二時相続と事業継承と教育資金の一括贈与について

遺産相続の基礎知識

二次相続という言葉を知っていますか?


法律用語ではありませんが、一般的に、親のどちらかが亡くなった後に、また親が亡くなった時の相続のことをいいます。
つまり、父親が亡くなった後に、母親が亡くなることを指しています。
相続が起こった後に、相続がまた起こるので、二次という言い方をしています。

相続は、被相続人が亡くなることによって起きますが、二次で相続が起きるということは、父親が亡くなり、配偶者である母親が相続し、その母親が亡くなるということは、父親から相続したものを、また相続することになりますよね。
相続税がかからない範囲内であれば、二次相続が起こっても、問題がありませんが、相続税を支払わなければならない財産がある場合は、相続税が二重にかかってしまうことになります。

例えば、父・母・子2人がいたとします。
最初に父が亡くなったとすると、このときの相続人は、母・子2人となります。
父に財産が多かった場合、ここで相続税を支払います。
次に母が亡くなったら、相続人は、子2人となります。母が相続税を支払った財産を、また相続することになるので、ここでまた相続税が発生してしまうのです。ということは、二重に多くの相続税がかかっている財産がでてくるわけです。

ですので、親に相続財産が多く、相続税がかかる可能性がある場合は、事前に対策をすることによって、相続税を軽減することができます。
もちろん、夫婦間の年齢差もありますし、すべての場合において、対策できるわけでもありませんが、いずれ二次相続がおきるのであれば、はじめの段階で対策することはできますよね。

はじめに相続が起こった際に、子にあらかじめ、多く相続さえておくことがポイントとなります。
また、はじめの相続の段階では、配偶者である母に、現金のような換金性の高い財産を相続させておくと、2次相続がおこった際に、納税資金に困らないように準備できます。
また、父がマンションを所有していて、賃貸経営をしている場合は、このマンションを母に相続させてしまうと、家賃収入により、財産が増える可能性もあるため、二次相続の際に、相続財産が増えてしまいます。
そうならないようにするためには、1次相続の段階で、子に、この賃貸用マンションを相続させた方がよい場合もあります。

相続財産に現金がある程度ある場合は、生命保険に加入しておくことが、よい場合もあります。
もちろん健康状態によって、誰もが加入できるわけでもありませんが、生命保険は、契約した生命保険金が現金で支払われるため、二次相続がおこったときの納税資金を準備することができます。

相続財産によって、ケースバイケースですが、財産が多くある場合は、相続対策をおこなうことによって、支払う税金を軽減できます。
相続対策専門の税理士などに相談して、対策しておくとよいでしょう。

事業承継


最近 日本では後継者不足が問題となっていますよね。
日本の素晴らしい技術や伝統がこのまま引き継いでくれる人がなくなったら、技術や伝統は途絶えてしまいます。
AIがこれからますます社会全体に普及していくことは間違いないでしょうけれど、やはり人間にしかできないことは、あるはずですから。


伝統や技術もそうですが、会社を経営している場合も、後継者の確保がむずかしい状態になっています。
経営者に子供がいたとしても、事業に関心を持たなかったり、親の方も、子供に職業選択の自由を優先させ、事業承継を無理強いさせなくなってきているからでしょう。

また、経営者が親族である子供に事業承継させたいと思っても、ほぼすべての財産を承継する子供に相続させることになるため、事業用資産や自社株について他の相続人に遺留分を主張されるかもしれません。

事業を承継させたい場合は、現在、国が承継者サポートの窓口を開いていますので、まずは相談してみるのがよいでしょう。
各都道府県や市町村に「事業引継ぎ相談窓口」が設置されています。

また、相続が起こった際に、経営者が保有する株式を後継者が受け取った場合は、相続税の支払い義務が発生します。
上場していない中小企業の株式については、次の条件を満たすことで、納税する猶予期間が設けられています。
1.事業承継した後、5年間の平均が事業承継前の雇用が80%維持されていること。
2.事業承継すると同時に、旧経営者が代表をやめること。
3.経済産業大臣の「認定」を受けていること。
以上が必要となります。

他には、中小企業信用保険法の特例というものがあります。
事業承継の場合は、信用保証協会に特別な保証枠が設定されているので、運転資金などの融資を受けることができます。

事業承継は、個人だけの問題ではなく、会社全体の問題なので、その会社で働いている人たちの雇用問題にもつながります。
事業承継する場合は、事業計画書をしっかりと立て、対策をすることが重要です。

教育資金の一括贈与


平成25年4月1日に教育資金の一括贈与の非課税制度が登場しました。
この特例制度は、30歳未満となる孫もしくは子供に対して、教育資金としてなら、1500万円まで贈与しても非課税という制度です。
この制度も、比較的資金に余裕のある世代から余裕のない若い世代への資金移動と言えます。
そうすることで、資本主義社会であある日本の経済を活性化しようというわけです。
教育資金としてもらったお金は使わないと後で贈与税がかかってしまうので、教育資金として使わないといけません。

ただし、注意点があります。
この制度を取り扱っている金融機関で、専用の口座を開設し、教育資金として使用した領収書を、その金融機関に提出しなければなりません。金融機関は、銀行・信託銀行・証券会社などが取り扱っています。その金融機関を経由したうえで、資金非課税申告書を提出した場合に、適用となります。
この制度で、教育資金を受け取る予定の孫もしくは子が30歳になった際に、契約している金融機関の口座に資金が残ってしまった場合は、その残金は贈与と見なされ、贈与税がかかってしまう場合があります。もしそのまま残ってしまていたら、すべての金額に贈与税がかかってしまうので、まったく意味がなくなってしまいます。

国としては、お金を使ってもらうために制度を作ったのであって、使わないなら、資金の移動になるだけで、相続税逃れにしかならないですからね。
ただし、使う用途もなんでもいいわけではなく、大学や専門学校などの授業料や修学旅行費用など、直接学校に支払う費用でないと認められません。万が一、旅行で使ったようなことがあれば、贈与税がかかってしまいます。マンションの頭金に、、ってことは認められません。

また、祖父母は総勢4人いますが、1人当たり1500万円ではなく、合算で1500万円となるので、注意が必要です。

ただし、毎年110万円の贈与税の控除があるので、こちらでもらったお金を教育資金にするという方法もあります。

この制度を利用するには、金融機関と契約することになるので、ご利用を検討する際は、取り扱っている金融機関に相談してみてもよいでしょう。