンションはもともと人気がなく、この地域ではとくに需要がないということでした。あらかじめ、地域で需要のある間取りのマンションだったかを確認しておくべきだったと後悔しています。
Sさんは、まだ破綻してしまったわけではありませんが、赤字となる月が多いため、この先マンションの経営をやっていけるのか不安を感じているようです。

一棟マンション投資に失敗した原因

Sさんも不動産に関しての勉強が不足した状態で、不動産会社の話をそのまま聞き入れ購入してしまったため、投資用マンションの購入に失敗してしまったと考えられます。
地方の築年数が経過している鉄骨マンションは、資産価値が少なく収益を得ることも難しい場合が多くあります。
予め知識があればこのようなマンションに投資することもなかったでしょう。また、もしも不動産に詳しい人が近くに入れば、相談をすることができ、的確なアドバイスを受けることもできました。
投資用マンションを購入してもらえばそれで仕事が終わりと考える不動産会社は、買ってからが経営のはじまりとなる投資家と見ている景色が全く違います。そのため、たとえ知人を介した不動産会社だったとしても投資家の味方というわけではありません。
Sさんは実際にまだ破綻はしていませんが、今回購入したマンションは人気の低い物件で築年数も経過しているため、売却して精算するのも難しいでしょう。赤字を出しながらもこのまま残債を返していくのが一番の方法だと考えられます。

なぜマンション投資に失敗してしまうのか


実例でみてきたように、投資に失敗してしまうのにはいくつかの原因があります。いったいどのような要因が失敗につながってしまうのかを見ていきましょう。

マンション投資に対する知識がないまま投資を始めてしまう

利回りの良さだけを見て割高の物件に手を出してしまうと失敗につながります。
利益を出せる相場価格を事前に把握しないまま物件を購入してしまっているケースが多くみられます。失敗する人の多くは、物件の利回りの良さを信じて物件を購入してしまいます。利回りが高い物件は良さそうに見えますが、空室リスクや売却しやすさなどの物件そのものの価値も考慮して検討するべきでしょう。

計画性のないまま投資してしまう

ローンの返済だけでなく修繕計画や売却までを視野に入れずに購入してしまうのも失敗する要因となります。
マンション投資で、安定した家賃収入を得るためには出来るだけ空きが出ないように長く入居してもらう必要があります。入居率を高くするためには立地だけではなく、魅力のある物件であることが重要です。ただし、修繕費用やローン返済、税金まで含めて支出が家賃の収入を超えてしまう赤字状態が続くと、不動産経営は立ちゆかなくなります。

リスクの想定が出来ていないまま投資してしまう

失敗するケースで多いのは、想定賃料や、空室リスク、維持費の想定が出来ていない場合です。
家賃は下がることはあっても、上がる事はまずありません。不動産会社の出してくる想定賃料や利回りは、空室のリスクなどは含まれていません。業者の言うことを鵜呑みにしてしまうと、入居者が入れ替わる度に家賃を下げられたり、割高なリフォーム代などで、収益が確保出来ないことにもなりかねません。

ローン額が大きすぎる

自己資金比率が極端に少なく多額の融資を受けて投資している場合も失敗につながるケースが多くあります。
物件の価格は築年数の経過により下がっていくのが一般的です。収支が出ない物件を売却したくても、ローン額が大きすぎると売却しても足りない場合があります。残債分は別途資金を足して補填出来なければ売却ができません。売却して辞めたいのに売却自体が難しいため、赤字続きの賃貸経営を自分の蓄えを削って続けて行かなければならない事態にもなりかねません。

失敗を避けるためにできる対策


マンション投資の失敗と原因から、失敗を避けるための対策をまとめておきます。

マンション投資の知識を得る

建物の資産価値は年々下がっていきますので、資産価値が落ちにくい物件を選ぶことが大切です。ですから、マンション投資には不動産を見極めるための知識が必須になるのです。
マンション投資の知識を得るには、書籍やインターネットなどを活用しましょう。自分の属性や考え方に合った投資家の手法などを参考にするのも良いでしょう。また、投資セミナーに参加すると、他の投資家との繋がりも出来ますし、生の情報を仕入れることもできます。

初めての投資セミナーを選ぶ注意点など詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

不動産投資は計画性をもって行う

不動産投資には経営者としての自覚が必要です。常に収入と支出を考慮しながら物件を見極め、運営していく姿勢が必要でしょう。

リスクを想定しておく

業者の想定家賃を鵜呑みにせず、若干厳しい状況を想定しておく事も必要です。近隣の類似物件や築年数の経っている物件の賃料を参考にしておくと良いでしょう。
また、満室の状態だけでなく、空室が出た場合の想定も必要です。空室が出てしまうと例え収入がゼロでもローンの返済は続きます。入居者を募集するためにはリフォームも必要ですし、一棟物であれば10年~20年での外装塗装など修繕計画しておく必要があります。区分マンションでも10年を超えてくると何らかの設備トラブルが発生してくる可能性があるため築年数によって修繕費も見積もっておく必要があります。

自己資金を増やす

資金力は十分であっても自己資金を一切出さずにフルローンで投資を行う投資家もいますが、初めての不動産投資でフルローンは避けた方がいいでしょう。購入価格が割安で高く売却が見込める物件であればいいのですが、そうでなければ売却してもローン額にはるかに及ばず売却出来ない危険があります。

マンション投資に向いている人は


マンション投資は、短期で大きく儲けたい人ではなく、長期的に安定を求める人に向いていると言えるでしょう。マンション投資に向いている人の特徴を挙げておきます。

  • コツコツとした貯蓄や勉強が苦にならない人
  • 長期的な視野で計画が出来る人
  • 人任せにせずに行動力がある人

不動産投資家についてより詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

まとめ

大きなリスクを回避してマンション投資を成功させるには長期的な視野と計画性、さらに考えているだけではなく実際の行動力が必要となりそうです。また、良い物件を取得するためには、信頼できるパートナーを見つける事が大切です。長く投資を続けるためにも、最適な不動産会社を選ぶことも大切でしょう。