高齢の親マンションを売却するときにできるサポート

トラブル・特殊な物件の売却

高齢になった親と中古マンション売却

 

生前整理という言葉が使われだして、どのくらいになるでしょうか?
私(筆者)が初めてエンディングノートを目にしたのは20年ほど前でしたが、それが生前整理という形で浸透してきたのは最近ではないかと思います。
皆さんの親御さんの世代はちょうどマンションの建設が増えた時期に当たるはずですので、まさしく生前整理で中古マンションの売却を検討する方が今後も増えると予想されます。
もうすでに、
「中古マンションを売却するつもりだ」と親御さんから打ち明けられている方もいるかもしれませんね。
子どもとしては、親の思う通りにすれば良いと思う反面、
「もう高齢になってきているのに、中古マンションの売却みたいな高額の取引なんて大丈夫だろうか?」
「万が一、自分の親が悪い業者に騙されるなんてことがあったらどうしよう?」
「中古とはいえ二足三文でマンションを売却してしまうかもしれない…」
「親はおろか、自分もそもそも中古マンションの売却なんてしたことがないけれど、どうすればいいのか?」
…など、不安や悩みは尽きません。
そんな子世代の皆さんのお悩みを少しでも軽くするための手段、それが今回の記事で取り上げる「中古マンションの簡易査定」です。
一体どういうものなのか、さっそく見ていきましょう。

売却予定のマンションを知ろう

 

冒頭で生前整理について少し触れましたが、より詳しくみてみると、親がマンションを売却したくなったきっかけが見えてきます。
・親だけでは部屋が広過ぎる
・主治医のいる病院の近所に引っ越して、通院の負担を減らしたい
・定年を機に田舎暮らしをしたい
・お友達が減って寂しいので子どもの近くに引っ越したい
・老人施設に入居するので入居費用を捻出したい
等々、親の現状が明らかになってきます。

中には親の親、つまり祖父母の代などから不動産を相続したので相続税を支払うために売却を考える例だってざらにあります。
まず子どもがやるべきことは、価格も含め、親が売ろうとしている中古マンションについて知ることです。
「そんなの今更言われなくても分かってるよ」
という声が聞こえてくるようです。親が売却しようとしているマンションが、あなたの育った家ならばなおのことです。
ですが、多くの子どもは成長とともに実家を出て暮らしています。そのため最近の実家の状況については意外に知らないのではないでしょうか?

ましてや実家のある中古マンションの管理状況や、近隣の物件価格の相場まで把握している子どもはそんなにいないと思います。
そのような子世代の味方が、「中古マンションの査定サイト」なのです。
スマートフォンの普及により、離れた実家の中古マンションなどの査定を手早く依頼でき、かつ匿名でも簡単に行えるようになりました。
このように、子世代ではネットでの売却査定がすっかり浸透している感があります。
しかし高齢の親世代はどうでしょうか?
先に親が中古マンションの売却を考えるきっかけに触れましたが、その理由が若い世代にどれだけ当てはまるでしょうか?
現在では、中古マンション売却のきっかけとなる出来事は、大抵人生の後半に訪れます。つまり中古マンション取引の売主は高齢者が多いといっても過言ではないのです。
そのような高齢者の方々にもスマートフォンが普及してきましたが、若者に負けないくらいのネットの知識を持ち、SNSや動画サイトに投稿する方々がいる一方で、まだ通話機能を使うのが精一杯の方々もいらっしゃる印象です。正直なところ、インターネットで色々な物事を査定依頼できること自体ご存じない場合もあります。そうなると不動産売却査定サイトも存在が知られていないことになります。
ところで、あなたの親御さんはすでに中古マンションの売却活動を始めていますか?
「全然買い手がつかないんだ」など愚痴をこぼしてはいませんか?
もしそうなら、いくらくらいで売却しようとしているのか、またどんな不動産会社に売却を依頼しているのか、ぜひ確認してください。
そしてできれば親御さんと一緒に中古マンションの無料査定サイトを使ってみてください。
親御さんの考えている売出し価格が果たして適正なのか、子どもであるあなたも一緒に知ることができます。親御さんの立場からしても、相性の良い不動産業者を自宅にいながら探すことができ、身体にも負担をかけずにすみます。プラスアルファで売却を近所に知られたくない方でも、匿名で価格査定を行うことができたら便利ですね。

中古マンションの無料査定

 

ここで、中古マンションの無料査定サイトにはどんな種類があるのかそれぞれの特徴も整理しておきましょう。
中古マンションの無料査定には、①一括査定サイトと②匿名査定サイトの2種類があります。
1.一括査定サイトの特徴
一括査定サイトは、6社くらいの不動産会社に一度に査定依頼をすることが可能です。主に中古マンションの所有者が利用します。
インターネットで査定を依頼しますと、所有者のところに不動産会社から営業電話やメールがくる仕組みです。
しかしこれでは高齢の親御さんのところに不動産会社から連絡が行ってしまいます。判断力に不安のある方や断れないタイプの方などが親御さんの場合ですと、却ってこちらの不安を増やしかねません。
ですので売却価格の下調べの段階では一括査定サイトは不向きです。

2.匿名査定サイトの特徴
匿名査定サイトは、中古マンションの情報を入力するだけで不動産の価格を査定することができ、しかも匿名で行うことが可能です。
実際に価格査定をするときは、親御さんのマンションの所在や築年数・面積等に加え、物件査定依頼者のメールアドレスなどを入力します。
査定結果は数分でわかるようになっています。
最大の特徴は、入力する個人情報がメールアドレス程度で住む点です。中古マンションの所有者本人はもちろん、査定依頼者も営業電話がかかってくる煩わしさから解放されます。
親御さんが純粋に中古マンションの売却相場を知りたがっている場合には、匿名査定サイトを利用すると良いでしょう。
ところで、
「本当にこんなので値段なんてわかるのか?」
「じかに不動産会社に話を聞かないと信用できない」
などと、高齢の親世代の中には思い込みが強い方もいらっしゃるかと思います。
匿名査定サイトの査定額は、不動産流通機構(レインズ)の登録物件の情報や、査定サイトに参加している不動産業者(サイトによっては1,000社以上)の過去の中古マンション取引など、膨大なデータを元に査定された金額であるため、プロの不動産業者からのお墨付きも得られています。
ほとんどの査定サイトが不動産会社によって運営されていますので、親御さんにはそのように説明されると安心してもらえるのではないでしょうか?
以上、中古マンションの売却額を簡単に査定してもらえる方法について見てきました。
これを踏まえて次は実践編と参りましょう。

おススメ!高齢の親世代との査定方法

 

匿名査定サイトである程度の売却価格を把握したら、いよいよ中古マンションの一括査定サイトの出番です。
「なかなかマンションが売れない」と嘆く高齢の親御さんの場合、近所の不動産会社1社のみに中古マンションの売却査定を依頼しているのではないでしょうか?
その1社とは親御さんとの相性が悪いのかもしれません。
親御さんが困っている様子であれば、一緒に一括査定サイトを覗いてみてください。
一度にたくさんの不動産会社とコンタクトが取れるのが一括査定サイトのメリットですので、親御さんとの相性の良い会社と出会える可能性が上がるはずです。何より一緒にサイトを見れば、コンタクトを取ってきた不動産会社を子の立場から客観視できます。
ただし、一括査定サイトを使う際、親御さんの代わりに注意していただきたいことがあります。
一括査定サイトには1,000社を超える会社が登録されていますが、契約を取りたいがために、意図的に高い査定額を出してくる不動産会社が少なからず存在します。
あなたの親御さんがそのような不動産会社に引っかからないようにするため、あらかじめ匿名査定サイトでの売却査定額と比べてみてください。
匿名査定サイトとの価格とあまりにもかけ離れるほどの高い価格で査定をしてくるような会社は、あまり良心的でない恐れがあります。
親御さんには理由を説明して、そういう不動産会社とは契約しないよう注意を促しましょう。

まとめ

 

家族の思い出がたくさん詰まった我が家を中古マンションとして売却するのは、時に親子で辛い作業になるかもしれません。
だからこそ、一括査定サイトや匿名査定サイトを上手に利用して、悔いの残らない売却にしていきたいですね。

高齢の親の中古マンション売却成功のポイント

 

高齢になった自分の親が、ある日自宅の中古マンションを売却したいと訴えてきました。
すでに近所の不動産会社に売却査定を依頼し、宣伝もしてもらっているようですが、なかなか売却先が見つからないようです。
こんな時、子であるあなたはどうしますか?
もしかすると自分の生まれ育った家を失うというショックが先に立ってしまい、頭が真っ白になるのかもしれません。
そこで今回の記事では、高齢になった親世代が中古マンション売却を成功させるために、子どもが気をつけてあげたいポイントをお伝えします。
「自分もマンションの売却なんてやったことないよ…」
と不安に苛まれている方も、この記事を読むことで冷静に対処できるようになります。
ではさっそくみてみましょう。

売却に向けての準備


1.査定サイトを親とチェック

何事にも通じることですが、まずは親御さんがこれまでしてこられた売却活動について、親御さんとの情報共有に努めましょう。
・売却活動を始めたのはいつ頃か?
・売却査定を依頼したのは1社か?それとも数社に査定してもらったのか?
・不動産会社とは媒介契約を結んでいるのか?もし結んでいたら契約期間の残りは何日あるのか?
・何円で売却を希望しているのか?
といったことを聞いてみます。
万が一売却活動が長期化しており、かつ売却価格の査定を1社にしかお願いしていないようならば、新しい不動産会社にお願いするタイミングかもしれません。

インターネット上には中古マンションの物件名を入力するだけで大まかな価格を査定してくれる「匿名査定サイト」や、実際にサイトの会員となっている不動産会社に、一度に6社程度詳しい売却価格の査定を依頼できる「一括査定サイト」があります。
親御さんがあまりネットに詳しくない場合は、ぜひご一緒に一括査定サイトを利用してみてください。
もしかすると現在の売出し価格が査定サイトの価格と大幅に食い違っているかもしれません。また、親御さんにとってはより誠実な業者と出会える可能性が高まります。

2.自宅マンションの補修と清掃

一括査定サイトを使ってみて、好感触の査定会社数社に売却査定を依頼することになった場合、次に子どもがやるべきことは「実家である親のマンションの補修・清掃」です。
中古マンションでは外壁等の共有部については何も手をつけられませんし、内装、特に壁の張り替えなどは買主が好みのものに変更することがありますのでやらない方が喜ばれたりしますが、それでも小さな痛みは補修した方が良いです。
その方が丁寧に暮らしているのが伝わり、売却価格の査定にプラスに働くことがあるからです。
また、足腰の弱った高齢の親御さんにとって、清掃は辛いものです。
家の中にある不要品を代わりに片付けてあげると親御さんは助かりますし、売却査定の評価が上がるので一石二鳥ですね。

3.必要書類を揃える

売却査定が終わり、親御さんの中古マンションの購入希望者が現れ始める頃、親子で取り掛かっていただきたいことがあります。
それは「必要書類を揃える」ことです。
詳しくは不動産会社から指示がありますが、
・実印と印鑑証明書
・権利書(登記済証)、又は登記識別情報通知
・固定資産評価証明書
・本人確認書類
・親御さんがマンションを購入した時に受け取った書類一式
・マンションの鍵(スペアキー、駐車場の鍵などをも含みます)
以上の書類などはすぐに出せるようにしておくと安心です。

親御さんは自宅マンションを購入した際、所有権登記をされているはずですが、その登記簿にある親御さんの住所が現在と異なる場合、住民票や戸籍の附表などが必要になります。印鑑証明書や住民票などを入手するためには親御さんの住んでいる自治体の役所に足を運ぶことになりますので、親御さんに付き添ってあげると喜ばれると思います。
親御さんの体調によっては、子どもが代理で役所へ向かうことになりますが、その際委任状が必要な場合があります。自治体ホームページで委任状の書式がダウンロードできますので、参考にしてください。
「親御さんがマンションを購入された時に受け取った書類」というのは、当時のパンフレットやチラシ、部屋の設備の取扱説明書、建築図面、売買契約書、重要事項説明書などを指します。部屋を掃除するタイミングで探しておくと良いでしょう。
売買契約書以外の書類は、中古マンションを引き渡す時に買主に渡すことになりますが、購入した当時の売買契約書は、中古マンションを売却した後に必要なので残しておきましょう。その理由は以下でご説明します。

売買契約書は残しておこう


1.中古マンション売却と税金

ここで、中古マンションを売却した際に考えなければならないことがあります。
親御さんのマンションが売れた時にかかってくる税金です。
とはいっても、購入時より高く売却できたらの場合です。
日本ではご存知のように、何らかの形で現金収入を得た場合は所得税を払わなければなりません。中古マンションなどの不動産を売却して得た利益から必要経費を差し引いたお金を譲渡所得といいます。
購入した時の価格はその時の売買契約書に書かれていますので、確定申告には証拠書類として添付することになります。
中古マンションを購入した時の売買契約書が必要なのはこのためです。

2.売買契約書がなかったら

ところで、あなたの親御さんはマンション購入時の書類をどのように保管されていましたか?金庫でしょうか?それとも押入れの奥?
金庫ですと最高ですが、押入れでもしっかり保管されていればまずはひと安心です。
ご高齢の方は30年以上前に購入した中古マンションを売却しようとすることが多いです。普段はまず必要ないので、長い間に契約書の保管場所を忘れておられたり、中にはうっかり処分されていることも十分ありえます。
もし当時の売買契約書が親御さんの手元になかったらどうすれば良いのでしょうか?
売買契約書をなくしてしまい、マンションを買った金額が証明できない場合は、概算取得費を使わなければなりません。
概算取得費は「この価格で買った」とみなされる金額で、中古マンションの売却ですと、売却価格の5%でマンションを購入したことにされてしまいます。
仮に親御さんの中古マンションが3,000万円で売却できたとすると、概算取得費は150万円となり、譲渡所得はプラスとなってしまいます。
ではこのまま所得税が課税されてしまうのでしょうか?

3.課税ラインは3,000万円

親御さんは住んでいるマンションを売却するため、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」が利用できます。
上記の例では譲渡所得から3,000万円引くとマイナスとなるため、
所得税が課税されません。
ですがやはり当時の売買契約書があるに越したことはありませんよね。匿名査定サイトで査定する段階で、親御さんの中古マンションの査定額が3,000万円をオーバーするのかをチェックしましょう。
3,000万円を超すようであれば、売買契約書を一家で見つけ出しましょう。ない場合もマンションを買った時の相手方に問い合わせたり、当時のチラシやパンフレットを探してみましょう。仲介業者がいれば当時の契約書のコピーを保管してくれているかもしれません。
ここでかかる所得税は決して小さくない金額です。親御さんのこれからの暮らしのためにも粘り強く探し出しましょう。

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。高齢になった親の中古マンション売却を成功させるために、子世代が冷静に対処する方法をお伝えしてきました。
高齢の親御さんのために中古マンションの売却を成功させるには、匿名査定サイトと一括査定サイトを上手に利用することが、親も子も冷静かつ幸せな売却活動を進めるキッカケになります。
この記事の読者層は高齢のご両親をお持ちの世代が中心ですが、そういう方に親御さんが中古マンションの一括査定サイトを紹介されたというお声を親御さん世代から頂いています。
これから売却査定を考えている方は、イエウールなどの一括査定サイトをご両親と一緒に見て、中古マンションの売却を助けてあげましょう。

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