不動産売却の評価額はどう決まる?計算方法と損をしないための確認術

売却の流れと基礎知識

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執筆:株式会社スマートアンドカンパニー 編集部(収益物件の買取・再販)

最終更新:2026年8月29日。評価額の算定根拠は国土交通省・国税庁・総務省の公表資料に基づきます。

「自分の不動産の評価額はいくらなのか」「なぜ人によって言う数字が違うのか」——不動産の評価額を調べていると、こうした疑問にぶつかることがあります。実は不動産の評価額には目的に応じて複数の種類があり、それぞれ算定する機関も金額の水準も異なります。この記事では、評価額の種類とそれぞれの調べ方、固定資産税評価額や路線価から公示地価水準の目安を逆算する方法、不動産鑑定で使われる評価手法、建物・土地それぞれの評価額が決まるポイントについて、株式会社スマートアンドカンパニーが解説します。

・不動産の評価額には5種類あり、目的によって使い分けられている
・固定資産税評価額や路線価から売却相場の目安をおおまかに逆算できる
・評価額と実際の売却価格(査定価格)は必ずしも一致しない

不動産の評価額には5種類ある(一物五価)

「不動産の評価額」とひとことで言っても、実は目的別に5つの異なる価格が存在します。これは「一物五価」と呼ばれ、同じ物件でも参照する評価によって金額の水準が変わるため、混乱の原因になりやすいポイントです。

評価の種類所管評価時点公示地価との関係
実勢価格市場(当事者間の合意)売買成立時実際の成約価格そのもの
公示地価(地価公示)国土交通省 土地鑑定委員会毎年1月1日時点(3月公表)基準となる価格
基準地価(都道府県地価調査)都道府県知事毎年7月1日時点(9月公表)公示地価とほぼ同水準の評価
相続税路線価国税庁・国税局長毎年1月1日時点(7月公表)公示地価の8割程度
固定資産税評価額総務省・市町村長1月1日時点(3年に1度評価替え)公示地価の7割程度

相続税路線価が公示地価の8割程度、固定資産税評価額が7割程度という水準は、国土交通省が公表している「主な公的土地評価一覧」に基づく目安です。固定資産税評価額は自宅に届く「固定資産税の課税明細書」や、市区町村役場で取得できる「固定資産評価証明書」で確認できます。相続税路線価は国税庁の「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で調べられます。

固定資産税評価額・路線価から公示地価水準の目安を逆算する

固定資産税評価額や相続税路線価は公示地価との関係が公的に示されているため、これらの数字から売却相場のおおまかな目安を逆算する考え方があります。あくまで目安であり、正確な売却価格は個別の査定でしか分からない点にご注意ください。

<固定資産税評価額からの目安の考え方>
固定資産税評価額 ÷ 0.7 = 公示地価水準の目安
(例)固定資産税評価額が2,100万円の場合 2,100万円 ÷ 0.7 = 3,000万円が公示地価水準の目安

<相続税路線価からの目安の考え方>
相続税路線価から算出した評価額(路線価 × 土地面積 × 各種補正率)÷ 0.8 = 公示地価水準の目安
(例)路線価をもとに算出した評価額が2,400万円の場合 2,400万円 ÷ 0.8 = 3,000万円が公示地価水準の目安

ここで算出できるのはあくまで「公示地価の水準」であり、実際の成約価格(実勢価格)は、立地の人気度や物件の個別事情、市場の需給バランスによって公示地価から上下に乖離することが一般的です。そのため、上記の逆算はあくまで大まかな相場感をつかむための参考値として捉え、実際の売却を検討する際は不動産会社の査定を受けることをおすすめします。

評価額と査定価格・売却価格の違い

ここまで紹介した評価額(公示地価・路線価・固定資産税評価額など)は、いずれも税金の算定や公的な指標として使われる価格であり、実際に不動産会社が算出する「査定価格」や、買主と合意して成立する「売却価格(実勢価格)」とは異なる考え方で決まります。査定価格は、後述する取引事例比較法などの手法に加えて、物件の個別の状態や周辺の販売状況、売却時期の市場動向を踏まえて不動産会社が算出するものです。評価額と査定価格・売却価格を混同すると、想定していた金額と実際の提示額に差が生じて戸惑う原因になるため、それぞれ別の指標であることを理解しておきましょう。

不動産鑑定で使われる主な評価手法

不動産の評価額を算出する際に用いられる代表的な手法として、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つがあります。それぞれ得意とする物件の種類が異なります。

取引事例比較法の計算方法とメリット

取引事例比較法とは、類似物件の取引事例を参照して、見積価格を査定する方法です。駅からの距離といった立地、間取り、広さ、築年数などが類似している物件と比較します。主に居住用のマンションや土地の査定に用いられます。戸建住宅と違い、マンションや土地は取引件数が多いため類似性があり、参考事例にしやすいのがその理由です。

<取引事例比較法の計算式>

事例の平均単価 × 対象物件の面積 = 査定価格

取引事例比較法は、セレクトした成約事例の平均単価(単位面積あたり)を計算したものに、対象物件の面積をかけることで査定価格を求めます。この方法のメリットは、相場を反映しやすく精度の高い売却価格を算出できる点です。ですが、参照する取引事例に査定価格が左右されるというデメリットも持っているため、特殊な事例があると査定価格の精度が下がってしまいます。

通常、不動産会社は「レインズ」という不動産業界のデータベースで取引事例を調べますが、登録されているのは成約価格のみで、どのような状況で売却されたのかは掲載されていません。そのため、「売却を急いでいる」という売主側の事情により相場より低めの価格設定をしている、あるいは人気の物件で買主候補が多かったために高値で売却されたといった状況を考慮することができず、査定価格の精度が下がる場合があります。

一般的に取引事例比較法では、3~5例ほどの成約事例をピックアップして価格査定します。類似の事例が1つだけだと個々の事情に左右される可能性があり、事例が多ければよいということでもありません。成約時期が近い類似の事例をどのくらい集められるかが、査定の精度を左右します。

原価法の計算方法とメリット

原価法とは、評価対象と同等の不動産を取得するのに必要な再調達原価から、建物や設備が老朽化した分を引いて(減価修正)評価額を算定する査定方法です。再調達原価とは、「もう一度同じ不動産を建てたらいくらになるか」という意味の価格のことです。

<原価法の計算式>

再調達原価 - 減価額 = 査定価格

再調達原価は、鉄骨造、RC造、SRC造、木造、軽量鉄骨造など、建築構造によって単価が変わります。単価は1㎡あたりの金額となっており、延床面積を掛け合わせた数字が、一から建て直したと仮定したときの価格となります。

減価額を求める際は、まず「残存耐用年数 ÷ 耐用年数」で建物にまだ残っている価値の割合(現価率)を算出し、再調達原価に現価率を掛け合わせることで、老朽化した分を差し引いた後の建物価格を求めます。耐用年数の目安は以下のとおりです。

木造:22年

軽量鉄骨造:19年(骨格材の肉厚3mm以下)/27年(3mm超4mm以下)/34年(4mm超)

鉄筋コンクリート(RC)造:47年

原価法は従来、法定耐用年数に基づき、たとえば木造住宅なら築20~25年程度で建物としての市場価値がゼロとされ、ほぼ土地代のみでの取引が一般的でした。ですが、中古住宅流通市場の活性化を狙い、2014年に国が「良質な維持管理やリフォームが行われている住宅は適切に評価される」建物評価のガイドラインを示しています。これにより、構造部位ごとに減価修正しつつ、リフォームによる機能回復についても適正に評価額へ反映される方向性に変わってきています(出典: 国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」平成26年3月)。

収益還元法の計算方法と使われる場面

収益還元法とは、その不動産が将来生み出すと見込まれる収益をもとに評価額を算出する方法です。賃貸用のマンション・アパートや事業用不動産など、収益を目的として保有される物件の査定でよく用いられます。

<収益還元法(直接還元法)の計算式>

年間純収益 ÷ 還元利回り = 収益価格

年間純収益は、年間の家賃収入から管理費・修繕費・固定資産税などの経費を差し引いた金額です。還元利回りはエリアや物件の種類によって異なり、一般的にリスクが高いとみなされる物件ほど還元利回りは高く設定され、結果として評価額は低くなる傾向があります。居住用として自分で住む物件よりも、賃貸経営や収益物件として売買される不動産の査定で重視される考え方です。

不動産売却時に建物の評価額が決まるポイント

築年数より耐震基準が重視される

築年数が古くなると設備等が老朽化するので価値は下がりますが、マンションは戸建住宅に比べると一般的に寿命が長いため、築20年以降は価格があまり落ちません。しかし、1981年5月31日までに建築確認を受けた「旧耐震基準」の建物は、耐震性への不安や住宅ローン審査が通りにくいことがあるため評価額が低くなる傾向があります。旧耐震基準でも耐震補強工事がなされていると評価はプラスされます。

建築構造と間取り

一般に評価が高いのは「鉄骨鉄筋コンクリート造」、続いて「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」の順番になります。構造だけでなく、建物全体の耐震性・遮音性、専有部分の天井高なども評価基準となります。また、同じマンション内でも高層階に行くほど評価額は上がる傾向がありますが、エレベーターがない場合は逆の傾向になることもあります。バルコニーが南向きである、眺望や日照が良い、該当エリアでニーズが高い面積や人気の間取りは評価額が上がるポイントです。収納の多さ、ウォークインクローゼットや専有庭の有無、建物自体のグレード感や室内設備も評価を左右します。

リフォームした方が評価額が上がるのか?

経年劣化は目に見えて分かるため、傷み具合はチェック対象です。リフォームしていると評価が上がる要素ですが、必ずしもリフォーム費用と同額程度の評価額がプラスされるとは限らないため、査定のためだけにリフォームする必要はありません。また、駐車場が「賃貸方式」でなく、駐車場利用権付きの「分譲方式」であることも評価にプラスに働きます。エレベーター、オートロック、宅配ロッカー、防犯カメラの有無、大規模マンションであればラウンジやゲストルームなどの共用施設も評価ポイントになります。

マンション自体が管理されているか

管理人やコンシェルジュが常駐しているか、共用部分の清掃やメンテナンスは十分かなど、建物の維持管理状況は評価対象となります。十分な修繕積立金が管理組合に積み立てられ、計画的に「長期修繕計画」に基づき大規模修繕工事が行われているかも重要な評価基準です。中古マンションでは、およそ12~15年周期で行われる大規模修繕がいつ実施されたのかも査定時のポイントのひとつになります。

老朽化や特殊な事情がある物件は評価が下がりやすい

ここまでのポイントに加えて、老朽化が進んで大規模な修繕が必要な状態であることや、権利関係が複雑であること、再建築が制限されているエリアであることなど、物件固有の事情がある場合は評価額・査定額ともに下がりやすい傾向があります。こうした事情がある物件でも、専門の買取業者であれば個別に事情を踏まえて査定してもらえる場合があります。ただし、専門業者に相談したからといって一般的な査定より必ず高く売れるとは限らないため、まずは複数の相談先を比較検討することをおすすめします。

土地の評価額が決まるポイント

土地の用途規制が評価額に大きく影響する

全国の土地は、市街化区域・非線引き区域・準都市計画区域の3つが対象となり、そこから大きく住居系・商業系・工業系の3つに分類され、さらに12種類のエリアに分かれます。エリアごとに、建物の高さの制限や商業施設を建設できるかどうかなどの規制があります。規制が少なく、どのような高さの建物でも建設できる土地だと評価額がより高くなる傾向があります。

土地の形状・駅までの距離なども評価額を左右する

他にも道路幅員や接道状況、土地の形状や面積、インフラ状況やセットバックの有無、最寄り駅までの距離、周辺環境や土壌汚染、埋蔵文化財や地下埋設物なども土地の評価額をはじめ査定に影響を及ぼします。土地の評価額は、こうしたさまざまな要因によって決定されています。

評価額の目安を踏まえて売却を検討するなら

評価額はあくまで目安であり、実際の売却価格は不動産会社の査定を受けないと分かりません。複数社に査定を依頼して、金額や対応を比較してみましょう。

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まとめ

不動産の評価額には、実勢価格・公示地価・基準地価・相続税路線価・固定資産税評価額という5つの種類があり、目的によって使い分けられています。固定資産税評価額や路線価からはおおまかな相場の目安を逆算できますが、実際の売却価格(査定価格)とは別の考え方で決まる点に注意が必要です。評価額を算出する手法としては、取引事例比較法・原価法・収益還元法があり、建物であれば耐震基準や管理状態、土地であれば用途規制や形状などが評価を左右します。ご自身の不動産評価額の目安を知りたい場合は、まず本記事で紹介した公的な評価額を確認したうえで、不動産一括査定サイトを活用して具体的な査定額を比較してみてください。

評価額と査定価格・見積もりの違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

不動産売却の「見積もり」と「査定」の違い|混同しやすい言葉を整理

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よくある質問

不動産の「評価額」とは、具体的にどの金額を指しますか?

文脈によって異なります。相続や贈与の場面では相続税路線価に基づく評価額、固定資産税の場面では固定資産税評価額を指すことが一般的です。単に「不動産の評価額」という場合は、公示地価や実勢価格に近い水準を指していることもあるため、どの評価額について話しているのか確認することが大切です。

固定資産税評価額から売却相場はどのくらいで逆算できますか?

固定資産税評価額は公示地価のおよそ7割を目安に算定されているため、固定資産税評価額を0.7で割ると公示地価水準のおおまかな目安が分かります。ただし、これはあくまで参考値であり、実際の売却価格は物件の個別事情や市場動向によって上下するため、正確な金額は不動産会社の査定で確認してください。

取引事例比較法・原価法・収益還元法はどう違いますか?

取引事例比較法は類似物件の取引事例と比較する方法で主にマンションや土地に、原価法は建て直した場合の費用から減価分を引く方法で主に戸建住宅に、収益還元法は将来の収益をもとに算出する方法で主に賃貸用物件や収益物件に用いられます。

評価額と査定価格は同じ意味ですか?

異なります。評価額は税金の算定などに使われる公的な指標であるのに対し、査定価格は不動産会社が物件の個別の状態や市場動向を踏まえて算出する、実際の売却を想定した金額です。評価額はあくまで目安として参考にし、実際の売却価格を知りたい場合は査定を受けることをおすすめします。