マンション売却の媒介契約とは?一般媒介と専任媒介の違い、契約の注意点を解説

媒介契約の知識

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

中古マンションを売却したいと思ったら、まず査定を行います。そしてその後、通常多くの人は査定金額が高い不動産屋に仲介を頼むことになります。不動産屋に売却を頼むことを“媒介契約”と言います。不動産屋との媒介契約の種類には3パターンあるので注意が必要です。

今回は不動産会社スマートアンドカンパニーが3つの媒介契約について詳しく解説します。

  • マンション売却時の3つの媒介契約の特徴と違い
  • 売却ではどの媒介契約を選べばいいのか
  • 媒介契約書で確認するべき注意点


記事を読めば、マンションを売却する際にどの媒介契約を結べば良いのかの判断が出来ます。是非参考にしてみてください。

Contents

  1. マンション売却時の媒介契約とは?
  2. 一般媒介契約について
    1. 一般媒介契約の特徴
      1. 同時に契約を結べる会社の数
      2. 明示型、非明示型とは?
      3. レインズ登録義務(登録までの期間)
      4. レインズに登録してもらえるのか?
      5. 売主への活動報告義務
      6. 契約期間
      7. 自己発見取引が可能か
      8. 売買が成約した後は他の不動産屋に連絡するべき?不動産屋への連絡方法は?
      9. 解約するには
      10. 一般媒介契約のメリット
      11. 一般媒介契約のデメリット
  3. 専任媒介契約について
    1. 専任媒介の特徴
      1. 同時に契約を結べる会社の数
      2. レインズ登録義務(登録までの期間)
      3. 売主への活動報告義務
      4. 契約期間
      5. 自己発見取引が可能か
      6. 解約するには
      7. 専任媒介のメリット
      8. 専任媒介のデメリット
  4. 専属専任媒介契約について
    1. 専属専任媒介の特徴
      1. 同時に契約を結べる会社の数
      2. レインズ登録義務(登録までの期間)
      3. 売主への活動報告義務
      4. 契約期間
      5. 自己発見取引が可能か
      6. 解約するには
      7. 専属専任媒介のメリット
      8. 専属専任媒介のデメリット
  5. どの媒介契約を選べばいい?
    1. どの媒介契約が向いているか
      1. 一般媒介契約に向いているのはこんな人
      2. 専任媒介契約に向いているのはこんな人
      3. 専属専任媒介契約に向いているのはこんな人
    2. 実際の売却で多い媒介契約は?
    3. 媒介契約や仲介業者を変更出来る?
      1. 契約期間満了のタイミングでの変更の場合
      2. 契約期間が残っている時の変更
      3. 不動産会社側に落ち度がある場合の解約
    4. 信頼出来る不動産会社と媒介契約を結ぶ事が大切
  6. 媒介契約書で確認しておくべき注意点
  7. まとめ

マンション売却時の媒介契約とは?

マンション売却時の媒介契約とは

マンション売却時の媒介契約とは、依頼人(=売却希望者、売主)の代わりにマンションの売却先を探してもらうよう、不動産業者と正式に交わす契約のことをいいます。
マンションの売却先が見つかり売買契約が無事成立したら、依頼人は不動産業者に成功報酬として一定の金額を支払う、という取り決めです。

媒介契約には、3つのパターンがあります。

  • 「一般媒介契約」
  • 「専任媒介契約」
  • 「専属専任媒介契約」

この3つの何が違うのでしょう?
それは、”不動産屋がマンションの売却先を探すときのルール”です。
売主(=依頼人)は自分の代わりにマンションの売却先を不動産会社に探してもらうわけですから、自分の生活スタイルや考え方になるべく沿った形で売却活動を進めたいと考えるのはごく当然です。不動産業者としても、ルールに基づいて営業活動をすることは、無用なトラブルを避けるためにも大事なことです。

そこで、
・周囲にマンションを売却することを知られても差し支えないか、それとも知られたくないか。
・信頼のおける不動産屋さん1社に任せたいか、それとも複数の業者にお願いしたいか。
・自分も同時進行で売却先を探す余力があるか、それとも多忙でそんな余裕はないか。
・急いでマンションを売却したいか、それとも時間的にはゆとりがあるか。
など、売主の要望に応える形で、宅建業法では媒介契約を3パターン用意することにしました。
売主は個々の事情に合わせて、どの媒介契約を結ぶかを自由に選ぶことができます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、良く見比べてどれが自分に合うのか見極めることが大切です。

一般媒介契約について

一般媒介契約について

一般媒介契約の特徴

依頼者が他の不動産屋に重ねて売却依頼ができる媒介契約です。実際に売買契約を結ぶときにはどれか一つの会社に媒介をお願いする必要があります。

同時に契約を結べる会社の数

特に決まっていません。何社でもOKです

明示型、非明示型とは?

  • 明示型
    売却希望者が他の不動産業者と媒介契約を結ぶことになったら、その相手の不動産業者を知らせる義務があるタイプの一般媒介契約です。つまり、複数の不動産会社に依頼したことを他の不動産会社にも伝えておき、どの会社がこの売却に関わっているかを通知しなければならない、ということです。国土交通省が作っている「標準媒介契約約款」という媒介契約書のひな型では、明示型がデフォルトになっています。
  • 非明示型
    どの会社と媒介契約を結んだかを知らせる必要がないタイプの一般媒介契約です。非明示型は特約扱いのため、非明示型にしたい場合は依頼者から申し出なければなりません

レインズ登録義務(登録までの期間)

レインズ(指定流通機構)とは、売りに出されているマンションなどの不動産の情報が登録されている情報ネットワークシステムです。一般媒介契約の場合、レインズへの登録義務はありません

レインズに登録してもらえるのか?

依頼者がレインズ登録を希望し、媒介契約書に明記すれば登録してもらえます

売主への活動報告義務

売却物件の宣伝をした、などの活動報告を不動産屋が売主にする義務はありません。ただし、依頼者と不動産屋との間で取り決めれば活動報告をしてもらうことは可能です。

契約期間

一般媒介契約では法律上の規定はありません。ただし、行政指導で契約期間の上限が3ヶ月となっており、「標準媒介契約約款」でも明記されています。なお、依頼者が希望すれば、一般媒介契約を更新することは可能です。

自己発見取引が可能か

自己発見取引とは、例えば親族や友人に、不動産屋を通さず直接売却すること、つまり依頼者が自分でマンションなどの不動産の売却先を見つけることです。一般媒介契約では自己発見取引は可能ですが、その時は速やかに媒介契約を結んだ不動産屋に知らせなければなりません。知らせなかった場合は、不動産屋が好意で負担してくれた、自己発見取引にかかる費用を支払うことになります。

売買が成約した後は他の不動産屋に連絡するべき?不動産屋への連絡方法は?

売買が成約した後、明示型の時は他に一般媒介契約を結んでいる不動産屋に連絡しなければなりません。連絡方法は電話でも書面でも良いのですが、速やかに連絡を入れましょう。
もし明示していない不動産屋で売買が成約したら、媒介契約を結んでいる不動産屋は営業活動にかかった費用を依頼者に請求することができます。
なお、非明示型の場合は他の不動産屋に連絡する必要はありません。

解約するには

一般媒介契約を契約期間内に解約するには、電話口で「解約したい」と伝えればOKです。基本的にいつでも解約できます。ただし、契約書に違約金の定めがあったら、契約満了まで待ったほうが無難です。

一般媒介契約のメリット

  1. 複数の不動産屋を比較しながら売却活動を進めることができます。悪質な不動産屋と一般媒介契約を結んでいたとしても、そちらを解約して他の良質な不動産屋を選べる安心感があります。
  2. 複数の不動産屋がそれぞれの客層に一斉に宣伝できるので、マンション購入希望者を幅広く探し出せる可能性があります。
  3. レインズへの登録が義務ではないので、自宅マンションの売却を知られなくて済みます。

一般媒介契約のデメリット

  1. 不動産屋は自分の会社で成約できないと手数料が収入にならないので、売却活動があまり積極的でなくなる可能性があります。
  2. 営業報告義務がないので、不動産屋がどのように売却活動をしているか分からない恐れがあります。
  3. 明示型の場合、自己発見取引や他業者で成約したことを連絡しなかったらペナルティを受けることがあります。
  4. 一般媒介契約を結んだ不動産屋同士での競争が過熱する場合があります。他社の動向を見ながら販売活動が行われると、値崩れを起こさないように購入希望者との値引き交渉を避けたり、強気の姿勢で販売を続けたり、スムーズに売却できない可能性も出てきます。

専任媒介契約について

専任媒介契約について

専任媒介の特徴

依頼者が他の不動産屋に重ねて売却依頼ができない媒介契約です。

同時に契約を結べる会社の数

一般媒介契約と違い、1社のみです。他の不動産屋で成約した場合、仲介手数料分の違約金が発生します。

レインズ登録義務(登録までの期間)

専任媒介契約の場合、レインズへの登録義務があります。登録までの期間は媒介契約を結んだ日から7日以内です(ただし不動産屋の休業日は除きます)。契約書面には7日以内で具体的な日程を記入することになっています。

売主への活動報告義務

売主への活動報告は、2週間に1回以上の回数で行わなければなりません。報告方法は文書か電子メールいずれかを選ぶことになっています。報告の頻度は2週間に1回以上であれば自由に決めて構いません。

契約期間

専任媒介契約では、契約期間は3か月を超えることができない、と宅建業法で決められています。これより長い期間を定めた場合は3か月に短縮されます。
媒介契約を更新する場合は、依頼者と不動産屋との合意の上、依頼者から契約満了時に文書で申し出ることになっています。

自己発見取引が可能か

専任媒介契約では、依頼者が自分でマンションなどの不動産の売却先を見つける自己発見取引は可能ですが、その時は速やかに媒介契約を結んだ不動産業者に知らせなければなりません。知らせなかった場合は、不動産屋が好意で負担してくれた、自己発見取引にかかる費用を支払うことになります。

解約するには

専任媒介契約を契約期間内に解約するには、基本的には電話口で「解約したい」と伝えればOKですが、念のために解約の意思表示をした文書を内容証明郵便で送れば安心です。
ただし、不動産屋に落ち度がない場合、専任媒介契約の履行に使った広告費などの費用を違約金として支払うことになります。違約金を支払うつもりがないなら契約満了まで待ったほうが良いでしょう。

専任媒介のメリット

  1. 専任媒介契約では他の不動産屋に売り上げを横取りされる心配がありません。そのため成約に向けて熱心に取り組んでくれます。
  2. 営業報告があるので、売却活動の進捗を確認することができます。
  3. 売主が自分でもマンションの売却先を探す余地が残されています。

専任媒介のデメリット

  1. 1社としか不動産屋と媒介契約を結ぶことができないので、条件の良い売却は不動産屋や営業担当者の力量にかかっています。力量不足の不動産屋に当たってしまうと、不本意な売却になってしまうことも。
  2. 両手仲介(売却側と購入側、両方の手数料を狙った仲介をすること)を狙って、物件情報を抱え込まれてしまい、売却が遅れてしまうこともあります。

専属専任媒介契約について

専属専任媒介契約について

専属専任媒介の特徴

依頼者が他の不動産屋に重ねて売却依頼ができない媒介契約です。かつ、自己発見取引も禁止されています(詳しくは後述します)。仲介を一社のみに決めてしまうため、業務内容が宅建業法により厳しく決められています。

同時に契約を結べる会社の数

専任媒介契約と同様、1社のみです。他の不動産屋で成約した場合、仲介手数料分の違約金が発生します。

レインズ登録義務(登録までの期間)

専属専任媒介契約にも、レインズへの登録義務があります。登録までの期間はより厳しくなっており、媒介契約を結んだ日から5日以内と決められています(ただし不動産屋の休業日は除きます)。契約書面には5日以内で具体的な日程を記入することになっています。

売主への活動報告義務

こちらも専属専任媒介契約ではより厳しくなっています。売主への活動報告は、1週間に1回以上の回数で行わなければなりません。報告方法は文書か電子メールいずれかを選ぶことになっています。報告の頻度は1週間に1回以上であれば自由に決めて構いません。

契約期間

専属専任媒介契約では、契約期間は3か月を超えることができない、と宅建業法で決められています。これより長い期間を定めた場合は3か月に短縮されます。
媒介契約を更新する場合は、依頼者と不動産屋との合意の上、依頼者から契約満了時に文書で申し出ることになっています。

自己発見取引が可能か

専属専任媒介契約では、依頼者が自分でマンションなどの不動産の売却先を見つける自己発見取引はできません。違反した場合は、不動産屋は仲介手数料分の金額の違約金を請求することができるとされています。
もし契約期間満了が近ければ、満了を待って自己発見取引をすると違約金の支払いを免れることができます。

解約するには

専属専任媒介契約を契約期間内に解約するには、基本的には電話口で「解約したい」と伝えればOKですが、念のために解約の意思表示をした文書を内容証明郵便で送れば安心です。
ただし、不動産屋に落ち度がない場合、専属専任媒介契約の履行に使った広告費などの費用を違約金として支払うことになります。違約金を支払うつもりがないなら契約満了まで待ったほうが良いでしょう。

専属専任媒介のメリット

  1. 専属専任媒介契約では他の不動産屋に売り上げを横取りされる心配がありません。その上自己発見取引も禁止されています。そのため成約に向けてより熱心に取り組んでくれます。
  2. 1週間に1回以上営業報告があるので、売却活動の進捗をこまめに確認することができます。
  3. レインズへの登録をより早くしてもらえるため、売却先をより早く見つける可能性が高まります。

専属専任媒介のデメリット

  1. 1社としか不動産屋と媒介契約を結ぶことができないので、条件の良い売却は不動産屋や営業担当者の力量にかかっています。力量不足の不動産屋に当たってしまうと、不本意な売却になってしまうことも。
  2. 両手仲介(売却側と購入側、両方の手数料を狙った仲介をすること)を狙って、物件情報を抱え込まれてしまい、売却が遅れてしまうこともあります。
  3. 親族や友人に売却する場合は、不動産屋を通してのマンション売買になるため、仲介手数料を負担させることになってしまいます。

どの媒介契約を選べばいい?

どの媒介契約を選べばいい?

どの媒介契約が向いているか

ここまで、3つの媒介契約について見てきましたが、
「実際のところ、自分にはどの媒介契約が向いているのだろう?」
と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、それぞれの媒介契約の特徴を踏まえて、どんな人がどの媒介契約に向いているのか、見ていきましょう。

一般媒介契約に向いているのはこんな人

  1. 主体的に不動産屋とやり取りができる売主

    一般媒介契約では、不動産屋には売主への報告義務はありません。そのため売主自らが不動産屋へ連絡し、売却活動の確認をする必要があるからです。

  2. 駅から徒歩5分以内の駅近マンションや、住みたい街ランキング上位の人気エリアに立地するマンションなど、好条件のマンションを売却予定の売主

    好条件のマンションだと、すぐに問い合わせが来て売却につながる可能性があります。わざわざ専任媒介契約や専属専任媒介契約にしなくても、物件自体の魅力が宣伝効果につながるからです。また、一般媒介契約では自己発見取引が認められているため、不動産屋を通さなくても直接知人や親戚に売却できます。

  3. マンション売却を周囲に知られたくない売主

    レインズに登録すると、全国の不動産屋にマンション売却の情報を共有されます。ですが一般媒介契約ではレインズへの登録義務はありませんので、情報をほとんど漏らすことなく売却活動を進めることができます。

  4. 売却価格査定だけでは不動産屋の見極めが難しかった売主

    →査定では各不動産屋の値段に差がつかなかった、印象がどこも似たり寄ったりで不動産屋を決めきれなかった、などという場合、先に一般媒介契約を結ぶのが良いでしょう。実際の売却活動で、各担当者の営業手法や態度を見ることができるからです。

専任媒介契約に向いているのはこんな人

  1. 信頼できる不動産屋や担当者が売却査定で見つかったが、知人や親戚への売却の可能性もある売主

    専任媒介契約では依頼できる不動産屋は1社のみですが、自己発見取引が認められています。知人や親戚に直接売却をするかもしれない場合は、専任媒介契約で自己発見取引の余地を作っておくのが良いでしょう。

  2. 希望の売却価格で買ってくれる人が見つかる、という可能性を広げたい売主

    専任媒介契約ではレインズへの登録義務があるため、全国の不動産屋が売却物件の情報を知ることができます。例えば売却物件のある地域に転居予定のある人を全国から探すことも可能です。購入希望者の捜索範囲を全国に広げることで、希望の売却価格で買ってくれる人を見つける可能性が高まります。

  3. 売却のことを知られても良いと思っている売主

    レインズへの登録義務がある、ということは、近所の人にもマンション売却について知られてしまうことを意味します。それでも構わないから早く売却先を見つけたい人にはおすすめです。

  4. あまり条件の良くないマンションだが、適正価格で売却したい売主

    設備や広さは申し分ないが、交通の便があまり良くないのですぐに売却先が見つからないかも…というような場合、専任媒介契約にすることで確実な売却が目指せます。というのも、専任媒介契約では不動産屋は積極的に売却先を探す義務を負っているからです。不動産屋は義務である以上、責任をもって売却先を探してくれるでしょう。

  5. 多忙のため主体的には不動産屋と連絡を取れないが、進捗状況は知っておきたい売主
    専任媒介契約では売主への報告義務があるため、メールなどで売却の進み具合を知れれば十分であったり、不動産屋から連絡が欲しい、という人には向いています。

専属専任媒介契約に向いているのはこんな人

「専任媒介契約に向いているのはこんな人3,4,5」で説明した人に加え、以下のような人に向いています。

  1. 親戚や知人に売却の当てがない売主

    専属専任媒介契約では自己発見取引が禁止されています。知人などに売却の当てがなく、自己発見取引ができなくても構わないのであれば、専属専任媒介契約にしてしまうのも手です。

  2. 信頼のおける不動産屋や、身内の不動産屋にすべてお任せしたい売主

    信頼のおける不動産屋や身内の不動産屋であれば、応援したくなる気持ちが出てくる人も中にはいます。確実に手数料を受け取ってもらえる専属専任媒介契約であれば、不動産屋としても営業活動に力が入ることでしょう。

  3. より早く、より広く売却先を見つけたい売主

    専属専任媒介契約では専任媒介契約に比べ、レインズへの登録期限が2日早いため、より早く全国から購入希望者を探し出すことができます。

実際の売却で多い媒介契約は?

それでは、過去にマンションなどの不動産を売却した人たちは、どの媒介契約を選んだのでしょうか?
これについては、不動産屋が実際に契約した媒介契約の割合からある程度推測できます。

一般財団法人 土地総合研究所が不動産会社1000社に対して行ったアンケート結果によると、専任媒介契約を選ぶ割合が多いという結果が出ています。

成約件数中の契約割合一般媒介専任媒介専属専任媒介
 度数度数度数
ほぼ100%187.3%3213.0%218.5%
3/4以上197.7%5622.7%208.1%
1/2以上3/4未満228.9%3313.4%83.2%
1/4以上1/2未満3313.4%228.9%104.0%
1/4未満7831.6%3815.4%3313.4%
ほぼ0%5321.5%4518.2%11345.7%
無回答249.7%218.5%4217.0%
247100%247100%247100%

※(出典)一般財団法人土地総合研究所平成 27 年『不動産業についてのアンケート調査』より

不動産売買の仲介業務の中で、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のウエイトを成約件数ベースで集計してあります。売買の仲介業を行っている不動産屋247件のうち、それぞれの媒介契約が1/2以上を占める割合が、一般媒介契約では23.9%、専任媒介契約では49.1%、専属専任媒介契約では19.7%という結果でした

媒介契約や仲介業者を変更出来る?

ところで、マンション売却を進めているうち、こんな悩みが出ることがあります。
あなたは相続した中古マンション売却しようとしています。その中古マンションが自分が住んでいる場所から離れていたので、物件近くに住む親戚に近所の不動産業者を探してもらったとしましょう。
親戚は、数社の仲介業者に頼んだ方が早く売れると考えて、一般媒介契約を結び、数社の不動産会社に仲介を依頼しました。それなのに、友人は一般媒介契約よりも専任媒介契約の方が早く売れるといいます。
この場合、親戚と親戚が探してくれた不動産業者を考慮して、いったんは一般媒介契約にしたものを専任媒介契約に変えることはできるのでしょうか?

こういった事例に限らず、
・専任媒介契約を結んでいる不動産屋を断って別の不動産屋に変更したい
・一般媒介契約で依頼中の何社かの仲介業者のうち、営業姿勢の良い1社に引き続き依頼して、他はすべて断りたい
などの希望が出てくることがあります。
媒介契約の種類や仲介業者を変更することは可能なのでしょうか?

…答えは、変更可能です。

契約期間満了のタイミングでの変更の場合

仲介業者の変更の場合、どの媒介契約でも、満了後に契約更新しなければ、円満に別の不動産屋と契約しなおすことで変更することができます。
契約内容の変更の場合は、上記の例ですと、一般媒介契約の満了時に申し出れば専任媒介契約に変更することができます。

契約期間が残っている時の変更

問題は、契約期間が残っているときに仲介業者を変更したくなった場合です。
基本的には、売主はいつでも変更することができると考えられています。ただ、それぞれの媒介契約の項目で解約について触れていますが、以下を支払いを要求される可能性があります。

  • 違約金の定めがあるときは、その金額(一般媒介契約)
  • 広告費(専任媒介契約)
  • 仲介手数料相当の金額(専属専任媒介契約)

不安ならば、契約書を確認したうえで中途解約を検討しましょう。

不動産会社側に落ち度がある場合の解約

なお、不動産屋に落ち度があり、以下に当てはまる場合は媒介契約の種類に関係なく違約金なしで即時契約解除ができます。

  1. 不動産屋が、相手の信頼を損なう行為をした
  2. 不動産屋が一般媒介契約に関する重要な事柄を故意または重大な過失で伝えなかった、あるいは客観的事実と異なる説明をした
  3. 不動産屋が明らかに法律違反をしている

信頼出来る不動産会社と媒介契約を結ぶ事が大切

実際に媒介契約を結ぶときには、売却予定のマンションの立地や設備などの特徴を踏まえた上で、信頼出来る不動産会社を探すようにしましょう。これはどのタイプの媒介契約でも同じです。
今はSNSなどでサービスの良し悪しが簡単に広がる時代ですが、まだまだ売却活動をおろそかにする良くない仲介業者が存在するのは否定できません。
それに、宅建業法の規制は年々厳しくなっていますが、買い手と売り手の両方からの手数料を見込んだ両手仲介を狙って情報を抱え込まれることもあります。

ですから、どの不動産屋と仲介の媒介契約を結ぶかは、一括査定サイトなどで事前に査定をとるのと同じくらい、マンション売却の成否を分ける重要なポイントになります。
一括査定サイトでの査定の段階で、熱心な営業姿勢の不動産屋を選ぶことはもちろんです。
さらに、一般媒介契約から専任媒介契約や専属専任媒介契約へ変更することにし、契約相手の不動産屋を一般媒介契約でお願いしていた仲介業者の中から選ぶとしたら、報告義務のない一般媒介契約であっても活動報告をきちんと行ってくれていた、誠意と売る熱意がある仲介業者を選ぶようにするとよいでしょう。
マンション売却ではどの媒介契約で仲介業務を依頼するかによって、早期売却できるかどうかが変わってきます。法律で媒介契約は3ヶ月と決められているため、もし思っていたイメージと違う不動産屋の場合、乗り換えを検討してみましょう。
最新マンション売却一括査定人気ランキングで人気のある一括査定サイトを紹介していますのでぜひ覗いてみてくださいね。

両手仲介について詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。

媒介契約書で確認しておくべき注意点

媒介契約書で確認しておくべき注意点

それでは、最後に媒介契約を結ぶときに不動産屋と取り交わす「媒介契約書」で、確認しておくべき注意点をご紹介します。
万が一、契約締結を焦らせて、確認のための時間を十分に取ってくれないような不動産屋がいれば、その不動産屋との契約は考え直したほうが良いかもしれません。
(※ここでは「標準媒介契約約款」を使用しています。)

物件名

別表の赤線で囲まれた所に、「目的物件の表示」を記入する欄があります。ここにマンションの名称が正しく記入されているかを確認しましょう。

契約期間

契約期間についてのチェックポイントは2点です。

  1. 契約日から3ヶ月で正しく明記されているか(3ヶ月を超えていないか)
     →例えば、「6月15日から3ヶ月」であれば、契約満了日は9月14日です。
      閏年などで変則的になる場合は注意が必要です。
  2. 契約更新が自動更新となっていないか
     →専任媒介契約や専属専任媒介契約では、契約の自動更新は無効です。
      一般媒介契約でも、売主から書面で更新を申し出ることが基本となっています。
指定流通期間(レインズ)への登録

専任媒介契約・専属専任媒介契約と、一般媒介契約で少し異なります。

  • 専任媒介契約・専属専任媒介契約
    契約締結日から何日後までに登録かを確認します。
    (※専任は7日以内、専属専任は5日以内)

  • 一般媒介契約
    売主の希望で登録してもらえますので、登録の有無が記載されている事を確認しましょう。登録する場合は特約で登録の期限を決めておくと安心です。
媒介価額

物件名と同じく、別表の赤線で囲まれた場所に記載されることになっています。最終的に決定した売り出し価格の記載が正しいかを確認しましょう。

仲介手数料

仲介手数料の上限額は、取引金額が400万円以上の場合、
(売却価格×3%+6万円)+消費税額 
となります。この額が上限を超えていないかを確認しましょう。

売主の義務

標準媒介契約約款では、売主がすることは「甲は…」という書き出しで記載されています。特に売主が注意しなければならないのは以下の4点です。

  1. 特別依頼にかかる費用の負担
    ・売却したいマンションのためだけに、新聞の1面やテレビCMで広告する場合の広告費
    ・売却の仲介を依頼したマンションが遠隔地(離島や、売主は北海道に住んでいるが物件は沖縄にあるなど)にあるので、事前に売主へ承諾を得た上でおこなう調査にかかる費用や、現地に行くための交通費
    こういった費用は売主から許可を得ていれば、不動産屋から請求されることがあります。

  2. 媒介契約を結んでいない不動産屋での成約
    ・一般媒介契約の場合、明示型なのに知らせていない不動産屋での成約
    ・専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合、他の不動産屋での成約
    これらに違反すると、それまでの営業費用や違約金を請求される恐れがあります。

  3. 自己発見取引
    ・一般媒介契約、専任媒介契約では、自己発見取引が成立した場合は知らせなければなりません。
    ・専属専任媒介契約では、自己発見取引が禁止されているため違約金を請求される恐れがあります。

  4. 直接取引
    直接取引とは、例えばマンション売却の話がまとまった後で、仲介手数料の支払いを免れるために不動産屋に仲介させずに売主と買主が直接売買をすることです。
    どの媒介契約でも、契約満了後2年間は直接取引を禁止しています。
    もし発覚したら、不動産屋が売買契約成立にどれだけ寄与したかで報酬を請求されます。

まとめ

媒介契約まとめ

「どの媒介契約がいいのか?」
「どこの不動産屋が良いのか?」
マンションを売却する売主にとっては迷うところです。
媒介契約の内容については、自分のマンションの立地などをよく把握した上で、上に挙げたメリット・デメリットを確認しながら、慎重に検討しましょう。
一括査定サイトを活用して、 信頼のおける不動産屋に媒介契約を依頼し、満足のいくマンション売却を実現させましょう。

タイトルとURLをコピーしました