相続税の基礎知識:相続税の控除と計算方法

節税対策

相続税の基礎知識


 日本では、人が亡くなると、その人の財産を誰かが引き継ぐ場合、ある一定の財産を超えると、相続税がかかります。税制度は、国によってさまざまですが、相続税のない国もあります。
 日本には、さまざまな種類の税金がありますが、相続税は、被相続人が亡くなって相続が開始となり、誰かが相続する際に、ある一定以上財産がある場合は、支払わなければなりません。つまり、被相続人は、財産を自由に処分することはできますが、相続する側は、財産を相続すると、相続税という税金を払う義務が発生するのです。
 相続税が、設定されている理由としては、2つあります。
 1.不労所得であるため。
 2.特定の一族に財産が集中してしまうことを防ぐため。
 以上が理由であるとされています。
 不労所得というのは、労力なしに収入を得ることをいいます。収入は、一般的には、仕事をすることによって得られるものなので、何もせずに財産を得ることを不労所得とよんでいます。また、相続税がかからないと、莫大な財産を稼いだ人の子孫に財産がどんどん受け継がれ、特定の人たちだけに財産が集中してしまいます。インドでは、お金持ちというのは、働く人ではなく、お金を使う人、、などと言われたりしますが、相続税がない国は、莫大な富を築くと、それは子孫に引き継がれていくのです。・・国の方針によって違うので、どちらがよいとかではありませんが、相続税を払わない人にとっては、たくさん財産がある人から税金が払われるのは、ありがたい気もします。
 相続税は平成27年に相続税を計算する際に、財産から差し引ける控除の改正がありました。もちろん、控除額が減ったので、相続税を支払う人が前より増えることになりました。そのため、改正される前に、マンションを相続対策で建てましょうと、住宅会社が、地主さんたちを勧誘し、平成27年前には、たくさんのマンションが建設されました。。というのも、現金以外のマンションなどの不動産は、それぞれ財産を計算する方法が定められているため、現金のまま財産として持っているより、不動産に変えた方が、相続税を計算する際の金額が下がるからなのです。
 相続税の計算は、財産によって細かく計算方法が決められています。マンションの価値も、固定資産評価額ではなく、相続税のための計算方法が別途定められています。固定資産税評価額よりは低くなることが多いです。また、土地の相続税課税価格も農地なのか借地なのかなどの種類によっても変わってきます。
 また、相続税は相続が開始されてから10か月以内に、おさめなければなりません。
 財産が多い場合は、計算も複雑になるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続税の基礎控除


 日本では相続税という税金があり、相続した人たちが支払わなければなりません。もちろん、相続したすべての人が支払う義務はありません。控除額というものがあり、相続財産からその控除額を差し引いて、差し引いた額がプラスになった人だけが支払う義務があるのです。平成27年に控除額が減額されたこともあり、相続税を支払った人は増えましたが、実際支払った人の割合は平成25年では、被相続人の財産が課税された割合は8.1%となっています。(生命保険文化センター調べ)
 マンションなどの不動産は、土地の種類や大きさなどによっても、計算方法が変わってきます。財産が多い場合は、専門知識が必要になりますし、相続税をおさめなければならない期間は、相続が開始されてから10か月なので、それほどじゅうぶんな時間があるわけではないので、すみやかに税理士などの専門家に相談するほうがよいでしょう。
 相続税はかからない人の方が多いのですが、それは相続税に控除があるためです。現在基礎控除と言って、財産から差し引く金額は3000万円です。もし、相続財産が3000万円を越えなければ、相続税は当然かかりません。また、法で定められた相続人ひとりあたり600万円が控除されます。
つまり 財産-(3000万円+(法定相続人×600万円))がプラスにならないかぎり、相続税は発生しないため、支払う義務も申告の必要はありません。
 民法では、放棄した相続人は、はじめから相続人ではなかったことにするとしていましたが、相続税法では、この放棄した法定相続人の数もカウントして計算します。また、養子については、すべての養子が相続税法の控除の対象になるわけではなく、実子がいる場合は、1人分、いない場合は2人分と上限が定められています。
 ですので、実子が1人と養子が2人の場合の控除額は600万円×2=1200万円となります。
 では、配偶者・子2名の場合の、相続税の控除額はどうなるかというと、基礎控除が3000万円で、法定相続人が3人になるので、600万円×3=1800万円となり、合計4800万円が控除額となります。ですので、相続財産がこの控除額を超えなければ、相続税を支払う義務はありません。
 ただし、相続財産のなかには、特例も存在します。特例によって課税されない場合は、相続税を支払う義務がなくても、申告の必要はありますので、注意が必要です。

相続税の計算方法


 相続をする場合に、ある一定の財産を超えた場合は、相続税を支払わなければなりません。ある一定というのは、基礎控除が3000万円と法定相続人1人あたり600万円の合計額です。
 つまり、法定相続人が配偶者と子が2人の場合は、3000万円+(法定相続人の数×600万円)が控除される金額となるので、3000万円+600万円×3=4800万円となります。
 養子がいる場合は、実子がいる場合は、1名まで、いない場合は2名までを相続税法上の法定相続人としてのカウントができます。養子は法律の親子関係なので、養子自体は、何人でも養子にすることができます。しかし、これを相続税法上で法定相続人に認めてしまうと、相続財産相応分まで、養子縁組すれば、実質上相続税はかからなくなってしまいますよね。
 また、マンションなどの不動産などは、相続税を計算するための算出方法があります。マンションなどの不動産には、借地なのか、土地だけなのか、、などで算出方法が変わってきます。また生命保険なども、契約形態によって、計算方法が決められています。そして、財産ごとに計算した総額が控除額をうわまった場合に、相続税を支払う義務が発生するのです。また、相続税がかかる財産の額によって、課税率が定められています。所得税と金額が違いますが、相続税も累進課税方式となっています。
以下は、相続税の速算表です。
課税額が1000万円以下の場合・・・10% 控除なし
    3000万円以下の場合・・・15% 控除額50万円。
    5000万円以下の場合・・・20% 控除額200万円。
    1億円以下の場合・・・30% 控除額700万円。
    2億円以下の場合・・・40% 控除額1700万円。
    3億円以下の場合・・・45% 控除額2700万円。
    6億円以下の場合・・・50% 控除額4200万円。
    6億円超えの場合・・・55% 控除額7200万円。
となります。
また、被相続人の配偶者は、上記規定ではなく、取得した金額が、配偶者の法定相続分以下の場合は、相続税の課税はされません。また、配偶者の相続財産を取得した金額が法定相続分を超えている場合でも、1億6000万円までは、課税はされません。