【まるで教科書】離婚してマンションを売るための注意​点まとめ

トラブル・特殊な物件の売却

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この記事は不動産の買取・再販を手がける株式会社スマートアンドカンパニーの編集部が、法務省・国税庁・厚生労働省の公表資料を確認して作成しています。個別の離婚・財産分与の判断は弁護士・税理士など専門家にご相談ください。

結論:財産分与の期限は2026年4月の民法改正で延びた/税金は「慰謝料として渡す場合」に要注意

離婚に伴うマンション売却でまず押さえるべきは2点です。①財産分与を請求できる期限は、2026年4月1日の民法改正で「離婚後2年」から「離婚後5年」に伸長された(ただし施行日より前に離婚が成立している場合は旧ルールの2年のまま)②マンションを売却せず「慰謝料」として相手に渡す場合は、渡す側に譲渡所得税がかかることがある——という点です。住宅ローンが残っている場合の抵当権の扱いや「売る・住み続ける」の判断そのものは、後述の関連記事で詳しく解説しているため、本記事では財産分与の法的な期限と税金にしぼって解説します。

厚生労働省の人口動態統計(令和6年・2024年確定数)によると、2024年の婚姻件数は48万5,063組、離婚件数は18万5,895組で、離婚率(人口千対)は1.55と前年(1.52)からわずかに上昇しています。離婚件数自体は前年より2,081組増加しており、マイホーム購入と離婚の時期が重なるケースは今後も一定数発生すると見込まれます。

財産分与の対象になる財産・ならない財産

財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦が協力して築いた「共有財産」です。名義がどちらか一方になっていても、婚姻後に取得した財産であれば財産分与の対象になります(結婚後に購入したマンションが夫の単独名義であっても同様です)。逆に、婚姻前からの預貯金や、婚姻前に一方が取得した不動産などの「特有財産」は原則として対象外です。

財産分与には主に3種類がありますが、実務上ほとんどのケースで使われるのは「清算的財産分与」(夫婦の貢献度に応じて財産を公平に分ける方法で、専業主婦(夫)であっても原則2分の1ずつとされることが多い)です。ほかに、離婚後の生活が困窮する側を扶助する「扶養的財産分与」、慰謝料を財産分与に含めて支払う「慰謝料的財産分与」があります。

【2026年最新】財産分与の請求期限が「2年」から「5年」に延長された

財産分与を請求できる期限には、法律上「除斥期間」という期限があり、これまでは離婚から2年以内でした(民法768条2項)。時効と異なり、この期間は中断や停止がなく、過ぎると請求権そのものが消滅します。

この期限が、2024年5月に成立した民法等の一部を改正する法律により、離婚後「5年」に伸長されました。施行日は2026年4月1日です。ポイントは経過措置で、施行日(2026年4月1日)より前に離婚が成立している場合は、これまでどおり2年以内の請求が必要で、施行日以後に離婚が成立した場合にのみ新しい5年ルールが適用されます。すでに離婚から2年以上が経過していて「もう請求できない」と思い込んでいる方は、ご自身の離婚成立日と照らして、期限内かどうかを一度確認する価値があります。

出典:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」(財産分与の請求期間の伸長を含む改正の概要・施行日を掲載)。経過措置の詳細や個別の期限の判断は、弁護士にご確認ください。

マンションを「慰謝料」として渡す場合にかかる税金

浮気やDVなどが原因で慰謝料を請求するケースがありますが、慰謝料そのものは贈与や利益ではないため、受け取る側に贈与税はかからないのが原則です。ただし、慰謝料としてお金ではなくマンションなど不動産を渡す場合は話が変わります。

不動産で慰謝料を支払うと、税務上は「その不動産を時価で売却して、その代金を慰謝料として支払った」とみなされます。そのため、渡す側(財産分与でマンションを渡す側)に譲渡所得税が発生することがあります。実際に現金を受け取っていなくても課税対象になる点は見落とされがちです。

所有期間税率
5年以下(短期譲渡)39.63%
5年超(長期譲渡)20.315%
10年超(マイホーム軽減税率)14.21%
(課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分)

出典:国税庁タックスアンサー No.3211 短期譲渡所得の税額の計算/No.3208 長期譲渡所得の税額の計算/No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例。

住んでいたマイホームであれば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける3,000万円の特別控除が使える場合がありますが、この特例は「配偶者や生計を一にする親族など、特別の関係がある人への譲渡」は対象外です。実務上は、離婚が成立する前(まだ配偶者である間)に名義変更・引き渡しをしてしまうとこの特例が使えず、離婚成立後(元配偶者)に渡すのであれば対象になり得るという順序が重要になります。この判定は個別の事情に左右されるため、財産分与でマンションを渡す予定がある場合は、離婚が成立する前後どちらのタイミングで名義変更するかを含めて、税理士に確認することをおすすめします。

また、マンションなど不動産を慰謝料として受け取る側には、不動産取得税・登録免許税という見落としがちな税金も発生します。どちらが負担するかは、慰謝料の話し合いの際に決めておく必要があります。より詳しい譲渡所得税の計算方法は不動産売却の譲渡所得税計算方法|税率・特別控除をシミュレーションで解説しています。

名義・住宅ローンが残っている場合の整理

財産分与でマンションをどうするか決める前に、まず名義人と住宅ローンの残債を確認しておく必要があります。名義が夫婦どちらかの単独名義であれば、名義人単独で売却できます。共有名義の場合は、売却に共有名義人全員の同意が必要です。

住宅ローンが残っている場合は、原則としてローンを完済し抵当権を抹消しない限り売却できません。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態になっているケースも少なくなく、その場合の対処法や抵当権抹消の具体的な手順は住宅ローン返済中でも家は売却できる|抵当権抹消の手順と離婚時の注意点で詳しく解説しています。また、「売却するべきか、どちらかが住み続けるべきか」という判断そのものについては離婚する時はマンションを売却した方がいい!住宅ローンはどうなる?もあわせてご確認ください。

仲介で売る以外に「買取」という選択肢もある

ここまでは仲介(買主を市場から探す方法)を前提にしてきましたが、当社のように不動産の買取・再販を手がける会社に直接売る「買取」という方法もあります。離婚の場合は財産分与や住み替えの期日が決まっていることが多く、内覧希望者への対応を避けたい、早く現金化してお互いの生活を切り離したいといった事情から、買取のほうが合うケースもあります。

比較軸仲介買取
価格の目安相場に近い(=価格の天井を狙える)相場より低くなりやすい(=価格の床)
売れるまでの期間買主が見つかるまで時間がかかる短期間で現金化しやすい
向いているケース時間をかけてでも高く売りたい財産分与の期日がある・内覧を避けたい・早く関係を清算したい

失敗しないための注意点

査定額を比較する際は、一社だけで決めないことが重要です。相場より極端に高い査定額を出す会社は、契約獲得を目的にしている可能性があり、結局売れずに大幅な値下げに至るケースもあります。複数社への査定依頼が失礼にあたるのではと気にする方もいますが、不動産売却の相見積もりは失礼?何社が目安か・査定書の見方・断り方で解説しているとおり、相見積もり自体は一般的な行為です。また、財産分与のトラブルを避けるため、名義変更や慰謝料の合意内容は口約束にせず、公正証書など書面に残しておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. 離婚して2年以上経ちましたが、もう財産分与は請求できませんか?

A. 離婚の成立日によります。2026年4月1日より前に離婚が成立している場合は、改正前のルール(離婚後2年以内)が適用されるため、期限を過ぎていると請求は難しくなります。2026年4月1日以後に離婚が成立した場合は、新しいルールで離婚後5年以内まで請求できます。ご自身の離婚成立日を確認したうえで、弁護士に相談することをおすすめします。

Q. マンションを財産分与ではなく慰謝料として渡す場合、税金はどう変わりますか?

A. 慰謝料としてお金ではなく不動産を渡す場合、税務上は不動産を売却したとみなされ、渡す側に譲渡所得税がかかることがあります。受け取る側にも不動産取得税・登録免許税が発生します。マイホームであれば3,000万円特別控除が使える場合がありますが、離婚成立前(まだ配偶者の間)の名義変更には適用されないため、タイミングも含めて税理士に確認してください。

Q. 共有名義のマンションは、相手の同意なしに売れますか?

A. 売れません。共有名義のマンションを売却するには、共有名義人全員の同意と書類が必要です。相手と連絡が取れない場合は売却できない状態に陥ることもあるため、離婚時に単独名義への変更を検討することも選択肢です(住宅ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必要です)。

Q. 住宅ローンが残っている場合、財産分与でマンションはどう扱われますか?

A. マンションの評価額からローン残債を差し引いた金額が財産分与の対象です。評価額がローン残債を下回る「オーバーローン」の場合は、財産的価値がゼロと判断され、財産分与の対象から外れることもあります。抵当権の抹消手続きなど実務の詳細は、住宅ローン返済中の売却を解説した関連記事をご確認ください。

Q. 仲介と買取、どちらで売るべきですか?

A. 時間に余裕があり少しでも高く売りたい場合は仲介、財産分与の期日が決まっている・内覧の手間を避けたい場合は買取が向いています。どちらが得かは物件と事情次第のため、両方の見積もりを取って比較することをおすすめします。

まとめ:期限と税金を確認したうえで、複数社の査定を比較する

離婚に伴うマンションの財産分与は、2026年4月の民法改正で請求期限が2年から5年に伸びた一方、慰謝料として不動産を渡す場合の税金や、離婚成立前後での特例の適用可否など、見落としやすい論点が複数あります。まずはご自身の離婚成立日と、財産分与かそれとも慰謝料としての譲渡かを整理したうえで、必要に応じて弁護士・税理士に相談してください。

そのうえで、マンションを売却する場合は複数の一括査定サービスに申し込み、査定価格を比べてみましょう。いずれも査定の申込みは無料ですが、申し込むと提携する不動産会社から査定価格の提示や連絡が届く仕組みです。利用条件やサービス内容は各社の案内をご確認ください。

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本記事は株式会社スマートアンドカンパニー編集部が、法務省・国税庁・厚生労働省の公表資料を確認して作成しました。制度は変わることがあるため、個別の判断は弁護士・税理士など専門家の最新情報とあわせてご確認ください。

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