マンション売却査定をした後に決めた売出価格と実際の成約金額の差は?

値引きのポイント

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

「マンション売却査定をしたあとに、決めた売出価格と実際の成約価格の差は何なのか?」について考えてみましょう。

マンションの売却査定とは


マンションの売却査定とは、マンションを売却しようと考えた時、いくらくらいで売ればいいのかを、路線価格、周辺地域の相場および、周辺の売却成約事例等のデータを考慮して、そのマンションの価値を不動産のプロが割りだすことをいいます。
そして、ここで算出された価格がそのマンションの査定価格となります。この時の査定結果、つまり、査定価格を参考にして、そのマンションの売出却価格を決めたり、マンションの売却を依頼する不動産会社を選定したりするというのが一般的な流れです。
では、査定結果を確認する時の注意点を少し考えてみましょう。

マンションの査定結果を確認する時の注意点


査定を依頼する時、不動産会社は、通常5~6社に依頼し比較検討すると良いと言われています。また、マンション売却希望者は、査定を依頼するだけでなく、自分自身も、ネット等で調べ、周辺マンションの売出価格を参考におおよその相場をつかんでおく必要があります。その時注意することは、ネット上で表示されるマンションの価格は販売希望価格であり、成約価格(売却成立時の価格)ではないということです。その為、売出価格設定のための目安にしかなりません。成約価格をつかむには、公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)のサイトにて検索する方法があります。しかし、ここは登録されているデータ自体が少ないため、売却しようと考えているマンションの条件に合致した物件の成約価格を見つけることはなかなか難しく、似た条件の物件についての成約価格の掲載があればラッキーだといった具合であるため、参考の為に確認するといった感じになります。しかし、実際の成約価格を知るのは、非常に参考になるので、一度確認してみることをお勧めいたします。

そもそもマンションの相場価格とは、実際にマンションが売却されたときにつけられている価格、つまり、成約価格を指すものですから、これを知る事がいかに重要かがわかります。
こうして、だいたいの相場価格をぜひ把握しておいてください。そうすることで、不動産会社が算出した査定額が、相場より極端に高値の査定をしてきたり、逆に極端に安値な査定をしてくるような業者を排除することが容易にできるようになります。
また、査定を依頼した各不動産会社から提出された、査定価格については、それぞれの査定額の根拠を詳しく説明してもらうようにしましょう。この根拠を知ることにより、そのマンションの価値の裏付けも見えてきます。
こうして得た査定価格ですが、実は、査定額は不動産会社によって違ってきます。その差が出るのは、マンションの場合、同じマンションの仲介を請負且つ、成約させ、売却実績があるといったことや、同じような内容(条件)のマンションを成約および売却した実績があるかどうか、といったことで査定額の精度が変わってきます。

ですので、査定額もそうですが、依頼する不動産会社が、そのマンションについて売却経験があるか等も気にしておくべきでしょう。同じようなマンション、出来れば同じ棟のマンションの売却実績がある不動産会社ならかなり精度の高い査定を行えるはずです。それは、成約事例から、購入者層が予想出来るので、それに合わせた価格を的確に提示できるからです。
そして、次に、不動産会社から提示された査定額及びマンションの売却実績を考慮し、マンション売却を依頼する不動産会社を何社かに選定してください。
不動産会社から提示される査定額は、不動産会社が、売却できるであろうと予想した成約価格であり、あくまでも売却成立予想価格(見込み定成約価格)の事を指します。
その事を認識した上で、いよいよ売出価格の設定について考えていきましょう。

売出価格の意味と重要性


売出価格は、先ほどお話した査定額、つまり不動産のプロの算出した見込成約価格を、参考に売主が決めるものです。マンションの売主としては、なるべく高く売却したいので売出価格を高値にしたいところですが、高すぎて、問い合わせすらない状態になってしまっては、元も子もありません。ですので、売出価格の設定には注意が必要となります。 
売出価格を考える上で、目的は当然『無事にこのマンションを売却すること』となります。その為、もし、売出金額の設定を失敗すれば、そのマンションに対し、なんの反応も、問い合わせもない状態を生み出し、マンション売却活動は難航し、売出価格からの値下げを余儀なくされ、再度、販売価格を設定しなおさなくてはならなくなります。このような状況に至っては、必要以上に値下げして売却せねばならないという事態も招きかねません。
では、こうした、無駄な値下げをすることなく、スムーズにマンションの売却を成立をさせる為には、どのように、売出価格を決めればいいのでしょうか?

売出価格の設定


マンションの売出価格は、実は、その価格の通り売れること、つまり、売出価格がそのまま成約価格となることはなく、値引き交渉が必ずつきものとなります。その為、実際に売却が決定する時に付けられる価格、「成約価格」を予想して概算する必要があります。
では、成約価格は、売出価格をどのくらい値引きされた状態になっているでしょうか。
統計上は5~15%ほど値引きされているようです。
詳細を見ると、首都圏の場合、マンションの売却期間1ヶ月以内では、3%の値引きが行われ、売却期間3か月以内では、6.83%の値引き、6か月以内では11.72%の値引きが行われ12か月後では、15.01%の値引きが、売出価格からなされて売却が成立しているようです。
こうした事実を見込んで、実際に売却したい価格(予定成約価格)の5%~10%ほどの上乗せした金額を売出価格設定の目安とすことをお勧めいたします。
ただし、今回提示した成約価格に関するデータは、2016年から2017年の首都圏の平均的な数値ですから、マンション売却の仲介に選んだ不動産会社と、このあたりのことも加味しながら相談して決めるべきでしょう。

なぜ売出価格>成約価格なのか


次に、売出価格がなぜ、成約価格にならないのか。(つまり、売出価格が値引きされてしまうのか。)について考えてみましょう。
実は、現状、売出価格のまま成約価格になるということはほとんどありません。
何故でしょうか。
商習慣という側面で考えてみましょう。
例えば、車を購入する時、などを思い浮かべていただくといいと思います。通常、買手は、車のディーラーに対し「もう少し安くならない?」とか、と交渉し、売手に「では、端数を切りましょうか?」などと言わせ、少しサービスする形をとって売買するというケースが良く見受けられます。そう、大きな金額の取引などではよく見受けられる事ではないでしょうか?
それに対し、デパートでの買い物や、100円ショップでの買い物、スーパーでの買い物これらには、値引き交渉をする商習慣はありません。しかし、ひと昔前の商店街の八百屋さん魚屋さんでは、「お兄さん負けてくれない?」「参ったなー。おまけに○○つけるからどう。」などといったやり取りがありました。
これらと一緒…というわけではありませんが、マンションのような多額な金額のものであればあるほど、「お値引きできませんか」という要望は、購入希望者からでるのも自然なことではないでしょうか?実際、自分が購入者側なら、やはり、少しでも安く購入したいと考え、ダメ元でいいからという気持ちで「もう少し安くなりませんか」と伺ってみることでしょう。
コンビニやスーパーマーケット、ネット通販での買い物が主流になってしまった昨今では、値引き交渉というのは、非日常的なことになってしまいましたが…。
それでも、企業間の商談であれば、値引き交渉は日常茶飯事ですし、むしろ当たり前の様に行われています。企業によっては、購買担当者がどのくらい値引くことが出来たかが、人事評価につながる会社もあるとも聞いています。
そういう訳で、私たちはついつい忘れがちですが、売主側の決めた値段というのは、最終的には、買主との交渉で値下げされ、その後に売却が成立するという順番で、進んでいく傾向にあります。

また、この“中古”マンションというものそのものにも、値引き交渉に至らせる特徴があります。というのは、中古ということは、新品に比べ、多少傷があったり、汚れがあったり、物によっては、少々立て付けが悪くなっていたり…と、今まで使用していたものであるため、ケチをつけようと思えば、いくらでもケチが付けれれます。

一方で、そのマンションの短所は、客観的に見ても、マンション所有者が、この世の中で一番知っており、購入希望者を含むほかの人間は、売主程そのマンションについて、長所も短所も分からない状態となっています。中古マンションの売却は、こうした状況で行われているのです。

このような状態の時、購入希望者としては、少しでも損をしない様に欠点と思われるところを探し、その部分は値引きして、損するリスクを回避したい、という思いを強く持つことでしょう。
また、このような状況を生み出す、売買市場を経済用語で「レモン市場」というのだそうです。その場合、購入者側の商品に対する情報不足から、おそらく購入者は、損失を恐れ、商品の欠点を必死に見つけ、値引き交渉をせずにはいられないという状況が発生するようです。
中古マンションは、まさにこの「レモン市場」に該当する商品であると言えます。そのため、購入希望者からの値引き要望は、避けられない事実として認識するべきでしょう。

売却する側は、つい、相場や自身の資金繰り等の自己都合や、そのマンションへの思い入れから、売出価格については、それなりの根拠や自信をもってつけるため、そのままこの金額で売れると考えがちですが、実際には、売出価格そのままの売却成立は、ほとんどないという事実を知らなくてはなりません。
それを知った上で、売出価格の設定をするべきなのです。

つまり、売主はこの売出価格で売却しようという考えで、売出価格を設定し決めるのではなく、値引き出来る余裕を持った金額として、売出価格を設定し、買手との値引きという手続きを終えたのち、自分たちが予定した成約価格で売却成立出来るように決めるべきなのです。
そうすることで、売る側も、購入側も一定の満足を得て売却にだどりつくことが出来るのです。
また一方で、こうした値引きありきの売出価格設定が、当たり前となっている状況は、値引き交渉なしで中古マンションを購入することに対し、大きな損失を招くという意識を購入者全体(中古マンション市場全体)に与えてしまっているという事実も、よく認識すべきでしょう。
このような、事情により、売出価格と、実際にマンションの売却が成立した時の成約価格の差は、発生してしまうのです。

タイトルとURLをコピーしました