古いアパートのリノベーション費用はいくらかかる?本当に空室対策につながるのか?

アパートマンション経営

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

今回は、古いアパートの空室対策としてリノベーションを検討している大家さんに向けて、効果的なリノベーション方法を不動産会社のスマートアンドカンパニーが解説しています。

この記事を読むと以下を知ることができます。

・部屋全体をリノベーションした時にかかる費用

・部分的にリノベーションする時の費用

・古いアパートはどこをリノベーションするべきか

アパートのリノベーション費用の相場はいくら?

選ぶ素材や設備、施工を行うリノベーション業者によっても費用は変わりますが、だいたいの相場はありますので、おおよその費用をご紹介したいと思います。

フルリノベーションしたときの費用

アパート一室全てのリノベーション費用を考えてみます。

一室全てを解体し間取りから設備まで全てを新しくするフルリノベーションの場合、かかる費用の目安は、平均で10万円から15万円/㎡となります。

20㎡の部屋であれば、最低でも200万円はかかる計算となります。

 

【フルリノベーション費用の目安】

間取り

部屋の床面積

リノベーション費用

ワンルーム

10㎡~

100万円~

1K

15㎡~

150万円~

1DK 

20㎡~

200万円~

2DK

25㎡~

250万円~

 

水回り設備を交換したときのリノベーション費用

古いアパートの部屋をフルリノベーションしたときに最も費用がかかるのは水回りです。

水回りの設備を全て新しくする場合は部屋の床面積が狭くても広くても一定額以上はかかります。

キッチン、お風呂、トイレ、洗面台を交換した場合の費用を見てみましょう。

 

【水回り設備の交換費用】

水回り

費用の目安

キッチン

ミニキッチン交換

~50万円未満

システムキッチン交換

50万円から150万円

お風呂

ユニットバス交換

50万円から150万円

浴槽交換

10万円から50万円

トイレ

便器・便座の交換

15万円から20万円

洗面台

洗面ボウルの交換

5万円から10万円

洗面台全体の交換

10万円から35万円

 

壁紙の張替え費用

最も一般的な壁紙の張替え費用について見ておきましょう。

日焼けしたり汚れたりした壁紙を貼り替える場合は、選ぶ壁紙のグレードにもよりますが、800円~1500円/㎡です。あくまでも目安ですが、床面積のおよそ4倍程度の費用が必要となります。

例えば20㎡の床面積のワンルームで1000円/㎡の壁紙を張替えるのであれば、およそ8万円程度となります。

 

リノベーションにいくら投資すればいい?空室が埋まる費用

入居者のニーズに合わせて回収できる範囲の費用にする

人口減少が進む中、アパートの空室率は上がっています。新しいアパートに人気が集まり、古いアパートは何も対策をしないままでは空室が目立つようになります。数多くの物件の中から入居者に選んでもらえるようになるには、古いアパートでは特に、他物件との差別化がどうしても必要となります。

ただし、多額の費用を掛けてフルリノベーションした部屋に入居者が決まっても、家賃相場が低いせいでコストが回収出来なければ、空室対策としては失敗です。

リノベーションによって古いイメージを一新し、入居者に魅力的だと感じてもらえるには、どのくらいの費用をかければいいのでしょうか。

付近の家賃相場がそれほど高くないエリアでは、どんなにコストを掛けても相場からかけ離れた高い家賃はのぞめません。

先述の通り、リノベーションには一定額の費用が掛かりますので、むやみに全てを新しくする事が最良の方法ではない場合もあります。

アパートに入居が見込めるターゲットを設定し、ターゲットのニーズに沿った形に部分的気にリノベーションした方が、費用対効果は高まります

また、古いアパートの場合は売却を見据えた運用も大切です。築年数が経ったアパートで賃貸経営を成功させるには、出来るだけ価値を高めた状態で売却する事が重要です。
価値を高めるために大切なのはアパートの状態を良好に保つ事と、空室がない状態にしておくことです。

費用対効果を最大にするために、売却までの期間は具体的に定めておきましょう。

例えば5年先に売却する事を決めたら、売却までの期間で回収出来るだけのコストをかけます。限られた費用の中で最も効果のあるリノベーションを検討するべきでしょう。

 

デザインリノベーションなら少ない費用で空室対策になる

フルリノベーションでは費用が掛かりすぎ回収の見込みがない場合は、デザイン性を高めた部分的なリノベーションが効果的です。

ただし、ターゲットのニーズに合わせてどこをリノベーションするかは、的確に判断する必要があります。

どのようなリノベーションが有効なのかヒントとなる例を費用とあわせていくつかご紹介しますので参考にしてください。

壁のデザインリノベーション

面積の広い壁や床のリノベーションは、やり方次第で最も効果的にデザイン性を高められる可能性があります。

壁紙から塗装へ変更する

壁紙を塗装へ変更する場合は、下地の処理や剥がした壁紙の処理などが必要となります。一般的な塗料を使用した場合は1000円/㎡程度かかります。塗装も壁紙の張り替えと同程度のコストがかかりますが、変更する際には余分にコストを見積もっておく必要があります。

水回り設備のデザインリノベーション

アパートの古さを助長してしまうような昭和時代の水回り設備は思い切ってリノベーションを検討しても良いと思います。
ただし、水回りを新しい設備に交換すると1つの設備でおよそ50万円から100万円ほどかかってしまいます。

部分的に劣化しているところや目立つところだけを新しい設備にして、他は塗装をし直すなどで上手く費用を抑えつつ生まれ変わらせる方法もありますので、うまく取り入れてみてください。

キッチンを対面式にする

対面式のキッチンは、夫婦二人や、子どものいるファミリーに人気です。間取りとターゲットニーズによって検討してみても良いでしょう。壁に面したキッチンを対面式に変更する場合は、100万円以上の費用がかかります。

トイレを和式から洋式へ

設置費用が安いことが和式のメリットですが、若い人や高齢者には使いにくく人気がありません。和式のトイレの部屋であれば洋式へリノベーションを検討してみても良いでしょう。

和式トイレを洋式に変更するリノベーション工事では、10万円から50万円程度の費用がかかります。

3点ユニットバスからバストイレ別にする

3点ユニットバスも人気の無い設備の一つです。ユニットバスをバストイレ別にするためには、部屋に新たにトイレを新設する必要があります。ただし、トイレを部屋に新設するには40万円から100万円程度かかります。また、ユニットバスの交換は40万円から80万円程度になります。

ユニットバスの壁のリノベーション

どうしても新しい設備に換える予算が取れない場合は、ユニットバスの壁にデザイン性の高い浴室用シートを貼ってイメージを変える方法もあります。シート代と施工費であわせて8万円から15万円ほどかかります。

シートを貼ると同時に塗装も行うことで、シミや汚れが全く目立たなくきれいな状態になります。

 

部屋タイプの変更

和室を洋室へ変更する

ターゲットの年齢が畳に全く馴染みのない若い世代の場合は、フローリングに変更した方が客付けしやすくなる場合があります。さらに押し入れをクローゼットに変更すれば、かなり大容量の収納スペースになります。収納スペースが大きい部屋はアピールポイントとなります。

和室から洋室に変更するためには、畳がフローリングより厚みがあるため、下地の処理や、和室仕様の襖を洋室に合うように替える必要があります。費用の目安は6畳から8畳であれば60万円から100万円程度です。

押し入れをクローゼットへ変更するには10万円~25万円程度かかります。

和モダンリノベーション

畳をあえて残す方法もあります。通常の畳ではなく琉球畳に替える事でイメージアップが図れます。

縁のない琉球畳はイメージが良く比較的若い層にも人気があります。また、小さい赤ちゃんのいるファミリーでは、転落の心配がないためあえて畳の部屋を選ぶ場合もあります。

畳を新しい畳へ貼り替えた場合、6畳で3万から8万円程度かかります。畳は5年間ほどで裏返して使用出来るため合計10年ほど使用出来ます。畳の裏返しには6畳で3万から5万円程度かかります。

 

 

アパートのリノベーション費用はローンを組むことができる?

アパートのリノベーションでローンを組む方法

大きなリノベーションになると百万単位の費用が必要となります。手持ちの資金が不足している場合は、アパートのリノベーション費用をローンで調達することも可能です。

借入れの条件や借入可能な額は金融機関によって異なりますが、一般的に、ある程度の金額を借り入れたい場合は担保設定をする必要があります。

 

無担保の場合は、信販会社に多くみられるフリーローンが代表的です。フリーローンは融資の目的を限定しないためアパートのリノベーションでも利用可能です。ただし、借入金額は多くても数百万円程度、期間も最長で10年から15年と短い特徴があります。担保を設定するローンよりも審査期間が短く比較的借りやすくなっていますが、担保設定する場合よりも金利は高く設定されています。

担保設定する場合は、無担保と比較すると借入期間も最長30年、金利も低く設定されます。ただし、アパートに抵当権を設定しなければいけませんし、融資を受けるまでの審査期間が長く基準も厳しくなる場合があります。

住宅金融支援機構では、賃貸物件を耐震リフォームや省エネルギー住宅などへのリフォームを対象とした融資があります。住宅金融支援機構では融資額が300万円を超える場合は融資対象の土地や建物に抵当権の設定が必要となります。

アパート修繕計画の必要性

国土交通省住宅局の発表した「民間賃貸住宅の大規模修繕等に対する意識の向上に関する調査検討報告書(2017年3月)」によると、アパートなど賃貸住宅を所有している個人のオーナーの中で所有物件の長期修繕計画を「全くたてていない」と回答したのは44.4%。「わからない」とあわせると、77%以上にのぼりました。一方全ての所有物件で長期修繕計画をたてていると回答したのは16.8%でした。一部の物件で計画している割合を合計すると22.8%のオーナーは、所有している物件の長期修繕計画をたてています。

ただし、修繕計画をたてていないオーナーでも定期的にあるいは必要になった時点で修繕を実施しているようです。

 

【主な修繕項目と修繕実施時期】

修繕項目

工事内容

修繕実施時期

外装

屋根・屋上
外壁

補修、防水、塗装

10、15、30

バルコニー
共用部(階段,廊下,軒天)

防水・塗装、シート貼替

10、15,25

鉄部等

塗装

5、10,15

給排水管

取替

15、25、30

内装

住戸内

改修

15、20、30

水回り設備

交換

10、15、20

国土交通省住宅局「民間賃貸住宅の大規模修繕等に対する意識の向上に関する調査検討報告書(2017年3月)」より抜粋

 

空室や人口減少の問題もあり、アパート経営を安定的に行っていくためには、オーナーのセンスや工夫がどうしても必要です。突発的な大規模修繕や、計画性がなく費用をかけすぎるリノベーションは、収支を悪化させ経営を不安定にする要因となります。

長期的な修繕計画をたてれば、修繕費用は積み立てた範囲内に納めておくなど、突発的に無計画な資金を投入しなくて済みます。長期的な視野で計画的な運用が大切でしょう。

 

アパートに適用される補助金

住宅セーフティネット制度

国土交通省による、住宅確保が難しい世帯(住宅確保用配慮者)の居住支援制度です。低所得者や、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯といった世帯の入居を拒まない住宅として登録することで、オーナーは入居を受け入れるために必要な工事を行った場合、支援を受けることができます。

登録出来る住宅には床面積が25㎡以上で建物の構造に耐震性があること、登録後は10年間管理維持が必要など一定の基準があります。住宅確保要配慮者専用賃貸住宅として登録されれば専用のシステムに物件情報が掲載される他、入居者受け入れに必要な工事や調査にかかった費用に対して補助金が受けられます。

対象となる工事

・バリアフリー改修工事

・耐震改修工事

・間取り改修工事

・子育て世帯対応改修工事

・居住支援協議会などが必要と認める改修工事

・工事に係る調査設計計画(インスペクションを含む)

補助金は、改修工事に要した費用の1/3以内の額で限度額は50万円/戸です。ただし、間取りの変更や耐震工事などは最大100万円/戸に増額される場合もあります。

 

詳細な適用条件や受けられる補助金の額などは各地方公共団体の窓口に確認するようにしてください。

 

アパートのリノベーションとリフォームの違い

「リノベーション」と「リフォーム」は曖昧でどちらも同じような意味で使われる場合も多い言葉です。

リノベーションを行う団体によって作られたリノベーション協議会の定義では、リフォームは「原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処」、リノベーションは、「機能、価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修」としています。

賃貸アパートにおけるリフォームは、退去後に内装を修繕したり、古くなったトイレを新しいものに換えたりといった表面的な修繕です。一方アパートのリノベーションは、入居者のニーズの変化に合わせて間取りを変更したり、設備やデザイン性を向上させたりといった価値を高める修繕を意味しています。

 

まとめ

古くなって時代の感覚に合わなくなったアパートの部屋は、設備の使い勝手や間取りを変更するリノベーションでニーズに合った部屋として魅力的な物件になります。ただし、工事中の部屋は家賃収入がゼロになりますし、必要以上のコストを掛けすぎてしまうと売却までに費用が回収出来ない結果になってしまいます。かかる費用の目安をあらかじめ知っておけば、資金計画の範囲内で効果的なリノベーションを行う工夫も生まれます。改修コストを抑えられる補助金制度なども上手に活用出来ないか検討してみるとよいでしょう。

 

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