相続回復請求権と表見相続人と相続の時効について

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相続回復請求権


 相続回復請求権というものはどのような請求権のことでしょう?言葉通りに、相続を回復することを請求する権利という意味ですね。民法884条に規定があるのですが、様々な解釈がされているので、判断が難しい法律のひとつです。
 たとえば、相続が開始されて、真の相続人と、表見相続人(相続の権利がないのに相続人のふりをしている人)がいたとしましょう。ふりをしている人がいるということ自体おかしいのですが、世の中にはそういう人がいたりするんですよね。(みなさん気をつけましょう。)もちろん、真の相続人が相続するべきですので、もし表見代理人が、相続してしまったら、その相続の権利を返してもらわなければなりませんよね。もちろん権利を回復することもできるはずです。「相続回復請求権」とは、上記のことを規定した法律なのです。
 表見相続人は、相続人でのないのに、嘘をついて、相続をすることは、真の相続人の権利の侵害です。この相続の回復を請求する権利を相続回復請求権というのです。
 また、相続人が2人いたとします。どちらも相続人ですが、一方が、自分が相続できる範囲を超えて相続した場合にも、表見相続人となるのです。
 例えば、相続する財産を半分ずつに分けるという遺言があったとします。一方の相続人が、その50%を超える相続をしてしまうと、もう1人の相続を侵害することになるのです。こういった場合も、本来の相続分を超えて相続した相手を表見相続人として、相続回復請求ができることになります。真の相続人であっても、他の人の分まで相続するのことは、おかしいことですから。
 ただし、この場合に、表見相続人となってしまう人は、相続権を侵害すているということに対して認識がない場合か、または認識がない事について、過失がない場合に限るとされています。
 つまり、わざと相手の取り分を取ってやろうとたくらんでとった(悪意があるといいます)のであれば、表見代理人として扱いますよ。ということです。知らなかったから許されるではないですが、故意や過失がない場合は、表見相続人とはなりません。この法律は、真の相続人の権利を取り返すために作られた制度だからなのです。自分の手取りが少ないなあと思って、故意に相手からとってやろうというのは、当然認められませんよね。

表見相続人


 前回でもお話しいたしましたが、表見相続人とは、表から見ると相続人に見えるけれども、実際は相続人ではない人のことをいいます。または、真の相続人だけれども、他の相続人の相続分を侵害している人のことをいいます。
 他にもあります。法律上では相続の権利が認められる人を、被相続人(亡くなった人)が、相続させないと遺言等で決め、相続人から排除されている人も、表見相続人です。また、次の場合も表見相続人となります。
1.嘘の出生届によって被相続人の子供と戸籍上なっている場合
2.嘘の認知届によって戸籍上子供となっている場合
3.無効な養子縁組によって養子となっている場合
4.相続に対し、欠格事由がある場合
 などが上げられます。
 表見相続人から権利を取り返すためには、相続回復請求をしなければなりません。権利の侵害をされているわけですので、当然ですよね。ただし、この請求には時効があります。表見相続人が存在して、相続の権利を侵害されていることを、真の相続人が知った時から5年間経過すると、相続回復請求権を行使できなくなってしまいます。表見相続人を知った時はなるべく早く手続きをする必要があります。
 また、相続回復請求権という権利自体も、相続の開始があった時から20年以内におこなわないと、時効になってしまいます。
 表見相続人の反対の立場の人を真正相続人といいます。
 表見相続人と呼ばれる場合で、一番多いのが相続欠格です。つまり、相続財産を得るために、不正な行為を行ったことによって、相続人として不適格であると判断されてしまうことをいいます。
 これ、よく相続をテーマに扱うドラマで出てきたりしますよね。ですので、なんとなく、みなさんも状況を想像できるのではないでしょうか。
 例えば、被相続人を、自分が相続できるように脅したり、故意に死亡させるなどの計画を企てたり、、、、人間は欲が出ると怖いですが。。
 自分の貰える相続分を増やすために、脅迫するなどによって遺言書を書かせたりした者も、当然相続欠格となります。もちろん、被相続人の意思で、相続人を排除された人についても、表見相続人となります。
 例えば、財産を相続させてもすぐに浪費してしまって、財産を相続させるのは無理だろうと被相続人が判断し、遺言書にそのことを記載された人も表見相続人となり、相続する事が出来ないのです。
 親から、マンション1棟を相続したことによって、不動産経営者となったという話を聞くことがありますよね。もちろんマンションを相続した際に、ローンが残っていれば、ローン残債を返していかなければなりません。しかし、経営者となるわけですから、経営能力がない場合は、相続した段階で、マンションを売却した方がよい場合もあると思います。マンション売却は、大きなお金が動きます。利益が出れば、税金も支払わなければなりません。(所得税の確定申告が必要となります。)まざまな書類や費用や手続きなど、とても大変だと思います。そういった場合は、早めに専門家に相談するのがよいでしょう。

相続の時効


 相続には時効があることをご存知ですか?知らないと大変な場合もあるのです。
 まず、「相続放棄」についてです。相続する財産には、プラスとなる財産だけではなく、マイナスの財産もあるのです。みなさん、あまりマイナス財産はイメージされないですよね。マイナス財産は、普通は相続したくないはずなので、そのためには、相続の放棄という手続きを取らなければならないのです。何もしないと、マイナスの財産を相続することになってしまいます。相続放棄の期限は3か月以内と定められています。思ったよりも短いと思いませんか?悲しみに浸っている時間がないんですね。。ですので、相続放棄を決断したのであれば、速やかに手続きをしなければなりません。
 しかし、相続する財産がプラスなのか、マイナスなのかのわからない場合もありますよね。被相続人が、財産をすべて事前に教えてくれていて、知っている場合は、わからないということはおこらないですが、知らない場合は、調べなければなりません。しかし、調べるのは時間がかかる場合もあるかと思います。この場合は、限定認証という方法があります。こちらも期限が3か月なので、相続する財産がよくわからない場合は、この限定認証をすみやかにおこなっておく必要があります。
 限定認証とは、相続をする財産の中で、マイナス財産を精算し、精算して、財産が残った場合はそれを相続し、もしマイナスの財産が精算できずに残ってしまった場合は、財産をすべて放棄することができるという制度です。
 被相続人の財産や借金が、たくさんすぎてわからなくて、調べるのに時間がかかる場合は、この制度を利用すればよいです。ただし、家庭裁判所で申請となります。申請に必要な書類は、簡単にWEBで入手できますし、費用はかかりますが、司法書士に依頼することもできます。
 また、「所得税の準確定申告」と言って、亡くなった年の1月1日から亡くなられた日までの確定申告をする必要があります。この期限も4か月です。けっこう短いので、必要書類を作成し、すみやかに手続きをおこなう必要があります。
 他に、相続した財産に相続税がかかる場合は、申告や納付にも10か月という期限があります。マンションなどの不動産を相続した場合は、そのマンションの相続の金額を計算して現金で納めなければなりません。土地やマンションは相続評価で金額が決まります。マンションは土地と違って減価償却もあります。ローンがある場合は、ローン残債も精算しなければなりません。
 また遺留分の減殺請求は1年以内となっています。被相続人が、財産を誰に相続させるか決めるのは自由ですが、法律で決められている相続人が、相続できる財産があまりにもが少なかったり、相続できなかったりするなどの不公平が起きた時は、「遺留分の請求をする」ことが法律により可能となっているのです。法定相続分という法律で決められた財産すべてではなく、これも法律で決められた一定の遺留分という財産を、相続回復請求権を使って、自分の相続分を返すように請求することができる制度です。
 この権利は、自分の相続する権利の分を侵害されていると知った時から5年間となっています。また、相続の開始からは20年間という期限ががあります。
 相続財産が多かったり、よくわからなかったり、複雑な場合もあるかと思います。そういった場合は、専門家に相談して、早めに動くのがよいでしょう。

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